2015年10月22日木曜日

第33夜 次の競走で1番人気がくる、とは考えないほうがいい


独立な試行の確率


数学に弱いわたしたちは、しばしば確率について誤りを犯す。どうも直感と違う回答であることが多いのだ。

例えば、23人集まれば、同じ誕生日の人(同じ誕生日の組)50%程度(50.7%)の確率で存在する。

直感では「そんなことないだろう」と思う。ところが、実際に検証してみればそうなっている。

一方で、直感どおりの場合もあり、わたしたちは迷ってしまう。

ひとつ言えることは、確率の問題は直感では誤ることも多いので、頭の良さで正答を導き出せるものではなく、知識として身につけておいたほうがよさそうだ、ということである。

わたしたちが競馬の世界でよく耳にするのは「1番人気が続けてこなかった(勝てなかった)から、次のレースはくる」というものである。

1番人気の勝率は、長い間、約3分の1であることは、このブログでも何度か触れてきた。

この確率の知識がある人で、2レース続けて1番人気が敗れたとき、次のレースで1番人気が勝つ確率は100%近くになると錯覚している人は少なくないようだ。

結論を言えば、誤りである。

前のレースの結果は、次のレースの結果に影響しない。

冷静になれば、「そりゃそうだ」と思うだろう。

これを「独立な試行の確率」と言おうか。

したがって、1番人気が続けて敗れようが、勝ち続けようが、次のレースの1番人気の勝率33%にはまったく影響しない。

「実際にはそんなことない。理論どおりにいかないこともある。現にこの前は1番人気が勝った」と主張する人もいるだろう。

確率の難しさは、こうした思い込みを矯正できないことにある。

半面、矯正し難いゆえに、ギャンブルや詐欺が成立するのだ。

この主張をする人の場合、実際に検証はしていないと思うが、おそらく、3回に2回はこの戦術で外しているものと思う。

実際に調べてみた

それでは、ほんとうに前のレースの影響を受けていないか、調べてみよう。

なお、同着の分別は行なっていないので、若干の差異があることはご了解いただきたい。

2006年から2014年まで、全31,077競走が実施された。

このうち、1番人気が勝利したのは、9,948競走で、勝率は32.0%である。

最終競走を除くと(112競走の場合は11競走)28,482競走、このうち1番人気の勝利は9,229競走、勝率32.4%

この1番人気が勝利した9,229競走の次の競走(2競走から最終競走)で、続けて1番人気が勝利したのは2,991競走であった。

この勝率は、31.5%である。

最終競走と次の第1競走をつなげると、もっときれいに数字が揃うが、とりあえずということで。


(1)全競走の1番人気

31,077競走9,948(32.0%)

(2)最終競走を除く全競走の1番人気

28,482競走9,229(32.4%)

(3)上記(2)1番人気勝利競走の次の競走の1番人気

9,229競走2,991(31.5%)

実際に検証した結果、1番人気が勝利した次の競走でも、1番人気が勝つ確率はほとんど同じ、つまり前の競走との関係がまったくないことを確認できる。

したがって、もし、「次は絶対、1番人気がくると思ったよ」という人がいたら、確率が上がって予想が的中したのではなく、3回に1度のふつうの確率で的中したものと考えておけばいいだろう。

(SiriusA+B)


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