▼AIの目覚ましい発達
AI技術は、チェス、囲碁、将棋の分野で現役最高クラスを凌駕しつつある。
わたしの個人的に最も大きかった衝撃で言えば、将棋の名人が「ポナンザ」に敗れたことである。
チェスで人間が敗北したのは随分前だが、将棋においても人間が敗れることは時間の問題だったと考えていた。
衝撃的だったのは「その日」がわたしの予想より早かったことだ。
AI技術に競馬予想で凌駕されては困る。
凌駕される前に、競馬予想で生活しておきたい(笑)と考えていたわたしには、ほとんど時間が残されていないのではないかと慌てたのである。
だが、光明も見えた気がする。
AI技術の勝利は、ゲームの勝利であるとともに、プログラムの勝利であるとも言える。
わたしが注目したことは、AIによる予測が素晴らしいという以上に、現実世界の多くの事象から主だったものを抽出して予測するプログラムの考え方、作成力である。
競馬は将棋と異なるゲームだが、「あらゆる事象を抽出できないから予測はできない」という考えを改められそうに思えた。
▼例えば決定木
AIと聞けば、なにやら凄いことをしているように思うけれど、そもそもAIとは何か、ということさえ、文系のわたしたちにははっきりしない。
わたしは先日の週刊東洋経済が簡単化してくれたように、最も狭義が「ディープラーニング」、次いで「ニューラルネットワーク」、「機械学習」と広くなっていくように思う。
ディープラーニングはニューラルネットワークを多層化したものという、研究者にはたいへん失礼ながら大雑把なイメージをしている(間違っていたらすみません)。
では、ニューラルネットワークはどういうものかというと、「神経の……」という説明はおいておき、「決定木」というロールプレイングゲームのような幾つかの選択肢で分岐させたツリーを作っている。
牡牝、前走3着以内かどうか、前走上がり3ハロンが3位以内かどうか、という3つの分類なら、それぞれ選択肢を1と2とすると、
111、112、121、122、211、212、221、222
の8つに枝分かれする。
例えばこの8分類別に勝率を求めるのである(あくまで大雑把なわたしのイメージ)。
なんだ、そんなことかと思う人もいよう。
コンピュータが凄いのは、最適な組み合わせ(この3つの分類のように)を人間と比較にならない速さで探し当てることなのだ。
例えば前走3着以内より4着以内が良いとかいったことも調べる。
ディープラーニングでは、複数の決定木を作り、多数決で答えを決める、とわたしは考えている(このあたりはかなり適当なので、鵜呑みにしないように願う)。
あくまで決定木についてだが、コンピュータで難しいことを計算しているといっても人間の想像できるやり方なのである。
優れた計算速度で、人間では不可能な量の仕事をするだけのことなのだ。
ベストな組み合わせでないけれど、決定木を複数作って多数決で答えを決めることは手作業でもできる。
(SiriusA+B)