▼惑わす数字
「時計、展開、3ハロン」と題しても良いのだが、数字を鵜呑みにしない方がいい、という話である。
斤量、調教時計、馬体重、走破タイム、展開(通過順位)、上がり3ハロンタイム。
これらを頭から不要と言っているのではない。
もちろん、直感や語呂合わせやパドック、調子といった数字に表れないものを重視するべきというつもりも毛頭ない。
十分な測定のできない主観的な情報など、百害あって一利なしとさえわたしは考えている。
ただ、これらの数字がどれだけ確かな数字なのか、レース結果にどれだけ関連しているのか、検証してほしいと思う。
レースの勝利や入着にどれほどの影響があるか。
それだけではない。
競馬の情報は、絶対値ではなく、相対的な数字が多い。
よく見れば、影響度と相対性でなんと心許ない数字か。
同じ1分32秒4という走破タイムでもレースにより価値が違う。
馬体重は相対的な数字ではないけれど、ボロひとつで数キログラム増減する曖昧さと、人間で言えば1キログラム増減が馬なら約8キログラム増減に相当する程度の動きでレースにどれだけ影響するのかということである。
もしかしたら、わたしたちの予想行為を惑わすために公開された数字ではないかとも穿ってしまうくらいなのだ。
以上6つの数字は、思ったほど予想に貢献していないかもしれない気がする。
▼着順、賞金、誕生日
わたしなりの経験だけで言えば、使える数字ならまだまだある。
相対的な数字であるが、着順も価値がある。
賞金はかなり使える。
誕生日、年齢などはあまり活用されていないのかもしれない。
共通するのは、ひと工夫、ひと手間が必要なことか。
生で食するよりも、少し火を入れると美味しくなるような食材のようである。
賞金については、前夜第214夜で触れたので割愛する。
誕生日はもう少し工夫が要る。
数え年に近い馬柱掲載の馬齢は区切りとしては大きすぎるように思う。
新馬戦の頃でなければ馬柱には掲載されないから、別にデータを持っている必要がある。
また、誕生日そのものには価値があまりなく、出走日付との差を日齢、週齢、月齢などとして求めなければならない。
わたしは一旦、日数(すなわち日齢)でデータを保持し、適宜大きさを変えて区切っている。
入厩日は情報収集が難しいけれど初出走日なども誕生日に代えて使うのもいい。
2歳、3歳の馬齢戦(同歳戦)では、最も年長の馬が、古馬戦では最も若い馬が高い勝率になることが実感できるだろう。
日付データは前走との出走間隔やその間の馬体重の変化量(1日あたり何キログラム増減したか)などの分析にも役立つ。
調教師のついては最近連載したように、人間も組織も同様でやはり経年変化する。
騎手も年齢による変化は、名手といえど、ある。
膨大な量のデータを集める際には、「固定値」はないと思った方がいい。
(SiriusA+B)