2021年4月11日日曜日

第324夜 前走の着順及び人気について


▼星を見る人の思い切った仮定
「競馬予想の原点」に関する記事を今夜からいくつか続けて綴るつもりでいる。
少し競馬予想から逸れる話題から始める。

フレデリック・ウィリアム・ハーシェルは天王星を発見した天文学者だが、天の川銀河の星々が円盤状に分布していることも発見した人物である。
光の強さが光源からの距離の2乗に反比例する「逆二乗則(1/(n^2))」という物理法則を利用した。
最も明るい恒星シリウスまでの距離を「1シリウス距離」とし、星々の明るさから距離を推定、円盤状の銀河系を導き出した。
ハーシェルは1シリウス距離が何km(何光年)なのかまでは知ることなく生涯を終えたが、膨大な量の星を根気よく、立体的に位置付けてみた功績はとてつもなく大きい。

わたしが最も感銘を受けたのは、「すべての星の実際の光度は同じ」という思い切った仮定を置いたことだ。
ハーシェルはこの仮定が間違っている(あまり適切ではない)ことをのちにはっきりと知るが、おそらく本人は当初からなんとなく分かっていたようにわたしは思う。
星々の光の差はそれほど大きく違わないと思ったか、先ずは星々の分布図を示すことを優先したか、ではないかと。

わたしがハーシェルの仮定を応用してみたのが、「レースレベルはほぼ一定」として前走人気と着順をもとにした予想手法である。
新馬戦も未勝利戦も、日本ダービーでも有馬記念も、レースレベルは(少なくとも上位入線組は)だいたい同じと考えるのである。
これはつまり上位着順の数字の価値はどのレースのものでもだいたい同じくらいだということだ。
有馬記念と未勝利戦のレベルが同じなんて馬鹿馬鹿しいと思うのは自然なことだとわたしも思うが、実際問題として、レースレベルを考慮しなくても前走着順だけで予想して単勝勝率は約20%である。
前走人気を使っても、やはり20%くらいになる。
ちなみに両方を上手に組み合わせれば(これは後日にでも)、勝率25%を少し切るくらいの予想精度になる(これは次の夜に)

▼クラス分けを考慮せず?
前走人気と着順だけで、なぜそれなりの精度になるのだろうか。
わたしが推測するに、ひとつは勝ち抜けという仕組み、いまひとつは出走馬のレベルに理由がある。
同じクラスでも条件戦なら特別戦、平場戦、牝馬限定戦、中央開催、第三場開催と細分化できるが、出走馬は勝ち抜けや昇級以外はほぼ固定メンバーである。
各レースの順位付けはそのまま同一クラス内の上下関係とみていい。
多くの馬は同じクラスに滞留するのだ。
だから前走着順が通用しやすい。
また、中央競馬のクラス編成は勝利による昇級が原則だ。
どれほどの前評判でもすべて新馬戦から(いきなりオープン競走に出走するわけではないという意)始める。
G1と新馬戦の違いは出走馬の平均能力であり、わたしたちに分からないだけで、強い馬は新馬でも1勝クラスでも同じ強さなのだ(経験や馬体の成長要素はここでは考慮していない)

例えばディープインパクトはG1以外に、新馬、オープン特別若駒ステークス、G2報知杯弥生賞、G2神戸新聞杯、G2阪神大賞典に出走して勝利しているが、G2に出走するときG2並みの能力しかないとみるのは(結果論であったとしても)おかしなことだと誰でも思うだろう。
こうした理由によるとわたしは考えている。

予想は複雑であるからこそ、時折原点に帰り、思い切った単純化をしてみるのも良いと思う。
ここからレースレベルの調整や何かしらの要素で足りないと思うものを加味していけばもう少し精度は高まる。
(SiriusA+B)

ブログ アーカイブ