▼月別走破速度
含水率による馬場状態を気に留める人は少なくないけれど、同じ良馬場でも時期によって走破速度が異なることはご理解いただいているだろうか。
誰でも知っているものと思っていたところ、そうでもないと周囲を見て気付いた次第である。
極端ではないけれど、月別に見れば、まあ違う。
特にダートコースは一定と評されることが多いので、こうした事実を伝えにくいのかもしれない。
或いはご存知の人でも「冬のダートは乾燥してパンパン、力も要る」くらいの認識かもしれない。
わたしもそのくらいの認識である。
だが、もう少し巨視的に調べてみようと思う。
実は、母集団や成長などさまざまな原因が複合して走破タイムは動いているのだ。
それぞれの影響度合いを示すことは未だできないが、どのような要素が平均走破タイムに影響を与えるか知っておくのも良いかと思う。
速度を決定するメカニズムを知る上で役立つことになろう。
わたしのように走破タイムを分析対象にしていない人にとっては瑣末なこととも言えるが、スピード指数やわたしがこのブログで推奨する速度を活用する人には、復習も兼ねて読んでいただきたいと思う。
芝とダートは別々に分けている。
今回分析対象外とした馬体重、開催競馬場の分析は皆さんにお任せしたいが、この分析で結論が大きく変わる可能性もある。
また、性別分析はもう少し詳しく調べれば示唆に富む結果が出るように思う。
データは、少々古いが2006-2014の9年間の中央競馬平地競走完走馬の記録を用いた。
このあと見ていくが、芝とダートで傾向が違うので注意されたい。
▼季節要因は芝・ダートとも同じ傾向
月毎に集計したデータを速度順に並べると、芝・ダートとも共通するのが季節要因である。
1、2、3月は速度が低く、10、11月は速度が高くなる。
2月のダートはその他の要因もあり、速度は平均を少し下回る程度なのだが、基本的には時計がかかるとみていいだろう。
また、12月は冬のカテゴリーに入れて良い気がする。
12月から3月までを冬場とみるのも間違いではなかろう。
季節要因は、昔から指摘されていたことではある。
ダートは乾燥してパンパンの良馬場、芝も枯れ、どちらも時計がかかるのは確かだろう。
だが、10、11月との対比をしてみて、単純に馬場状態の問題ではないように思えた。
先ず、競走馬自体が不活発である可能性である。
「天高く馬肥ゆる秋」ということばがあるように、体調が良い時期は人間と同様に秋である。
寒くなれば冬毛に変わり、冬支度をするのである。
馬場だけではなく、競走馬自体も「冬モード」になっているものと思われる。
さらに、競走条件の影響も推定される。
出走馬数をみれば分かるが、ダート競走は1月から3月まで多く、下級条件競走が多く組まれる。
出走馬日齢も1月には12月より一気に下がり、3歳馬の競走が増えていることも推定できる。
つまり母集団のレベルも下がっているのではないかという仮定ができる。
実際、フェブラリーステークスのある2月はともかく、1、3月のダート競走出走馬の出走前平均獲得賞金額は低めである。
一方、芝コースでも速度は低下しているのだが、「下級条件競走がダートにシフトしているのだから、速度は高くなってもおかしくないのでは」という疑問が出る。
春のG1競走に向けて高額条件馬も始動しており、体調面だけを理由にするのは腑に落ちない。
そこで見つけたのが競走距離である。
12月から芝競走は絞られてくるので、上級競走の比重が高くなり、競走距離が伸びるのである。
芝コースの場合、どうやら距離による速度低下は大きいようである。
別の見方をすれば、芝コースでは速度と競走レベルの相関性は思ったほど高くない、すなわち、上級条件競走でも速度がそれほど高くなるわけではない、ということか。
ちなみに、ダート競走は年間を通じて競走距離の差が少ない。
10月、11月に速度が高くなるのは競走の数が少なく、比較的上級条件競走の比重が高いことによる可能性が高い。
▼古馬戦を分けて再度挑戦
ここまで調べてきたのだが、やはりもう少し細かく分類しないと分からないことがあるように思えてきた。
すぐにはできないが、いずれ改めて分析してみる。
(SiriusA+B)
含水率による馬場状態を気に留める人は少なくないけれど、同じ良馬場でも時期によって走破速度が異なることはご理解いただいているだろうか。
誰でも知っているものと思っていたところ、そうでもないと周囲を見て気付いた次第である。
極端ではないけれど、月別に見れば、まあ違う。
特にダートコースは一定と評されることが多いので、こうした事実を伝えにくいのかもしれない。
或いはご存知の人でも「冬のダートは乾燥してパンパン、力も要る」くらいの認識かもしれない。
わたしもそのくらいの認識である。
だが、もう少し巨視的に調べてみようと思う。
実は、母集団や成長などさまざまな原因が複合して走破タイムは動いているのだ。
それぞれの影響度合いを示すことは未だできないが、どのような要素が平均走破タイムに影響を与えるか知っておくのも良いかと思う。
速度を決定するメカニズムを知る上で役立つことになろう。
わたしのように走破タイムを分析対象にしていない人にとっては瑣末なこととも言えるが、スピード指数やわたしがこのブログで推奨する速度を活用する人には、復習も兼ねて読んでいただきたいと思う。
芝 | ダート | ||||||||||||
月 | 速度km/h | 完走件数 | 平均距離m | 出走前平均獲得賞金 | 平均日齢 | 平均性別 | 月 | 速度km/h | 完走件数 | 平均距離m | 出走前平均獲得賞金 | 平均日齢 | 平均性別 |
1 | 59.05 | 13,625 | 1,742 | 1,521,785 | 1,431 | 1.36 | 1 | 56.73 | 21,554 | 1,517 | 961,971 | 1,379 | 1.35 |
2 | 59.13 | 13,966 | 1,717 | 1,444,049 | 1,440 | 1.39 | 2 | 57.00 | 18,433 | 1,535 | 1,094,103 | 1,389 | 1.34 |
3 | 58.84 | 16,434 | 1,712 | 1,205,667 | 1,453 | 1.39 | 3 | 56.78 | 22,279 | 1,515 | 889,354 | 1,391 | 1.36 |
4 | 59.27 | 17,494 | 1,712 | 1,036,518 | 1,449 | 1.40 | 4 | 57.06 | 19,023 | 1,517 | 953,206 | 1,402 | 1.35 |
5 | 59.61 | 20,486 | 1,691 | 914,308 | 1,458 | 1.41 | 5 | 57.32 | 17,888 | 1,539 | 1,047,099 | 1,436 | 1.33 |
6 | 59.42 | 17,323 | 1,670 | 872,893 | 1,439 | 1.40 | 6 | 57.37 | 16,270 | 1,527 | 929,387 | 1,402 | 1.35 |
7 | 59.43 | 21,293 | 1,591 | 702,833 | 1,373 | 1.44 | 7 | 57.22 | 16,373 | 1,508 | 914,030 | 1,410 | 1.37 |
8 | 59.68 | 22,893 | 1,581 | 611,459 | 1,346 | 1.46 | 8 | 57.20 | 15,220 | 1,507 | 919,719 | 1,423 | 1.38 |
9 | 59.61 | 18,665 | 1,623 | 775,704 | 1,334 | 1.45 | 9 | 56.96 | 15,538 | 1,515 | 931,813 | 1,427 | 1.38 |
10 | 59.70 | 17,840 | 1,652 | 1,054,715 | 1,385 | 1.41 | 10 | 57.53 | 15,967 | 1,518 | 1,178,438 | 1,482 | 1.32 |
11 | 59.61 | 19,331 | 1,643 | 1,077,578 | 1,366 | 1.41 | 11 | 57.47 | 16,985 | 1,508 | 1,226,415 | 1,450 | 1.32 |
12 | 59.16 | 16,634 | 1,697 | 1,307,526 | 1,399 | 1.39 | 12 | 56.92 | 18,764 | 1,529 | 1,159,102 | 1,424 | 1.33 |
全体 | 59.40 | 215,984 | 1,663 | 1,007,197 | 1,403 | 1.41 | 全体 | 57.11 | 214,294 | 1,520 | 1,015,141 | 1,416 | 1.35 |
3 | 99.1 | 7.6 | 102.9 | 119.7 | 103.6 | 98.6 | 1 | 99.3 | 10.1 | 99.8 | 94.8 | 97.4 | 100.0 |
1 | 99.4 | 6.3 | 104.8 | 151.1 | 102.0 | 96.5 | 3 | 99.4 | 10.4 | 99.7 | 87.6 | 98.2 | 100.7 |
2 | 99.5 | 6.5 | 103.2 | 143.4 | 102.6 | 98.6 | 12 | 99.7 | 8.8 | 100.6 | 114.2 | 100.6 | 98.5 |
12 | 99.6 | 7.7 | 102.0 | 129.8 | 99.7 | 98.6 | 9 | 99.7 | 7.3 | 99.7 | 91.8 | 100.8 | 102.2 |
4 | 99.8 | 8.1 | 102.9 | 102.9 | 103.3 | 99.3 | 2 | 99.8 | 8.6 | 101.0 | 107.8 | 98.1 | 99.3 |
6 | 100.0 | 8.0 | 100.4 | 86.7 | 102.6 | 99.3 | 4 | 99.9 | 8.9 | 99.8 | 93.9 | 99.0 | 100.0 |
7 | 100.1 | 9.9 | 95.7 | 69.8 | 97.9 | 102.1 | 8 | 100.2 | 7.1 | 99.1 | 90.6 | 100.5 | 102.2 |
9 | 100.4 | 8.6 | 97.6 | 77.0 | 95.1 | 102.8 | 7 | 100.2 | 7.6 | 99.2 | 90.0 | 99.6 | 101.5 |
5 | 100.4 | 9.5 | 101.7 | 90.8 | 103.9 | 100.0 | 5 | 100.4 | 8.3 | 101.3 | 103.1 | 101.4 | 98.5 |
11 | 100.4 | 9.0 | 98.8 | 107.0 | 97.4 | 100.0 | 6 | 100.5 | 7.6 | 100.5 | 91.6 | 99.0 | 100.0 |
8 | 100.5 | 10.6 | 95.1 | 60.7 | 95.9 | 103.5 | 11 | 100.6 | 7.9 | 99.2 | 120.8 | 102.4 | 97.8 |
10 | 100.5 | 8.3 | 99.3 | 104.7 | 98.7 | 100.0 | 10 | 100.7 | 7.5 | 99.9 | 116.1 | 104.7 | 97.8 |
※日齢は日数。「出走日-誕生日」。性別は牡を1、牝を2としたときの完走馬平均で、2に近づくほど牝馬の比率が高くなる。下半分の黄色の網掛けは全体を100とした場合の数値。 |
▼芝とダートで要素の影響度合いは違う
平均走破タイムが変動する要素としてわたしが推定したのは、距離、性別、日齢、出走前平均獲得賞金である。芝とダートは別々に分けている。
今回分析対象外とした馬体重、開催競馬場の分析は皆さんにお任せしたいが、この分析で結論が大きく変わる可能性もある。
また、性別分析はもう少し詳しく調べれば示唆に富む結果が出るように思う。
データは、少々古いが2006-2014の9年間の中央競馬平地競走完走馬の記録を用いた。
このあと見ていくが、芝とダートで傾向が違うので注意されたい。
▼季節要因は芝・ダートとも同じ傾向
月毎に集計したデータを速度順に並べると、芝・ダートとも共通するのが季節要因である。
1、2、3月は速度が低く、10、11月は速度が高くなる。
2月のダートはその他の要因もあり、速度は平均を少し下回る程度なのだが、基本的には時計がかかるとみていいだろう。
また、12月は冬のカテゴリーに入れて良い気がする。
12月から3月までを冬場とみるのも間違いではなかろう。
季節要因は、昔から指摘されていたことではある。
ダートは乾燥してパンパンの良馬場、芝も枯れ、どちらも時計がかかるのは確かだろう。
だが、10、11月との対比をしてみて、単純に馬場状態の問題ではないように思えた。
先ず、競走馬自体が不活発である可能性である。
「天高く馬肥ゆる秋」ということばがあるように、体調が良い時期は人間と同様に秋である。
寒くなれば冬毛に変わり、冬支度をするのである。
馬場だけではなく、競走馬自体も「冬モード」になっているものと思われる。
さらに、競走条件の影響も推定される。
出走馬数をみれば分かるが、ダート競走は1月から3月まで多く、下級条件競走が多く組まれる。
出走馬日齢も1月には12月より一気に下がり、3歳馬の競走が増えていることも推定できる。
つまり母集団のレベルも下がっているのではないかという仮定ができる。
実際、フェブラリーステークスのある2月はともかく、1、3月のダート競走出走馬の出走前平均獲得賞金額は低めである。
一方、芝コースでも速度は低下しているのだが、「下級条件競走がダートにシフトしているのだから、速度は高くなってもおかしくないのでは」という疑問が出る。
春のG1競走に向けて高額条件馬も始動しており、体調面だけを理由にするのは腑に落ちない。
そこで見つけたのが競走距離である。
12月から芝競走は絞られてくるので、上級競走の比重が高くなり、競走距離が伸びるのである。
芝コースの場合、どうやら距離による速度低下は大きいようである。
別の見方をすれば、芝コースでは速度と競走レベルの相関性は思ったほど高くない、すなわち、上級条件競走でも速度がそれほど高くなるわけではない、ということか。
ちなみに、ダート競走は年間を通じて競走距離の差が少ない。
10月、11月に速度が高くなるのは競走の数が少なく、比較的上級条件競走の比重が高いことによる可能性が高い。
▼古馬戦を分けて再度挑戦
ここまで調べてきたのだが、やはりもう少し細かく分類しないと分からないことがあるように思えてきた。
すぐにはできないが、いずれ改めて分析してみる。
(SiriusA+B)