2021年12月31日金曜日

第361夜 1番人気が勝ったレースの次

 


独立事象
怪しげな確率論を持ち出して「1番人気が勝ったあと、次のレースは荒れる」と断定するのはおかしな話である。
独立事象だからだ。
大昔にこの話を記事にしたように思うが、改めて検証したところ、やっぱり結論は変わりなかった。
ほとんどの開催日では112レース行なわれる。
2006-2018
年のレース数は、障害競走を含めて44,894レースあった。
1
番人気の勝った競走は14,392競走あり、勝率は32.1%である。
天候等の理由で「続行競馬」となったものも競走番号どおり1日間に施行されたことにした場合、最終レースを除くと41,150競走、1番人気は13,347競走で勝利した。
勝率は32.4%である。
その1番人気の勝った13,347競走の次の競走で1番人気が勝ったのは4,241競走、勝率は31.8%であった。
ほとんど誤差の範囲だと私は考える。
1競走の結果は第2競走の結果にまったく関与しないことは明白だからだ。
たまたま1番人気が連続して勝利し、次のレースで1番人気が敗けてそう思ったとしても、基本的には印象の強いものの記憶が残ったに過ぎない。
もちろん、乱数ではないから、若干の偏りはある。
3場で強い騎手がひとりだけだったとかいったケースである。
ただ、全体として、そういうものはない。

念のため、勝ち馬の人気別に次の競走で1番人気が勝ったレースを調べてみると、多少の凸凹はあるものの、やはり勝率の大きな差は生じない。
「いや、下位人気の勝ち馬の次のレースは1番人気の勝率が低い」と主張する方がいるなら、4番人気と6番人気の場合を説明する必要がある。
この程度の差は母数の多寡による誤差の範囲なのだ。

馬番
人気についてはそうだが、枠順・馬番については「連動はしていないが、傾向はある」と考えられる。
内枠ばかり来たり、外枠ばかり来たりすることはあるのだ。
これは「前レースとリンク」しているのではなく、馬場状態と関係がある。
前レースと言わず、その日の傾向はみておいた方がよいと思う。
ただ、ご注意いただきたいのは、芝レースとダートレースを分けておくことである。
(SiriusA+B)

勝馬 次の競走数 次の競走で1番人気が勝ち馬 勝率
1番人気 13,347 4,241 31.80%
2番人気 7,784 2,467 31.70%
3番人気 5,478 1,723 31.50%
4番人気 3,891 1,245 32.00%
5番人気 2,923 929 31.80%
6番人気 2,249 728 32.40%
7番人気 1,621 498 30.70%
8番人気 1,166 368 31.60%
9番人気 863 264 30.60%
10番人気以下 1,828 576 31.50%
合計 41,150 13,039 31.70%

(次のレースがない最終競走を除く)

2021年12月19日日曜日

第360夜 古馬のバイオリズムとっておき情報

 

なぜ高齢馬が突っ込んできたのか
バイオリズムは似非科学と言われる。
詳しいことは知らないけれど、要するに身体、感情、知性の好不調を波のようにしたものと思われる。
科学的な根拠に乏しいようで、今では否定的な意見が多いとされる。
今夜、わたしがバイオリズムと呼ぶのは、こうした波のような話ではなく、あ、波のような話か。
ただし、全体としての調子の良し悪しをお話しするのであって、メンタルとかフィジカルとかそういったものを分けて科学的に説明するようなものではない。
わたしの記事は基本的に統計というほど格好の良いものではないが、それなりに数的根拠に基づくよう心掛けている。
ただ今回は「ねえ、なんとなくそんな感じがしない?」というレベルのものだから、肩透かしのような気分になったらご容赦いただきたい。
その代わり、何か着想を得たなら、予想の武器になるだろう。

調査の発端は、高齢馬がなぜ突っ込んできたか考えるところから始まる。
競走馬の能力は4歳をピークにした下降曲線を描く。
長く、大事に使われる馬もいるが、実際のところはほとんどの馬が早々に引退し、あるいは地方競馬へ転出し、中央競馬から去っていく。
6歳から7歳くらいになるとグッと減る。

長く現役で活躍できるのはそれまでの活躍に由るところが大きいと思うが、どれほどの実力馬でも力は衰えていく。
わたしのいつものデータベース(2006-2018年の中央競馬平地競走)では、8歳以上で連対すなわち12着したのは13年間で延べ259頭に過ぎない。
さらに「高齢馬」を7歳或いは6歳まで引き下げればもう少しいる。
問題は、近走で低迷し人気薄になった馬が、ほとんど前触れなく、往年の?力を発揮して上位に入ることである。
なぜなのか。
成長とか上積みは無さそうだから、馬場、競走条件、相手関係など考えられる要因を探したが、良い説明がつかなかった。
「行き着くのはやはり調子か」と思って調べたところ、意外に興味深い情報が出てきたのである。

春の馬

少し前の馬だが、ティーハーフという馬を例に挙げてみよう。
2018年、8歳のときに鞍馬ステークス(オープン)12番人気という人気薄で勝利した。

デビューからしばらく武豊騎手が主戦騎手だったから周囲の期待も高かっただろう。
通算517勝、堂々たるオープン馬である。
過去に、函館スプリントステークス(G3)、葵ステークス(オープン)を勝っていた。
鞍馬ステークスは前年秋以来の出走で、前年秋には惨敗が続いていた。
12番人気も頷ける。

この馬を拾うとしたら、と考えた。

この時点の成績を時系列に追ってみると、拾える要素はあまりない。
しかし、季節による好不調があればどうだろう。
鞍馬ステークスは56日であった。
成績表を月ごとに集約してみると、同馬は出走当時、5月に5231回という成績で、他の月よりも成績が良かったことが分かる。
ちなみに、その後5月に走ったことはないから通算63勝となった。
この馬は生涯成績7勝のうち6勝を456月に挙げているのである。

実は、こうした季節的変動をする馬はいる。
競走条件やクラスなどと関係なく、毎年決まった時期になると調子が上向く。
毎年同じレースに出走させるケースが多いのも分かる気がする。
同馬は春に好調期を迎える馬であった。
もちろん、季節などまったく関係なさそうという馬もいるので万能の必勝法ではないが、ある程度出走経験のある古馬であれば、1年周期のバイオリズムを注意するだけで思わぬ穴馬を発見することができるかもしれない。
こうした馬がどのくらいいるのかはご自身で調べていただければ分かる。
わたしの感覚では「結構いる」と思う。
相手もあるので単勝は手を出しにくいが、複勝馬券なら百円でも、馬連ならヒモの1頭にでも買っておきたい。
年末年始に時間の余裕があるのなら、是非研究してほしいテーマである。
(siriusA+B)

競走日 開催 レース名 頭数 人気 着順
2012/6/23 3阪神7 2歳新馬 8 1 1
2012/7/14 2函館5 函館2歳ステークス(G3) 16 2 3
2012/10/21 4京都7 かえで賞(500万下) 11 1 2
2012/11/3 5京都1 秋明菊賞(500万下) 10 1 2
2012/11/18 5京都6 2歳500万下 14 1 1
2012/12/16 5中山6 朝日フューチュリティ(G1) 16 6 5
2013/1/26 1東京1 クロッカスステークス(OP) 10 1 3
2013/3/16 2中京3 中スポ賞ファルコンステークス(G3) 18 1 7
2013/4/20 3京都1 橘ステークス(OP) 10 2 3
2013/5/12 3京都8 葵ステークス(OP) 16 1 1
2013/9/8 4阪神2 セントウルステークス(G2) 13 5 12
2013/12/21 5中山7 ラピスラズリステークス(OP) 16 9 7
2014/1/18 1中山6 ニューイヤーステークス(OP) 16 11 10
2014/11/29 5京都8 3歳以上1000万下 18 1 13
2014/12/14 4中山4 チバテレ杯(1000万下) 16 3 5
2015/3/8 1阪神4 4歳以上1000万下 11 2 3
2015/3/29 2中京6 岡崎特別(1000万下) 18 3 2
2015/4/19 2阪神8 千種川特別(1000万下) 13 1 1
2015/5/16 3京都7 彦根ステークス(1600万下) 13 1 1
2015/6/21 1函館2 函館スプリントステークス(G3) 16 4 1
2015/8/30 2札幌4 キーンランドカップ(G3) 16 1 3
2015/10/4 4中山9 スプリンターズステークス(G1) 15 7 10
2015/10/31 4京都8 毎日放送賞スワンステークス(G2) 15 8 13
2016/2/28 1阪神2 阪急杯(G3) 18 10 13
2016/3/27 2中京6 高松宮記念(G1) 18 14 6
2016/5/29 3京都12 安土城ステークス(OP) 18 5 6
2016/6/19 1函館2 函館スプリントステークス(G3) 16 4 12
2016/9/11 4阪神2 セントウルステークス(G2) 13 10 11
2016/10/2 4中山8 スプリンターズステークス(G1) 16 16 8
2016/10/29 4京都8 毎日放送賞スワンステークス(G2) 18 12 8
2016/11/27 5京都8 京阪杯(G3) 18 5 12
2017/3/26 2中京6 高松宮記念(G1) 18 16 4
2017/4/9 2阪神6 大阪ーハンブルクC(OP) 12 5 4
2017/5/7 3京都6 鞍馬ステークス(OP) 18 7 5
2017/5/28 3京都12 安土城ステークス(OP) 16 3 3
2017/7/2 3中京2 CBC賞(G3) 18 9 4
2017/10/8 4京都2 夕刊フジ杯オパールステークス(OP) 13 8 13
2017/10/28 4京都8 毎日放送賞スワンステークス(G2) 18 14 18
2017/11/26 5京都8 京阪杯(G3) 16 15 13
2018/5/6 3京都6 鞍馬ステークス(OP) 15 12 1
2018/6/17 1函館2 函館スプリントステークス(G3) 16 7 13
2018/8/26 2札幌4 キーンランドカップ(G3) 16 13 11
2018/9/30 4中山9 スプリンターズステークス(G1) 16 16 11
2019/1/14 1京都5 淀短距離ステークス(L) 12 9 3
2019/1/27 2京都2 シルクロードステークス(G3) 18 12 3
2019/3/24 2中京6 高松宮記念(G1) 18 11 5
2020/1/11 1京都3 淀短距離ステークス(L) 15 10 14
2020/2/2 2京都2 シルクロードステークス(G3) 18 14 13
2020/3/7 2中山3 夕刊フジオーシャンステークス(G3) 16 12 9
2020/3/29 1中京8 高松宮記念(G1) 18 17 8
2020/6/21 1函館4 函館スプリントステークス(G3) 16 12 8

1着 2着 3着 着外
1月 0 0 3 2 5
2月 0 0 0 2 2
3月 0 1 1 6 8
4月 1 0 1 1 3
5月 3 0 1 2 6
6月 2 0 0 3 5
7月 0 0 1 1 2
8月 0 0 1 1 2
9月 0 0 0 3 3
10月 0 1 0 6 7
11月 1 1 0 3 5
12月 0 0 0 3 3
1・2・3月 0 1 4 10 15
4・5・6月 6 0 2 6 14
7・8・9月 0 0 2 5 7
10・11・12月 1 2 0 12 15
1・2月 0 0 3 4 7
3・4月 1 1 2 7 11
5・6月 5 0 1 5 11
7・8月 0 0 2 2 4
9・10月 0 1 0 9 10
11・12月 1 1 0 6 8

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