競馬予想の指南書とか教科書といったものは、星の数とは言わないが、それなりにある。
書籍主流の時代は本屋に行くとひとつのコーナーになっていて、貪るように読んで気になった本は買い求めた。
今ならネットでいろいろと拾い出すことはできるが、素人でも世に出せるので玉石混交である。
ただ、確実に勝ち組のやり方が書いてあるものというのをお探しならば、わたしは裁判記録が最もよろしかろうと思う。
このブログでも何度か記事にしたが、国税の一時所得と雑所得の区分をめぐって裁判沙汰になったものがいくつかある。
これらは皆さんの目標となる真の勝ち組の予想法を垣間見ることができる。
ご本人はたいへんな思いだったのだろうと思うが、記録はまさに教科書と言っていいだろう。
わたしは繰り返し読み込んでいるが、未解明のファクターはあるし、着想や工夫はわたしなど足元にも及ばない。
「勝ち組は2、3%」と推論しているものをネットで見かけるが、甘いと思う。
単年度で黒字はそのくらいいるかもしれないが、長期にわたって勝ち続ける人は、わたしがこのブログ初期に推定した「0.2乃至0.3%」に過ぎないだろうと改めて感じる。
当時、大学受験で例えれば東京大・京都大レベルと申し上げたが、統計学の正規分布を仮定し「99.7%区間の外にいる人」で紡錘形の左は0に対し、右は理論上無限なので少し上乗せした数字である。
「勝ち組の皆さんはやっています」とエビデンス(証拠)無しにあれこれ書かれているものは、やはり疑ってかかったほうが良さそうだ。
買うレースを絞るべき、というが、裁判記録ではほとんどのレースで賭けている、とある。
トリガミは、まったく気にしていない。
狙った馬の複勝に大金、というような賭け方はしていない。
判決文に限らず、とにかく入手可能な記録はすべて集めて読み込んでほしい。
▼長期収支
さて、勝ち組の皆さんは、どれだけ儲けられたのか。
複数の馬券裁判があるけれど、基本的に国税の裁判なので、丹念に拾えば数年間(3-6年)の馬券購入金額や払戻金額の総額は分かる。
わたしが数字をまとめた裁判は4件あって、いずれでも期間中に総額1億円から100億円の間で馬券を購入している。
赤字の年があるケースもあるが、期間中のプラス幅は約5%から10%の間である(わたしの手元集計で+9%、+8%、+8%、+5%)。
つまり、5年間で総額1億円馬券を買ったとしたら500万円から1,000万円くらいのプラスだったということだ。
これが夢の最終地点である。
地味……。
そう、地味なのだ。
購入規模が、時間軸は置いておくとして総額億単位ということを考えれば、ほぼ投資みたいなものである。
これらの裁判が行われた同時期の、複数の金融商品を組み合わせた同規模の資産運用では、時間加重収益率(ざっくり利回りと考えてよい)は同じくらいではないかと思われる(金融商品単品の場合は振れ幅が大きいため、投資家はいくつかの商品に振り分けるのが基本的考え方。運用成績はリーマンショック以降、金融派生商品は少なめ、という前提)。
つまり、5-10%の利益率は馬券で「おそらく天井」くらいかもしれないが、投資でもそれほど変わらないだろうということである。
運用資金が短期間に2倍や3倍になる、馬券で「プラス400%」などというのはあり得ない、あるとしたらリスクをまったく無視した博打である、ということができよう(競馬も博打だけれど)。
もちろん、年間100万円を賭ける人には100万円の規模に応じた収支があるけれど、安定して長期にわたって賭けるとこれくらいの利率になるのだろう。
また、1レース当たりどれくらいの金額を賭けているのかは推測するしかないが、多い人でも期間中の平均は30万円から50万円程度であると思われる。
残高の累積によって馬券購入金額は大きくなっていくのだろうが、それでも100万円くらいまでか。
1点買いではなさそうなので、馬連や3連複、3連単では1点あたり数万円だろう。
異常投票好きには残念だが、彼らのインパクトはそれほど大きくない。
異常投票があるとしたら、それは勝ち組の皆さんの投票行動ではない可能性が高い。
(SiriusA+B)