新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は、世界的な混乱を生んでいる。
政治的、医学的、社会的な議論はこのブログの領域ではないので、ただただ、競馬がどうなるのか、に関心を絞っている。
無観客での興行を他のギャンブルに先駆けて実施したことが、競馬ファンにとっては幸いした。
主催者には未知の難題に迅速に取り組んでいただき、感謝感謝である。
馬券を買う者として、このブログでは「無観客というシチュエーションが勝負にもたらす影響」を考察したいと述べた。
これはプロ野球や大相撲など競馬以外のスポーツでも参考になるので注目している。
これに加えて、統計の問題についても大いに話題になっているので関心を持っている。
全国の感染者数や、各国の感染者数の発表で、これほど「母数」あるいは「母集団」について事実上の大衆討議があった統計は史上初めてではないかと思う。
「国内で千人が新たに陽性とされました」と報道されても、検査数が不明で陽性率が分からなければ判断を誤る、といった意見が専門家ばかりでなく市井の人から相次いだのである。
また、統計学的に今後の感染者数の予測がうまく的中しなかったことも(当たっている予測もあったようだが)、統計学が数学とは異なるもので絶対的なものではなく、前提の置き方・設定などにより数学的に処理しているものであることを再認識させられたように思う。
統計学と数学は似ているけれど、物理学と数学の関係に近いとわたしは思っている。
「数字は嘘をつかないが、うそつきは数字を使う」とは政治評論家の伊藤惇夫さんのことばだと聞いたことがある。
名言である。
ことばを加えてよいとしてもらえるなら、わたしは「うそつきに数字を利用されないように、数字の背景や隠された数字を知る努力をすべきである」としたい。
だまされるほうが悪いとは決して思わないけれど、だまされやすい人は少なからずいて、耳にしたことば通りに信用してしまう。
特に数字は正しいと思い込んでいるところがある。
わたしの言う「隠された数字」とは、今回の新型コロナウイルス問題のように「検査した人数」だったり(隠しているわけではないと思うが)、大小・多少などをあいまいに判断してしまうひとの脳内にある「基準値」だったりする。
大小の例を挙げると、以下のような感じで、仕事でもよく遭遇すると思う。
A「ある社員の通勤の鉄道距離が片道50km近くあり遠いので特急利用を認めてはいかがでしょうか」
わたし「50km弱って遠いほうなの」
A「遠いと思います」
わたし「東京圏ではこの社員だけではないでしょう。通勤手当支給者でほかにも該当する人は何人くらいいるの」
A「…調べてみます」
わたし「もうひとつ、何kmから遠いことになるの。この人は49kmだけど、48kmは認めるの。では47kmは。どこで線を引くの」
A「…でもこのひとは最寄駅から自宅までもバスを利用しなければならなくて」
わたし「距離もあいまいだけど、それ以外にも判断要素があるってことね」
たいへんまじめなAさんの気持ちは汲んであげたいが、特急利用を認めてあげたいばかりに50km=遠い、という基準値を植え付けられてしまったのである。
訴えてきた社員は、最寄駅から自宅までが遠いことに辟易していることが本当のところで、せめて鉄道では特急に乗って座って通勤したいと思い「50kmは遠い」と言い出したのかもしれない。
Aさんも同じような境遇の人の調査も考え付かなかったのだろう。
話が大きく逸れてしまった。
次項以下で主だった競馬の数字を挙げる。
わたしはダービー馬の名前も知らない(憶える気がない)から他人のことを言えた義理ではないけれど、年間に何レースくらいあるのかとか、馬連や三連単の組み合わせ数などをまったく知らない人がいたものだから「全体像を知らない人はいるのかもしれない」と思った次第である。
1開催場で1日最大12競走、フルゲートは18頭くらいしか知らなくても馬券を買えるし、儲ける人もいるだろう。
だが、わたしたち凡才は多くの情報を手に入れておくだけでもパフォーマンスが上がるのだ。
▼1年間の競馬番組
JRAの年間競走数はいくつか、ベテランでも知らない人はいるようだ。
近年は3,454競走だが、3,456競走から有馬記念とジャパンカップの日に11レースだからマイナス2と覚えれば簡単である。
「3456」というのは覚えやすい数字である。
施行日数は「288日」で競走数12を乗じれば算出できる。
この施行日数は、古いファンのほうがよくご存じかもしれない。
今は融通が利くようになったけれど、1990年代までは競馬場改修工事と自然災害などの理由がない限り、次のように決まっていた。
1開催あたりも8日間であった。
(1)中央開催(東京、京都、中山、阪神)は5開催(4場×5開催×8日=160日)
(2)地方開催(福島、新潟、中京、小倉)は3開催(4場×3開催×8日=96日)
(3)北海道開催(札幌、函館)は2開催(2場×2開催×8日=32日)
288日は、以上(1)+(2)+(3)で求められる。
余談だが、今でこそ1日11レースの日は年2回ほどだが、割とつい近年までは日本ダービーは第9競走とか第10競走とかになっていた。
当時のコンピュータの処理能力やインターネットの未発達な状況から考えればやむを得ないところであるが、それは現在の恵まれたIT環境を前提に考えているからである。
わたしの周囲を見る限り、年間競走数に関心がない人には、「レースを絞って買う」タイプの人が多いように思えた。
そういう人にこそ知ってもらいたい情報だと思うのだが、違うのかな。
ちなみに障害競走は年間125から135くらいあるので、平地競走数は年間3,330弱である。
★図表291-1 中央競馬競走回数
開催年 | 競走数 | 平地競走数 | 障害競走数 |
2006年 | 3,453 | 3,320 | 133 |
2007年 | 3,453 | 3,321 | 132 |
2008年 | 3,452 | 3,320 | 132 |
2009年 | 3,453 | 3,319 | 134 |
2010年 | 3,454 | 3,320 | 134 |
2011年 | 3,453 | 3,331 | 122 |
2012年 | 3,454 | 3,321 | 133 |
2013年 | 3,454 | 3,324 | 130 |
2014年 | 3,451 | 3,326 | 125 |
2015年 | 3,454 | 3,326 | 128 |
2016年 | 3,454 | 3,326 | 128 |
2017年 | 3,455 | 3,329 | 126 |
2018年 | 3,454 | 3,328 | 126 |
▼競走馬は何勝するのか
次に、競走馬について全体の数を示したい。
残念ながら紙幅の関係で次の夜に続く。
要点をまとめておくと、「7,000頭の同期、4,500頭のデビュー、1,500頭の勝馬」である。
(SiriusA+B)