2020年8月2日日曜日

第289夜 「夏は牝馬」を改めて

▼生理的優劣はともかく勝ちやすい環境
5年近く前、このブログの初期に、夏の牝馬について記したことがある。

考え方の方向性は今もまったく変わらないのだが、先日雑誌か何かの記事を見て、わたしなりに補足したくなったので改めて整理してみる。
「夏は牝馬」、すなわち夏の開催では牝馬が頻繁に連対する、という背景は、
(1)芝レース、小回りコースが多い時期であること

(2)各クラスの有力馬が夏休み中で層が薄いこと

にある。
牝馬の場合、ダート戦での成績は良くない。
夏は芝のレースが多いので成績を上げる要因になっている。
北海道・地方開催は小回りで平坦なコースであることも好影響を与える。
牝馬に限らないけれど、大回りコースほど実力を発揮しやすい、その反対である。
展開の助けが要るという馬には運が向くことも東京競馬場などよりはいいだろう。
体脂肪率や筋肉量は牡馬とあまり差がないとも言われるが、平均馬体重は牡馬より20kgほど少なく、その分非力で平坦コースは歓迎だろう。
そしてこれこそ補足したかった内容だが、同じクラスでも勝ち負けに持ち込める能力上位馬は夏休み中なので出走馬のレベルも夏は低めなのである。
同じ1勝でも勝ち上がりやすい。
冬より牝馬限定戦が少ないのも、以上のように夏開催では勝ちやすい条件が揃っているからである。
お陰で出走頭数も多く、尚更「よく来る」ように見える。

生物学的に牡牝で運動能力の差がどの程度あるのか、わたしには知見がない。
夏バテしにくいとか、筋肉の種類が違うとか、そうしたことは分からないけれど、何か牡馬との差がある可能性はある。
だが、とにかく1勝すれば昇級する仕組みである限り、相手関係や競走条件の有利なところを探すのは自然な考え方だろうと思う。
クラスが同じなら年間を通じてレベルも同じ、と思い込んでいる人がいれば、一度そのフィルターを外してみてほしい。

▼フケとの関係
夏に活躍するということは、それ以外の時期の成績は芳しくないということでもある。
牡馬は「馬っ気」と言うが、牝馬も「フケ」と呼ばれる発情期がある。
素人で詳しくないのでいろいろ調べてみたが、繁殖時期である「春先から数か月」に数回出る生理現象である。
ネットからの受け売りで恐縮だが、時期は2月から7月にかけて、周期は約23日、56日続くという。
パドックで緩めに上下左右に尻尾を振っていたらフケだという解説もあるけれど、素人には確認しにくいと言うから断定は危険かもしれない。
時期にも個体差があるし、馬っ気と同じで競走に影響の少ない馬もいるようだし、投薬で抑制するケースもある。
要するに、わたしたちには真相は分からないと思っておいたほうが良さそうだ。
それでもこの時期には競走に影響する牝馬がいることは頭に入れておきたい。

結論として、
1)冬はダート戦が多い

2)春先から数か月はフケで不調の牝馬がいる

3)秋は出走馬のレベルが上がり勝ち上がりにくい

というのが「夏は牝馬」の真相かもしれない。
(SiriusA+B)

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