2017年9月15日金曜日

第182夜 ルーツを探る血統理論は砂上の楼閣か

▼遺伝子検査による鑑定の歴史は十数年
ファミリーラインすなわち母系を辿る重要性はこのブログで何度か取り上げてきた。
祖先馬というオリジナルの考えもご紹介したことがある。
しかし、わたし自身、血統を馬券検討の要素にするのは躊躇ってきた。
やっぱり信用できないのである。

長く行なわれてきた血液型によるサラブレッドの親子判定は判定効率が97%程度だったとされる。
アラブ馬では血量を偽るテンプラという行為もみられた時代があった。
故意でなくてもトラブルはある。
受胎が確認できず、すぐに別の種牡馬を付ける場合には、前の種牡馬の仔かもしれない。
2頭の種牡馬の血液型が同じということはあるのだ。
こうした誤りを見逃してきた可能性は高いのである。

限りなく100%に近い遺伝子検査による鑑定は2002年から始まった(日本の場合)。
それほど昔のことではないのである。
系図にも誤りが多数見つかっている。
大きなところでは、ファミリーナンバー2号族と8号族のミトコンドリアDNAは同じだ。
ミトコンドリアDNAは母性遺伝なので、このふたつのファミリーは祖先が同じではないか。

これらの事実からも、ルーツを辿るタイプの血統理論は脆弱な基礎の上に成り立っていることがわかるだろう。

▼兄弟姉妹
遺伝子レベルの情報公開がどこまで広がるかはわからないが、2000年代より前の血統の信用性が低いなら最近のデータのみでできることを考えたほうが良い。
消化不良だったが、第124話から続くシリーズでは、1990年生まれの牝馬の仔たちがどのような競走成績だったか分析した。
兄弟姉妹の情報は、父馬や出生順などの考慮が必要だが、かなり有用である。
外国からの持ち込み馬が少ない現在、情報を集めることは、相当な手間であってもそれほど難しくない。
牝馬の出産年齢にもよるが、産駒の成績には一定の期待(予測)が見込まれる。
この点を加味した上で、予想することは血統理論に資するだろう。
(SiriusA+B)

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