2022年1月31日月曜日

第363夜 勝利数別割合から考察できること


勝利度数別割合
少し数字を眺める話である。
大きく傾向は変わらないので少し古い資料を用いる。
競走馬が生涯で勝利する数はどれくらいかご存じだろうか。
中央競馬平地競走に限った話である。
生涯で0勝馬、1勝馬……6勝以上馬と7区分にしたとき、0勝馬は約3分の2である。
ざっと、3頭に2頭は勝ち星を挙げられないままターフを去っていく。
生年別で言えば、日本の年間生産頭数は今や7,000頭前後に過ぎない。
このうち、4,500頭くらいが中央競馬で出走にこぎつける(集計は完走馬。数字を大づかみするので外国産馬については考慮しない)
これで3分の2弱である。
そして出走にこぎつけた馬でも約3,000頭が未勝利のまま引退、地方転厩などしていく。
下表のように1勝馬は完走馬中15%2勝馬は7%3勝馬は5%4勝馬は3%5勝馬は2%6勝以上馬は1%である。
分かりにくいと思った人は、100頭と思って考えると分かりやすいかもしれない。
100
頭いて、未勝利馬が67頭、1勝馬が15頭、2勝以上が7532頭と続き、6勝以上できるのは1頭ということだ。
降級制度の見直しによってこの傾向に変化があるかもしれないが、これが実績である。
それだけ? ふうん、そうなんだ、というのは少し勿体ない。
もう少し分かることがあるかもしれない。
生年別中央競馬平地競走勝利度数別頭数・割合(2018年競走まで)

生涯勝利数 2004年生 2005年生 2006年生 2007年生 2008年生 2009年生 2010年生 2011年生 2012年生 2004-2012
0勝馬 3,057 3,064 3,089 3,110 3,074 3,181 2,964 3,011 3,022 27,572
1勝馬 646 705 674 664 693 625 724 670 677 6,078
2勝馬 321 300 305 313 310 313 288 299 276 2,725
3勝馬 237 236 258 242 203 246 225 258 249 2,154
4勝馬 157 154 153 121 143 176 143 145 136 1,328
5勝馬 80 72 64 94 85 83 74 80 71 703
6勝以上馬 48 44 46 54 58 54 43 46 60 453
合計 4,546 4,575 4,589 4,598 4,566 4,678 4,461 4,509 4,491 41,013
0勝馬割合 67.20% 67.00% 67.30% 67.60% 67.30% 68.00% 66.40% 66.80% 67.30% 67.20%
1勝馬割合 14.20% 15.40% 14.70% 14.40% 15.20% 13.40% 16.20% 14.90% 15.10% 14.80%
2勝馬割合 7.10% 6.60% 6.60% 6.80% 6.80% 6.70% 6.50% 6.60% 6.10% 6.60%
3勝馬割合 5.20% 5.20% 5.60% 5.30% 4.40% 5.30% 5.00% 5.70% 5.50% 5.30%
4勝馬割合 3.50% 3.40% 3.30% 2.60% 3.10% 3.80% 3.20% 3.20% 3.00% 3.20%
5勝馬割合 1.80% 1.60% 1.40% 2.00% 1.90% 1.80% 1.70% 1.80% 1.60% 1.70%
6勝以上馬割合 1.10% 1.00% 1.00% 1.20% 1.30% 1.20% 1.00% 1.00% 1.30% 1.10%
勝ち上がった馬だけで集計する
よくある考えが、0勝馬の割合が3分の2だから、ふるいにかける割合が同じように続くということだろう。
しかし、実際には違うのである。
1
勝以上した馬は集計期間9世代で13,441頭いたが、1勝どまり、すなわち新馬戦か未勝利戦で勝ち上がっただけで終わった馬は45%に過ぎない。
2
勝馬に至っては「2勝どまり」はわずかに37%である(2勝以上馬7,363頭で)
1
勝以上の世界では、出走してくる馬のうち、半数以上が勝ち星を(いずれ)積み上げるということなのである。
もちろん、粒の揃った競走での勝利の価値、或いは困難さを新馬戦や未勝利戦と比較するのはおかしいかもしれないが、「1勝できたら、もうひとつくらい勝てるかもしれない」と馬主や調教師は思うだろう。
他方、競馬予想者のわたしたちにはどの馬にも勝つチャンスがありそうで予想が難しい、となる。
条件戦の難しさはこういうところにある。

このことから、あくまで平均して、ということになるが、当該レースで勝てそう、或いは今後期待できる馬というのは、新馬や未勝利で3分の1、条件戦で6割前後いるということである。
最も多い16頭立て競走で言えば、新馬・未勝利戦では5頭ほど、条件戦では9頭乃至10頭前後が注目しておいて損はない馬ということなのである。
レース結果を復習するということであれば、この割合でマルとバツを付けてみるのも面白いと思う。
ただし、繰り返すが、あくまで平均して、である。
もちろん競走ごとの偏りはあるし、その偏りは小さくない。
それについては次の夜にでも考察できればと思う。
1勝以上馬、2勝以上馬、3勝以上馬だけの集計
生涯勝利数 2004年生 2005年生 2006年生 2007年生 2008年生 2009年生 2010年生 2011年生 2012年生 2004-2012
1勝馬 43.4% 46.7% 44.9% 44.6% 46.4% 41.8% 48.4% 44.7% 46.1% 45.2%
2勝馬 21.6% 19.9% 20.3% 21.0% 20.8% 20.9% 19.2% 20.0% 18.8% 20.3%
3勝馬 15.9% 15.6% 17.2% 16.3% 13.6% 16.4% 15.0% 17.2% 17.0% 16.0%
4勝馬 10.5% 10.2% 10.2% 8.1% 9.6% 11.8% 9.6% 9.7% 9.3% 9.9%
5勝馬 5.4% 4.8% 4.3% 6.3% 5.7% 5.5% 4.9% 5.3% 4.8% 5.2%
6勝以上馬 3.2% 2.9% 3.1% 3.6% 3.9% 3.6% 2.9% 3.1% 4.1% 3.4%
1勝以上馬計 1,489 1,511 1,500 1,488 1,492 1,497 1,497 1,498 1,469 13,441
2勝馬 38.1% 37.2% 36.9% 38.0% 38.8% 35.9% 37.3% 36.1% 34.8% 37.0%
3勝馬 28.1% 29.3% 31.2% 29.4% 25.4% 28.2% 29.1% 31.2% 31.4% 29.3%
4勝馬 18.6% 19.1% 18.5% 14.7% 17.9% 20.2% 18.5% 17.5% 17.2% 18.0%
5勝馬 9.5% 8.9% 7.7% 11.4% 10.6% 9.5% 9.6% 9.7% 9.0% 9.5%
6勝以上馬 5.7% 5.5% 5.6% 6.6% 7.3% 6.2% 5.6% 5.6% 7.6% 6.2%
2勝以上馬計 843 806 826 824 799 872 773 828 792 7,363
3勝馬 45.4% 46.6% 49.5% 47.4% 41.5% 44.0% 46.4% 48.8% 48.3% 46.4%
4勝馬 30.1% 30.4% 29.4% 23.7% 29.2% 31.5% 29.5% 27.4% 26.4% 28.6%
5勝馬 15.3% 14.2% 12.3% 18.4% 17.4% 14.8% 15.3% 15.1% 13.8% 15.2%
6勝以上馬 9.2% 8.7% 8.8% 10.6% 11.9% 9.7% 8.9% 8.7% 11.6% 9.8%
3勝以上馬計 522 506 521 511 489 559 485 529 516 4,638
(SiriusA+B)


2022年1月2日日曜日

第362夜 競馬予想がスランプになったらチャンス

 


▼競馬予想がスランプになったら
誰にでもスランプがある、ということばに、わたしは同意できない。
そういう話をすると、「いや、一流のプロや選手だってスランプに陥ることはあるじゃないか」と反論されてしまうのだが、それについてはわたしも否定しない。
スランプとは、真摯な、真剣な努力をしている人が成績の低下状態に陥ることである。
そもそも努力をしていない人にスランプはない、ということを言いたいのである。
だらだら(真摯に努力しているのに比べて)競馬予想をしていて、不的中が何度か続いたとしたら、精度の低い予想の結果がたまたまハズレに偏った程度の話で、スランプでも何でもない。
したがって、スランプに陥る人は努力の下地がある人でもある。

わたしはスランプを脳の「処理渋滞」に伴う低下と思っているので、脱出方法は気分転換、モチベーションの再向上が脱出方法だと考えている。
要するに、脳をリフレッシュすること、パソコンやスマートフォンなら「再立ち上げ」することである。
少なくとも、真摯な努力をしていない人にはスランプはないのだから、自信をもっていい。

スランプの中で、思考が煮詰まった場合もある。
そういう場合は、それまでの思考を全部横に置いておいてまったく違う視点で一から考え直すというのも悪くない。
わたしの場合、スピード指数系から予想方法を転換したのはやはりスランプに陥ったからだった。
積み上げた独自のスピード指数をやめるというのは勇気が必要だった。
それまでは黒字と言わなくとも自身が満足できる程度の成績を上げていたし、何より自分で見つけてきた知識やノウハウがある。
これを使わないと決めるのは並大抵なことではないのだ。
「別の理論を構築する過程で、もとの理論が正しいとか、何か補足することとかを見つけられるかもしれない。そのときには元の理論に戻ればいい」と自らに言い聞かせて、予想理論探しの旅に出たのである。
結果的に、わたしは新天地(新しい予想方法)を見つけて、そこで生きていくことになった。

▼新天地への道案内
新しい予想方法を考えるとき、貴方の前に道はふたつあるように思う。
(いにしえ)の秘術を探す旅路と、新しい旅路である。
競馬予想に限れば、前者はあまりお勧めしない。
伝統的な考え方には部分的に取り上げるべき知識やノウハウもあるが、「予想法」といった場合には失敗の山であり、その多くの原因も事実誤認、統計不足による誤認に集約されるからである。
新しい旅路のほうが可能性はある。
代表的なものに統計的方法(統計学的分析やAIディープラーニングなどによる機械予想)がある。
コンピュータのない時代には、ビッグデータを扱ったり大量の計算をしたりすることができなかったので、未だ開拓の余地があると思われる。
だが、そうしたものではなくて、まったく違う考え方を探すというのが本当の目指すべき道だろうとわたしは思う。
まさに新天地である。
脱税などによって世間に知られたいくつかの方法は、馬ではなくて馬券の買い方の盲点を突くものだった。
絶対に来ない馬を探すという視点もあった。

わたしは詳しくないが、将棋のAIソフトの開発は見つけるたびによく読むようにしている。
将棋の指し手は非常に多くの組み合わせである。
一手一手を考えがちだが、将棋ソフトは必ずしもそうではないらしい。
将棋の駒にウエイトを付ける、飛車や角行、香車などの可動範囲を見て有利不利を判定する、といった人間とちょっと違った評価をもとにしているようなのである。
対戦の途中でどちらが優勢かわかるようになったのはそのためである。
競馬でも何かそうした発想の大転換がないかとわたしも日々探している。
西田式スピード指数は日本の競馬予想史上、最大の革命理論であったとわたしは今でも思っている。
その後にも、広く公開されていないが新しい知見はいくつかあることも知っている。
わたしの旅は、将棋だけでなく、戦史でも、スポーツでも、金融市場でも、気象でも、月星の運行予測でも、勝負事や予測の方法論などを幅広く訪ねるものである。
スランプだなと感じたときには、こうした書物を読み漁って、わたしも新たな知見を探し出そうとする。
これまでの結果からみて、わたしにとっては「スランプはチャンス」であった。
発見はなくても武器はたくさん手に入れた。
(SiriusA+B)

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