2020年11月15日日曜日

第304夜 馬を追いかけることは有用な馬券術である可能性(投資競馬のつづきの話)

 

▼今でこそ万人ができる戦術
素質ある馬に着目して出走のたびに買い続ける戦術がある。
投資競馬ということばについて嫌悪感があるし、投資とは程遠いことを前夜に綴った。
言いっ放しもどうかと思い、あまり関係ないかもしれないが、あれこれ資料を引っ張りだした。

投資に近い方法としてはこの戦術だろうと思う。
元本の保全はないけれど。

馬主には少しリスクが大きいものの馬主になることは投資に近い。
そこからPOGに似た馬券購入法を連想した。
レース毎に予想するのではなく、特定の馬に出走のたび賭け続ける方法である。
ところが投資競馬を云々するサイトではこの手法を説明するものはなさそうなので、わたしの感覚がズレているのかもしれない。
ただこの戦術は、実はわたしたちに強力な武器となり得る。
実は、上手くできれば収支黒字の近道になる可能性を秘めている。
今夜はこれについて書くことにする。

馬に注目する方法は昔からある。
血統やレースぶりから次走を狙うやり方である。
コンピュータの普及前には記録した者勝ちだったが、実際にコンピュータの力を借りずにやってみると如何に困難な作業かよく分かるだろう。
相馬眼、ノートの整理力、根気が揃わないと継続的にはできない芸当である。
記録することはできても、次走ではこのデータを引っ張りださなければならない。
紙資料ではその仕組みが難しいのだ。
さらに情報収集能力で差が付く時代であった。
パトロールビデオも原則として公開されていないし、興行上は実質的に東西で分かれていたので半分の情報を取得するのはたいへんだった。
「確か『競馬四季報』が当時からあったはずだ」とご指摘する方もいると思う。
しかし、数か月前の情報をキチンと転記したり、発行後の新しい競走成績を追記したりすることは、競馬に相当の時間を割かねばならず現実的ではなかった。
結局、紙に書かれた複数の資料を統合するのは頭脳であった。
頭脳の出来と時間、根気のある者が制する時代であったとわたしは考えている。


コンピュータが普及し発達したことで、これら根気の要る作業の負荷は大いに減じた。
誰もが少し頑張れば実践できる難易度になった。
最新の競走結果を手軽に取得でき、パトロールビデオをいつでも繰り返し観ることができ、表計算ソフトならば成績データにコメントを追記できる。
並べ替えや検索も簡単で、注目馬の出走をレース直前に把握しても間に合う。
さらに、注目馬と判断したものがどれくらいの成績を収めているのかもすぐに分かるのだ。
むしろ、現代こそこの戦術を用いることができるのである。

この方法の根幹である「競走馬のチェック」をアナログな作業というのは、あるいは一段下に見るのは、思い込みである。
「注目馬の判断」は機械的にもできる。
正確に言えば、機械的に補助することができる。
仮に実際のレースやパトロールビデオから注目馬を見つけ出す作業にしても、類似したケースを探したり過去に採点した評価を見直したりしやすく、これはすでにアナログの領域を超えている。
一定のチェックパターンを作れば、人間より漏れがない。
だが、どのような論理にするのかは人間自らが考え出さねばならない。
それは、相当高度な技術である。

少しだけ苦言を挟ませてもらうと、こうしたチェック作業にアナログとレッテルを貼ってそれ以降考えない人こそ変化についていけない残念な人である。
自分に能力や根気のないことが悔しいからといって他人の足を引っ張らないでもらいたいと思う。

▼有限投票
注目馬の判断方法は後述するとして、投票のルールを決めておきたい。
無限に収容できる「自分厩舎」に囲い込んだ(注目馬とした)競走馬に投票する期間を予め「勝つまで」と「何戦かするまで」とする。
わたしは次走に限るのはもったいないと思っている。
能力有りと認めたのだ。
次走に限らず走ってくれるだろうと思う。
一方で、引退まで買い続けることにも疑問がある。
有終の美を飾って引退する馬は限られた少数で、通常はピークアウト後何戦か経て引退する。
そこまでお付き合いすることはなかろう。
見込み違いで勝たないまま10戦もされれば赤字になる。
また、注目馬といってもクラスが上がると通用しないこともある。
この戦術の難しいところは「ズルズルと」買い続けることなのだ。
多くの競走馬は1勝するのが精一杯であることを忘れてはならない。
名残惜しいくらいで買うのをやめるルールが要る。

▼無限厩舎入厩条件
では、どれくらいの数の馬をピックアップするか。
目安として言えば「頻繁に同一レースに重複して出走しない程度」を上限とし、「だいたい1レースに1頭出走するかどうか」くらいが理想的だ。
あまり少なすぎると賭けるレースが少なくなる。
反対に、確度の低い馬まで混ぜると収支の足を引っ張ってしまう。

今夜の例では、デビュー戦の成績から近々に1勝できそうな馬を探し出し、3分の2の勝ち上がり率を目指す。
そうすると、わたしの無限厩舎には毎年100頭前後が「入厩」する。
人気調教師数人分にも匹敵する。
記録管理だけで馴致も調教もしないので笑、もっと増やしても減らしても良い。
デビュー戦での合格条件は以下の通りである。
(1)3番人気以内であること

(2)芝コースで、1,400m以上の競走であること

(3)札幌・函館・東京・京都・阪神競馬場の競走であること

(4)上がり3ハロンのタイムが上位3位以内であること

(5)5着以内であること

(6)牡馬であること

この6条件を満たした馬を合格とする。
ご想像のとおり、今後のレースでも人気になることが多い。
この選抜馬たちは実力上位と見ていいだろう。
だが、鉄板と思うならそれは違う。
それでもこのあと9戦以内の勝ち上がり率は73%に過ぎない(いや、凄い数字だが絶対ではないということ)
バックテストによると、評価レースの次のレース、1戦目では25.9%が勝利した。
勝てなかった馬も2戦目、3戦目と段々に勝ち上がり、最終的に9戦以内で73%1勝以上する。
いつも申し上げている「再現性」はあるので、皆さんも数年分で検証してほしい。
これほどまで「堅い」馬券であれば当然と言う向きもあろう。
それでもバックテストでは1戦目の単勝回収率が僅かながら100%を超える(1%程度だが)
的中率が高まると黒字収支が見えてくる好例と言えよう。

上記6条件に少しコメントしておきたい。
これまでのブログ記事で触れてきたことを中心に設定した。
「実力がある確度」の高そうな選抜方法である。
適当に設定した条件ではない。
投票機会を増やしたいので手広く設定したかったが、再現性を優先して誰もができる条件を設定した。

(1)は基準となった過去走(デビュー戦)の人気だが、過去走の人気は「精度は高くないが集合知」であるという前提に立っている。

(2)新馬戦の選択では、芝中長距離、芝短距離、ダート中距離、ダート短距離の順で(傾向として)「格付け」がなされているという前提に立っている。

極端な適性を持たない限り、将来的に稼ぎやすい路線順で出走馬のレベルが決まる。
先ずは1勝させなくてはならないので、調教師らはどのレベルなら勝てるか検討して出走させる。
(3)前号(2)と関連する話だが、相手関係から中央を避け地方を選択する傾向はある。

これを踏まえて札函東京阪5場とした。
北海道と中央では陣営も自信がある馬と考えていいだろう。
ここでは中山デビュー組を外している。
福島と中山は少し特殊なコースのようで、他場と違った結果になるケースがあるように思う。
(4)先行力と次走以降の結果には強い相関性がないように思えた(弱い相関性はある)

上がり3ハロンは最後に力を振り絞るところで競走馬との相関性が比較的高い。
(5)3着以内でも良さそうだが、ここでは5着までとした。

過去の統計から、1勝以上できる馬のほとんどは新馬戦で5着以内であるという結論に基づいて設定した。
(6)無限厩舎がオトコ臭くて申し訳ないが、総じて牝馬より牡馬のほうが強い。

また、牝馬のフケ問題から2月から夏前まではあまり信頼を置けない(これについては第289夜「夏は牝馬」を改めて」を参照されたい)

今夜の記事は長くなった。
さっさと読んで眠ろうとしていた方にはお詫び申し上げる。

(SiriusA+B)

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