2021年12月5日日曜日

第358夜 展開データを予想に活かす試み


展開予想は無理でも
わたしは今、逃げた馬を追っている。
というと、刑事ドラマのようだが、もちろん競馬予想の話である。
長い間、展開予想というものを試行錯誤してきたが、ついに実戦に投入できるような方法が見つからなかった。
展開を予想するということは、難しいと分かっていた。
予想する展開のバリエーションが星の数ほどあるからである。
将棋に例えればわかりやすいかもしれないが、先手が8四歩と打つとき、後手がどう指してくるかも分からないし、それを見て先手が何をするかも分からない。
その蓄積など予想の範疇を超えてしまうのだ。
レースを見ていれば分かる。
最大18頭の動きを映像ですら追いかけられないのである。
展開を読むということは、そもそも無理なのではないかと思った次第である。

では、展開など考慮しなくていいのかというと、ちょっと違う気がする。
展開を予想することはできなくても「過去走の展開データを利用する」ことは予想の一助となるのだ。
走りっぷりをみて、次走は期待できるとかできないとか、そういった「みどころ」が判断材料になることは昔から知られていた。
競走馬の力を余すことなく走らせるというのは至難の業だ。
不利があったり、展開が向かなかったりすることは少なくない。
そうした馬を次走で拾いたい。
そこで過去走の展開データを、展開予想ではなく、次走への影響度に換算して活かそうと試みている。

逃げられなかった馬への期待は4角で分かる?
パトロールビデオでレースを繰り返し見て、次走期待馬を見つけようとすることは、多くの人にとって無理難題である。
時間を割くことも、レースでのパフォーマンスを評価することも、簡単なことではないのだ。
そこで、「通過順位」を用いる。
通過順位はレース展開を単純化しすぎだという方もいるだろうが、このほうが分類はしやすい。
試しに、前走で逃げた馬が今回どういう着順になるかを調べてみよう。
いつものデータベースから拾い出して下表にまとめたが、「前走3(コーナー)で通過順位が1位すなわち先頭だった馬」を4角の通過順位別に今走で勝率がどれくらいになるのか集計した。
単純化するために、レースのハナから先頭だったかどうかは問わない。
3
角で先頭に立ったかもしれないし、ずっと逃げ続けてきたかもしれないが、とにかく3角を先頭切って走った馬たちである。
4
角も先頭のまま通過できた馬は、最も多くて今走の勝率も11%弱あった。
4
角では2番手であっても、今走の勝率は平均より上の7.4%ある。
他方、4角ですでに3番手以下だった馬は、今走では大きく勝率を落とすようだ。

このように、前走で逃げていた馬でも、早々に脱落した馬は今走でも勝ち目は乏しいということが分かる。
今夜ご覧いただいたデータは逃げた馬だけだが、前走の通過順位別に調べていくと、こうした予想ファクターになる。
興味ある方はご自身で調べていただきたい。展開を予想することは難しくても、展開データは意外にも強力なファクターであることが分かると思う。
前走3角通過順位 前走4角通過順位 今走勝馬 完走馬 勝率
1 1 3,846 35,396 10.9%
1 2 273 3,706 7.4%
1 3 13 354 3.7%
1 4 5 183 2.7%
1 5 0 58 0.0%
1 6 1 48 2.1%
1 7 1 28 3.6%
1 8 3 25 12.0%
1 9位以下 4 52 7.7%
(SiriusA+B)

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