2018年12月23日日曜日

第225夜 年末大掃除に代えて、予想ファクターで要らないものを捨てる

▼捨てる勇気が拓く地平
有馬記念が終わり年始を迎えると、ネットで投票した馬券の年間収支が明らかになる。
年間収支は多くの人にとって見たくないものかもしれない。
わたしも目を背けるような過去もあった。
一方で、発奮材料にする人もいるだろう。
来年こそ頑張るぞと。
問題は、残念な結果を目の当たりにして耐えられても、自分の予想理論を捨て去ることはなかなかできないことである。
修正の必要は感じても、捨てるのは難しい。
年間収支の結果以上に、予想理論の変更は自らを否定するような行為だからである。

そこで提案である。
収支が赤字だった人には、次のファクターを使わずに「予想理論バージョン2」を作ってみてほしい。
今までに使ってきたものを捨てられないなら並行して使うのも構わない。
改良ではなく、まったく新しいものを作るのだ。
だが、最終的には新しいもので充分だと判断する日が訪れるだろうと思う。

で、使わないファクターである。
1、血統データ
2、調教データ
3、厩舎コメント
4、スピード指数/速度指数など走破タイム
5、脚質、展開予想(ペース、ラップタイム)
6、過去のレース映像
7、パドック、返し馬
8、当日のオッズ
これらのファクターを一切使用せずに、新しい予想理論を作成してほしい。
いずれも世間では「重要」とされているものばかりであり、わたしが不要と思っているものばかりである。
すべて使用している人こそほとんどいないと思われるが、1以上使用している人はかなりいるだろう。
特にスピード指数を、派生したり独自に改良したりしているとしても、予想の根幹として活用している人は多いと思う。
これらを使うな、とわたしは言う。
わたしが不要だと思うからではない。
最終的に使うことになるのは構わないが、わたしが言いたいのは、今まで自分が使っていた予想法にしがみついていれば多少の改善はあっても飛躍はないということだ。
大事だと思っているファクターを使わず、どこまでできるかやってみるのである。
「今のものをより精度を上げれば」と思う人はいるだろうが、多くの場合、精度の問題ではない。
着想やファクターに不足があるか、そもそも理論に誤りがある。
人気、着順、騎手、調教師、年齢、枠順などその他の構成要素だけで予想理論を作ってみれば、新たに重要なファクターが見つかる可能性がある。
明るい月を隠して星を探すような作業である。

適当な、机上の空論を述べているのではない。
わたし自身、以上のようなステップを踏んで今に至っている。
走破タイムを使わないなんて、まったく不可能なことだと思っていたけれど、今ではほとんど参考にしない。
捨てるには勇気も要る。
だが、捨てなければ進化もしない。
年末年始の落ち着いた時期に、長考、試行錯誤の時間をとってはいかがだろう。
古い話で恐縮だが、第32夜、第33夜その他の記事に参考にしてもらいたい内容が含まれている。

▼永遠の予想理論もない
完璧な予想理論というのはないという前提で話をする。
10年単位の長期的な視点で考える場合、ファクターの重要度も変化することがあると思っておいた方がいい。
現代の知見では、競馬は複雑系であり、レース結果を一つで説明できるファクターはない。
「8割方種牡馬で説明できる」とか「走破タイムで説明できる」といったものがないのである。
したがって、いくつかのファクターを組み合わせることになるのだが、その混ぜ合わせる比率は固定的ではない。
重要度で言えば、騎手の時代、種牡馬の時代、速度の時代などといった、勝利の主因となるものが変わる。
突出した騎手に良馬が集中するとか、トニービン、ブライアンズタイム、サンデーサイレンス産駒が席巻するとか、馬場の改良でスピードやスタミナのバランスが変わるといった具合である。
他の時代に比べて、あるファクターの各要素に大きな差が生じると、勝ち馬を見つけやすくなるのだ。
或いはまったく新しいファクターが出現することもあれば、以前より影響の小さくなったファクターも出てくるかもしれない。
「不変のファクター」は存在しない。
例えば、
・馬場の改良が進み、天候や馬場状態の変化による影響は以前より小さくなった印象がある。
・コースの改良で、枠順の有利不利よりも直線の瞬発力が勝負を左右するようになってきたかもしれない。
・騎手の力量は、上位と下位で差が拡大している可能性がある。
・長距離戦は減少傾向にあり、短距離や中距離に適性がある馬が増えている。
という感じだ。
ずっと同じと考える方が説明に苦慮する。
繰り返すが「不変のファクター」は存在しない。
このことを前提に予想理論を組み立て、適宜調整(わたしはファインチューニングと言っている)する柔軟性も持ち合わせておくと良いと思う。
多数の競馬投票者に認知されるまでが勝負である。
(SiriusA+B)

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