2017年2月27日月曜日

第155夜 集合知とオッズ


▼集合知
オッズを「オッズコンピュータ」と話したことがある。
オッズは投票者の総意であり、あたかもスーパーコンピュータを用いたかのように、正答に近い結果を弾き出す。
このようなものを「集合知」などという。
集合知は、正解に近い答えを出すことで知られる。
わたしは素人なので、詳しい理論は専門書やウェブサイトを参照いただきたい。
問題はオッズである。
単勝オッズは、例えば1番人気の場合、約3分の1の的中率を誇り、個々の予想家より良い成績を残す。
株式市場においても日経平均を長期間にわたって上回り続けるアクティブファンドは見当たらない。
超長期的にはパッシブファンドあるいはインデックスファンドと呼ばれるベンチマークに従った投資がアクティブファンドに勝ってしまうのだ。
これは集合知の優秀さを示す例だと言える。
専門家よりも集合知の方が優れた判断をしているのである。

ただ、わたしは、集合知にしては、オッズの的中率が3分の1にとどまる低さを問題視している。
もちろん競馬が成立しなくなると困るのだけれど、もう少し高い的中率にはならないものかと思ってしまうのだ。

▼他人の予想
オッズの的中率の低さの原因を、競馬がよくできていて偶然性が高いのか、あるいは集合知そのものに問題を孕んでいるのかと逡巡する。

仮に、競馬の偶然性が高いとしよう。
優秀な出走馬数頭は実力が拮抗しており、その日の調子や展開のアヤで結果が入れ替わる、という仮定である。
この場合、集合知であるオッズは予測不可能にしては比較的正確で、これ以上的中率が改善しないかもしれない。
他方、競馬の偶然性が低いならどうか。
この場合、オッズは思ったほど正確ではなく、衆愚化するバイアスがかかっている可能性がある。
集合知は、投票者が互いの影響を受けずに投票するので優れた能力を発揮するのだが、例えば予想紙の予想や刻々と変化するオッズに影響を受ける投票者がいると予測の精度は下がるらしい。
現実は、このふたつの仮定の中間のいずれかの地点ではないかと思量する。
ただ、ひとつ言えることは、一定の比率で他人の意見に影響を受ける投票者がおり、幾らかのオッズを歪めていると思われる。

集合知であるオッズが各出走馬の実力を正確に反映しているかどうかは、オッズの逆数から導き出せる予想的中率と実際の的中率との差異で検証できる。
全体としてはオッズは正確であると思われるが、個々のレースに注目したとき、とても正確とは言えない結果に終わることも少なくない。

オッズ予想、予想家の印どおりに買う、オッズを見ながら資金配分する。
こうした他人の投票行動に影響される投票者がかなり存在することから、的中率の「限界」はもう少し高いところにあるのではないかと思われる。
見方を変えれば、バイアスのかかっていない集合知、すなわち「純粋なオッズ」が存在するのではないかと思うのである。
もし、純粋なオッズがあるとするなら、単勝1番人気の勝率は3分の1ではなく、もう少し高くなるのではないだろうか。
(SiriusA+B)

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