2015年10月30日金曜日

第35夜 馬齢を重ねる


わたしは、馬の年齢を「月齢」で数えている。
年齢では間隔が広すぎて十分な分析が難しいと考えた。
わたしの場合、すべての中央競馬出走馬の生年月日を調べて、28日を1か月とする月齢に換算している。
日齢、週齢なども試してみたが、細分化の度合いが過ぎた。
馬の寿命は約20年とも25年ともいわれる。


余談だが、人間の寿命は、日本人の場合約80年である。
馬の年齢を人間の相当年齢で考える場合、成長の速い3歳までを人間の約6年とし、4歳以降は
(馬年齢-3)×3+17
でよくあてはまるようだ。
ごく単純にみても34か月で人間の1年相当になるといえる。
月齢で分析する有効性も想像できるものと思う。
馬の寿命は全うした場合であり、十分な競走成績を残せなかったサラブレッドが辿る運命はご存じのとおりである。

大種牡馬ノーザンテーストや5冠馬シンザンは30年以上生き長らえ天寿を全うしたが、選ばれた馬たちだからできたことである。


「馬齢を重ねる」とは、たいしたこともしないで無駄に歳をとることをいう。
中央競馬も年間約50週、土日開催として100日と少し、3,450競走あまりである。
ぼんやり過ごしていると月日はどんどん経っていく。

(SiriusA+B)

2015年10月26日月曜日

第34夜 あなたのライバルは誰か





▼1番人気が勝たなかった日

前夜の話題で、第1競走で1番人気が勝利したとしても、あるいは敗けたとしても、第2競走で1番人気が勝つ確率に何の影響も及ぼさない、ということがおわかりいただけたものと思う。

「そろそろくる」と思うのは、確率から揺り戻しがあると推定しているからで、これは思い込みである。

「独立な試行の確率」だからである。


揺り戻しはあると信じていた人は、ネットでも構わないので調べてみると参考になる。



ちなみに、統計では前夜のとおり数字が美しく揃うのだが、この偏り、ランダムさは想像以上にすごい。

実際、112競走中、1番人気が1度も勝てなかったことだってあるのだ。

この期間中には、例えば、20141228日の中山競馬場の例がある。

当日は有馬記念があり、11競走しかなかったが、1番人気は1競走も勝っていない。

2014713日の福島競馬でも1番人気は未勝利で、このような日は2006年から2014年までの調査期間中、23日もあった。

反対に、ほとんどの競走で1番人気が勝つ日もある。

2008316日の中京競馬では10競走で1番人気の勝利に終わった。

こんな例をみると、とても「次のレースで1番人気が絶対来る」とは思わないだろう。

自分との闘い

確率については、想像とまったく違う答えになることがおわかりいただけたと思う。


根本的なことであるが、統計と確率は違う。


競馬データは統計の世界だが、競馬予想は確率では勝てない。


確率の話だけではない。

競馬ファンの中ではこと数字に関して誤解も多いように思う。

当然と思っていることも、今一度疑ってみよう。

わたしが周囲を見て一番気になることに「厚めに買う」という用語がある。

これが本命だから厚めに、という「厚め」である。

オッズが低いところに資金を集中して、オッズの高いところを少しだけ買う。

本当にこれって「正しい買い方」なのだろうか。

ちょっと逃げ腰ではないだろうか。

「どれが来ても、トリガミにならない」と人は言う。

しかし、全部外れたら元も子もない。

むしろ、オッズの高いところを「厚め」に買ったらどうなのか。

うまくいけば、しばらく黒字を維持できると思うのだが。

 

リスクは甘受しよう。

リスクにきちんと向き合おう勇気を持とう。

競馬は自分との闘いなのである。

ライバルが馬でないことはわかっていると思うが()、周囲の競馬ファンでも、実はない。

自分の本命予想をどれだけ信じられるか、心中できるか、冷静でいられるか、が競馬の本質ではないだろうか。

そして、信じるに足るだけの、自分自身が納得できるだけの予想法を確立すること、それが勝利に結びつく。

(SiriusA+B)

2015年10月22日木曜日

第33夜 次の競走で1番人気がくる、とは考えないほうがいい


独立な試行の確率


数学に弱いわたしたちは、しばしば確率について誤りを犯す。どうも直感と違う回答であることが多いのだ。

例えば、23人集まれば、同じ誕生日の人(同じ誕生日の組)50%程度(50.7%)の確率で存在する。

直感では「そんなことないだろう」と思う。ところが、実際に検証してみればそうなっている。

一方で、直感どおりの場合もあり、わたしたちは迷ってしまう。

ひとつ言えることは、確率の問題は直感では誤ることも多いので、頭の良さで正答を導き出せるものではなく、知識として身につけておいたほうがよさそうだ、ということである。

わたしたちが競馬の世界でよく耳にするのは「1番人気が続けてこなかった(勝てなかった)から、次のレースはくる」というものである。

1番人気の勝率は、長い間、約3分の1であることは、このブログでも何度か触れてきた。

この確率の知識がある人で、2レース続けて1番人気が敗れたとき、次のレースで1番人気が勝つ確率は100%近くになると錯覚している人は少なくないようだ。

結論を言えば、誤りである。

前のレースの結果は、次のレースの結果に影響しない。

冷静になれば、「そりゃそうだ」と思うだろう。

これを「独立な試行の確率」と言おうか。

したがって、1番人気が続けて敗れようが、勝ち続けようが、次のレースの1番人気の勝率33%にはまったく影響しない。

「実際にはそんなことない。理論どおりにいかないこともある。現にこの前は1番人気が勝った」と主張する人もいるだろう。

確率の難しさは、こうした思い込みを矯正できないことにある。

半面、矯正し難いゆえに、ギャンブルや詐欺が成立するのだ。

この主張をする人の場合、実際に検証はしていないと思うが、おそらく、3回に2回はこの戦術で外しているものと思う。

実際に調べてみた

それでは、ほんとうに前のレースの影響を受けていないか、調べてみよう。

なお、同着の分別は行なっていないので、若干の差異があることはご了解いただきたい。

2006年から2014年まで、全31,077競走が実施された。

このうち、1番人気が勝利したのは、9,948競走で、勝率は32.0%である。

最終競走を除くと(112競走の場合は11競走)28,482競走、このうち1番人気の勝利は9,229競走、勝率32.4%

この1番人気が勝利した9,229競走の次の競走(2競走から最終競走)で、続けて1番人気が勝利したのは2,991競走であった。

この勝率は、31.5%である。

最終競走と次の第1競走をつなげると、もっときれいに数字が揃うが、とりあえずということで。


(1)全競走の1番人気

31,077競走9,948(32.0%)

(2)最終競走を除く全競走の1番人気

28,482競走9,229(32.4%)

(3)上記(2)1番人気勝利競走の次の競走の1番人気

9,229競走2,991(31.5%)

実際に検証した結果、1番人気が勝利した次の競走でも、1番人気が勝つ確率はほとんど同じ、つまり前の競走との関係がまったくないことを確認できる。

したがって、もし、「次は絶対、1番人気がくると思ったよ」という人がいたら、確率が上がって予想が的中したのではなく、3回に1度のふつうの確率で的中したものと考えておけばいいだろう。

(SiriusA+B)


2015年10月18日日曜日

第32夜 的中率20%なら誰でもできる、の続きの話



▼誰でも5回に1度は勝てる

前夜の続きの話である。

前夜は、誰でも20%程度の勝率の予想なら立てられるという話をした。

平均賞金というフィルタを用いたのだが、そのほかにも簡便で誰でも再現できる勝率20%の予想はある。

例えば以下のようなものである。

用いているのは、2006年から2014年末までのデータである。



前走2着の馬で、2014年末までに出走した頭数

30,178

上記のうち1着となった頭数

6,241

勝率

20.7%

芝、ダートの平地競走も障害競走もすべて同じ土俵で参照しているので、もっと精査したい人はご自身で調べていただきたい。

前走2着の馬が1頭もいない競走や、複数いる競走もあるが、一律に賭けた場合、5回に1回は当たるということだ。

当然、収支は赤字である。

このほかにもいくつか挙げておこう。



前走1番人気で完走2着以下の馬で、2014年末までに出走した頭数

19,209

上記のうち1着となった頭数

3,959

勝率

20.6%

 



前走ゴール600m手前まで先頭で、2着または3着になった馬で、2014年末までに出走した頭数

8,518

上記のうち1着となった頭数

1,717

勝率

20.2%

 

▼的中率を上げること

このように、的中率20%程度なら、いかなる方法でも可能である。

では、25%を超えてくるようにするにはどうすればよいのか。

的中率20%程度の予想をベースに、もっと条件を絞っていくという方法はある。

ただし、そのやり方では人気馬に絞り込んでいくだけのことで、回収率は向上しないだろう。

また、20%の予想法をいくつか組み合わせるという方法もある。

これも、本命馬に近づいていくだけである。

▼裏情報?

ここで、怪しげな「予想会社の裏情報」について考えてみる。

そのようなものに頼るなどは論外だが、頼ろうとする人の心理に目を向けたい。

彼らは「高額の配当を手にするためには、ほとんどの人が知らない裏情報があるはずだ」と考えている。

裏情報というものは気にしなくてよいが、「裏」という文字を外してみよう。

「高額の配当を手にするためには、ほとんどの人が知らない情報があるはずだ」ということだ。

そうなのである。

周囲の競馬ファンが気づかない「勝利の要素」を探し出せばよいということである。

スピード指数による予想は、広く世間に知られてオッズが下がったという人もいる。

真偽は別として、多くの人と同じ予想法では勝てないということだ。

早速、オリジナルの要素を探しに出かけてほしい。

競馬成績の中にも、競馬場にもあるだろう。

データを少し加工したり、馬体の特徴を探したりしてみよう。

そして、検証を繰り返す。

競馬予想には未知の領域がまだ多い。

幸い、1番人気でも3回に2回は外れるのである。

(SiriusA+B)


2015年10月14日水曜日

第31夜 勝率20%くらいの予想なら誰でもすぐできる


▼オッズのすごさ

何度か触れたことであるが、1番人気馬の勝率は長い間ほぼ3分の1である。

予想法が進化していないのか、中央競馬会が巧みなのかはわからない。

的中率で考えると、3分の1はとても高いといえない。3回に2回は外れるのである。しかし、困ったことにオッズ以上の予想法に出会ったことはない。

もちろん回収率は低いため、そのまま機械的に買うこともできない。

 

▼勝率

だからこそ必勝法を探し、研究するのだが、どうしたものか、世間で公開されている予想法では33%はおろか、25%も的中していないものがほとんどである。

それでも、スピード指数、あるいはこれに改良を加えたスピード系の指数は、25%近傍を目指すことができるだろうと思われる。

わたしは、勝率について以下のように考えている。

100%=神の領域(ちなみに全単勝を買えば達成できる)

50%=モンテカルロ法など資金配分上の戦略が有効になる

33%=オッズ

25%から30%=均等買いで黒字の可能性が出てくる

20%から25%=ある程度到達できるが、黒字にするのは難しい

もちろん、大穴ばかり狙う戦術もあるだろうから、20%を切る予想法を確立している人もいるかもしれない。ただ、オッズをにらみながらの戦術であり、長期間持続して黒字になるのは困難だろうと思われる。

いずれにせよ、「20%から25%」程度であれば、誰でも予想ができるし、ご自身の予想法がこの領域であれば、さらにブラッシュアップするようにしたい。
なお、的中率を上げるために「レースを絞る」という考えには賛同できない。レースを絞るというのは、リスクを減らそうとする行為である。「危険」も減少する半面、リターンも小さくなることは過去にも述べたとおりである。

 

▼勝率20%くらいの予想

前項で勝率が20%くらいなら誰でも予想ができる、と申し上げた。

実際に可能なのか、簡単な例をひとつ挙げてみる。

下表は3種類の予想法を検証したデータである。データは勝率、つまり単勝1点買いをしたと仮定したものだ。

(1)出走馬中、獲得した総賞金がもっとも多い馬を本命馬とする

(2)出走馬中、獲得した総賞金を出走回数で除した平均賞金がもっとも多い馬を本命馬とする

(3)前走で上がり3ハロンが最速だった馬を本命馬とする

(4)参考のため、1番人気を本命馬とする

データは2006年から2014年までのものを使い、2010年から2014年の5年間の競走で検証した。全体には障害競走も含まれる。

ご覧いただければ一目瞭然だが、(2)の出走前に獲得済みの平均賞金が最多の馬を本命馬にすると、20%の勝率は確保できる。誰でも同じように予想でき(再現性があるということ)、同時に検証もできるので、ぜひご自身でも調べてほしい。賞金の種類はあえて申し上げないが、もっとも単純なものを使用しているので、すぐにわかるだろう。

▼予想法の完成がゴールではなく、スタートあるということ

この(2)「平均獲得済み賞金予想法」は、誰でも比較的簡単に作成できる。走破タイムに影響されないので、馬場指数やスローペースの補正、斤量の変化などの独自指数を用意しなくてよいからだ。競馬新聞を買い、獲得済みの総賞金と出走回数がわかれば電卓ひとつで予想できる。

もちろん、およそ20%は的中するが、黒字には至らない。よく勘違いしている人を見かけるのだが、各馬の順位付けが終わったところはゴールではない。数字を算出してからが予想のスタートである。(1)(3)を参考に併載したのは、予想の参考にしてもらいたいからなのだ。

もし、この予想法でさえ、あなたの予想法より精度が高いようなら、もっと努力したほうがよい。あなたの努力は世間の平均的水準を下回っている可能性が高い。幸せを掴むためにもっとがんばる必要がある。

もし、この予想法でさえ、実践できないようなら、競馬をやらないほうがよい。競馬で勝つために努力する姿勢ができていない。電卓で計算できるこの程度の努力でも面倒だと思うなら、仕事をはじめ人生そのものを軽く考えている。

もし、この予想法でさえ、あなたが買っている他人の予想と大差ないようなら、あなたは信頼のおけない予想会社にお金を吸い取られていると思ってよい。他人の予想に乗ることで、手間ひまをお金で買ったつもりかもしれないが、割の合わない買い物をしているといわざるを得ない。そもそも頭を使わないで勝てると思うこと自体がおかしい。

そして、独自の予想理論があって、この予想法を鼻で笑うことができるのであれば、希望はある。さらに精進することによって「勝ち組」も視野に入ってくる。

念のため申し上げておくが、この予想法を公開したからといって、オッズが下がることはない。この程度の予想法で機械的に馬券を購入しても黒字収支にはならないからだ。



2010-2014

(1)

出走前獲得賞金額が最も多い馬

(2)

出走前獲得平均賞金が最も多い馬

(3)

前走上がり3Fが最速だった馬

(4)

1番人気馬

全体

1

2,518

3,487

617

5,512

2

2,200

2,419

721

3,286

3

1,805

1,822

727

2,190

全馬

16,151

16,830

20,031

17,266

勝率

16%

21%

3%

32%

連対率

29%

35%

7%

51%

複勝率

40%

46%

10%

64%


1

1,139

1,610

316

2,557

2

986

1,119

380

1,534

3

802

871

352

1,062

全馬

7,513

8,038

9,186

8,283

勝率

15%

20%

3%

31%

連対率

28%

34%

8%

49%

複勝率

39%

45%

11%

62%

ダート

1

1,263

1,757

283

2,740

2

1,145

1,215

319

1,629

3

946

889

342

1,047

全馬

7,994

8,148

10,061

8,339

勝率

16%

22%

3%

33%

連対率

30%

36%

6%

52%

複勝率

42%

47%

9%

65%

(SiriusA+B)

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