以前に穴を開けた馬たちのその後を調べた記事を書いた。
今夜はそのアップデートを兼ねて、もっと長丁場で追いかけた。
この記事での穴馬の定義は、単勝40倍以上で勝った馬とする。
2006年から2021年までの16年間の中央競馬平地競走を期間として、2004年産駒以降の競走馬で該当する馬を拾う。
大したことないデータだが、気になる点をより深く調べると興味深いことも分かってくるので、関心のある方は掘り下げていただければと思う。
単勝40倍以上としたのは、40倍が勝率2%でキリがよかったからである。
ピックアップされたのは、勝率2%以下と予想された馬たちということだ。
産駒世代別に集計したのは、古馬になっていない2019年産駒を注意しておくためと、2019年夏から導入された降級制度廃止の影響を見るためである。
(図表422-1)単勝40倍以上勝利馬の次走以降成績(2006-2021年中央競馬平地競走成績に基づく。2004年以降生れ)
生年 | 頭数 | 再勝利頭数 | 再勝利率 | 勝利回数 | 出走回数 | 勝率 |
2004年 | 132 | 51 | 39% | 86 | 1,705 | 5.0% |
2005年 | 148 | 60 | 41% | 101 | 2,032 | 5.0% |
2006年 | 132 | 40 | 30% | 65 | 1,565 | 4.2% |
2007年 | 141 | 45 | 32% | 73 | 1,912 | 3.8% |
2008年 | 126 | 41 | 33% | 73 | 1,735 | 4.2% |
2009年 | 145 | 60 | 41% | 125 | 1,949 | 6.4% |
2010年 | 144 | 42 | 29% | 68 | 1,734 | 3.9% |
2011年 | 140 | 35 | 25% | 66 | 1,826 | 3.6% |
2012年 | 126 | 37 | 29% | 90 | 1,720 | 5.2% |
2013年 | 150 | 48 | 32% | 72 | 1,842 | 3.9% |
2014年 | 146 | 42 | 29% | 73 | 1,674 | 4.4% |
2015年 | 126 | 35 | 28% | 57 | 1,329 | 4.3% |
2016年 | 117 | 33 | 28% | 63 | 1,056 | 6.0% |
2017年 | 87 | 36 | 41% | 52 | 713 | 7.3% |
2018年 | 69 | 20 | 29% | 27 | 307 | 8.8% |
2019年 | 31 | 0 | 0% | 0 | 31 | 0.0% |
計 | 1,960 | 625 | 32% | 1,091 | 23,130 | 4.7% |
2003年以前の産駒を加えていないが、毎年100頭から150頭の馬が穴を開けてきた。
降級制度廃止前後で推測できることは、高齢馬の激走である。
2017年産駒(2019年に2歳)以降の穴馬が大幅に減っている一因だろう。
1,960頭のうち、次走以降で1勝以上した馬は延べ625頭である。
率にして32%弱で、凡そ3割の馬が該当する。
3割の馬は、実力より低評価だったのかもしれないと言える。
延べ頭数と言ったが、単勝40倍以上で3回勝った馬がいる。
2009年産駒サンマルデューク号で、生涯成績は11歳まで走って7勝、オープン特別の師走ステークスとポルックスステークスを連勝した。
2戦目の未勝利戦を41.8倍で勝ったあと、単勝万馬券を2度も出した。
引退後、2020年に中京競馬場の誘導馬になった。
40倍以上の単勝を2度までなら、さらに70頭いる。
振り返れば優秀な戦績なのに、わたしたちはしばしば見過ごしているということである。
(図表422-2)単勝40倍以上の勝利回数別頭数
単40倍以上勝鞍 | 頭数 |
3回 | 1 |
2回 | 70 |
1回 | 1,817 |
▼次走以降で10勝した馬は
次走以降で単勝倍率に関わらず1勝以上した馬延べ625頭のうち、最多勝利数は10勝が1頭いる。
次いで、8勝が1頭だった。
さすがに6割近くが次走以降1勝止まりだが、残りが2勝以上しているとも言える。
その「穴を開けたあと8勝した」馬がナムラタイタン号である。
中央9勝、地方転出後も12勝して通算21勝である。
デビュー戦は未勝利戦で、10番人気、単勝70.2倍で勝利、オープン特別連勝まで6連勝した。
引退後、種牡馬になっている。
初戦以外は人気馬で、初戦が予想者の見込み違いだった。
2戦目を9番人気で勝った。
これも、振り返れば何故人気薄だったのか、と思いたくなる。
(図表422-3) 単勝40倍以上勝利馬の次走以降勝利回数別頭数
勝利回数 | 頭数 |
10勝 | 1 |
9勝 | 0 |
8勝 | 1 |
7勝 | 2 |
6勝 | 5 |
5勝 | 10 |
4勝 | 33 |
3勝 | 67 |
2勝 | 140 |
1勝 | 366 |
計 | 625 |
▼規則性を見つけ出せるか
読み物としては以上である。
ここで「ふうん」と言って終わる人と、「これらの馬をどうやったらピックアップできるだろう」と考える人に分かれる。
このブログは後者向けだが、「穴馬の研究なら要らない」という、順当馬券派にも関心を持ってほしい。
穴馬の研究は、穴馬を拾うだけが目的ではない。
穴馬になるということは、裏返せばおおかたの場合には勝てないということでもあるのだ。
いつ発生しやすいか、開催条件、馬齢、斤量、騎手、出走間隔など調べ直すのもいいと思う。
競馬に勝つということは、規則性を見つける作業の繰り返しである。
(SiriusA+B)