2024年6月30日日曜日

第473夜 儲けることを目指して競馬を始める人のための「予想の仕方」基礎講座(1)

▼9周年記念?
このブログは、2015622日の記事から数えて10年目に入った。
ほとんどの人はご存知ないはずだが、201412月にブログを立ち上げ半年間試行して検証したのち、20156月にリスタートした、そこから9年である。
特に、記念行事やリニューアルなどは予定していないが、記事の数も増えているので、話の整理を兼ねて掲題のとおり記事化する。
初心者向けとは言っても、すっっっごく人を限定しているけれど()
なお、基本事項は主催者のホームページを参照いただきたい。
馬券の種類とか、クラス、競馬場、中央競馬と地方競馬といった基礎的事項は了解済みとして説明を省略しているので、用語に詰まった場合は検索でもかけて内容をお調べいただくようお願いする。
また、この記事は予想に特化しているので、購入戦略はここでは記さない。
初心者向け基礎講座は星の数だけあるが、若干、色が違う記事である。
求める内容ではないと思ったら、無理して読み進める必要はない。
わたしはこのブログで収益も閲覧数も稼ぐつもりが無いので、気にしないで切り上げてもらえればと思う。

▼入り口、対象者の限定
掲題のように初心者向けとはいっても人を限定している。
競馬で勝ちたい、すなわち儲けたいというのが最も強い欲求であるからだ。
「馬が好き」「競馬を楽しみたい」「予想という行為を楽しみたい」などと多数決を取っていくと、最終的に儲けたいという欲求が残る。
建前や綺麗事はともかく、そこまで考えていないができれば儲けたい、というのが誰しもの本音である。
したがって、初心者を限定しているようで限定していないのだが、「ラクして儲けたい」「楽しみながら儲けたい」という希望には添えない。
競馬は、実質的には不労所得ではなく、かなりの根気が要る。
簡単に儲けられる、その方法を知りたいという人にはこの記事は不適当であるので、このようなタイトルにした。
▼予想の仕方
ネットに数多ある「初心者講座」には、「予想の仕方は人それぞれで云々」とある。
具体例では、書き手の嗜好が反映されているので、血統にこだわったり、展開にこだわったり、馬体にこだわったりと、確かにさまざまだ。
それでは、回答したことにはならない。
そこで、これらの共通項を考えれば、主要な予想ファクターにいくつかの微調整用ファクターで成立している、ということができるように思われるが、いかがか。
すなわち、これを算式のようにして整理すると、
 
予想=主要な予想ファクター() + 微調整用ファクター()
とでもなろうか。
どこでも明確に書いているわけではないけれど、わたしの観察する限り、多くの人が主要な予想ファクターで粗い予想を立て、つまり何頭かの有力馬をピックアップし(有力馬群)、そのほかのファクターを見て順位付けや取捨選択を行なっている。
最大18頭の出走馬の中で、馬券に絡む馬はどれか選ぶのに、脳内ではこのような作業をするのである。
人によっては有力馬を複数選ぶ以前に、最有力馬から順位付けしていくというかもしれないが、これは有力馬群がほとんどのレースで1(或いは馬券によっては最大3)になる予想法なのだと考えられる。
ファクターと言っているものには、自身で独自に作成しているものもあるが、専門紙やスポーツ紙の予想や当日のオッズ、ゲンなど他者に依存しているものもあるのが現実だ。
実は、馬券購入者の大半は専門紙やスポーツ紙などの予想印をほとんどそのまま流用している。
これらは否定しないし中には精度の高いものもある半面、公開された予想であり、公開された予想で長期的に勝ち続けているものは皆無である。
要するに、自分で何とかしないと勝つという目的は果たせませんよ、ということである。
では、次項で主要な予想ファクターについて述べる。
初心者向けということで、蛇足だが、「何々だけで簡単に儲かる」という謳い文句のものは鵜呑みにしないようにしてほしい。
シングルファクター、ファクターひとつに着目して儲けられるというものは存在しない。
ほんとうは完全に断言できないが、今までそうしたものは見つかっていない。
わたしの勝手な想像だが、レースは複雑系の世界であり、初期値によって結果が大きく変わる。
だから、これといった、ひとつで説明できる要素がない。
見つかっていれば、誰でも飛びつくから広まっている。
貴方だけにこっそり教えてあげる?
知らない人から貴方だけに?
冷静になれば分かると思うが、そんな親切な人がいると思うだろうか。
必ず「見返り」を求められるが、見返りほどの情報レベルではない。
▼主要なファクターは「前走着順」
では、主要なファクター、つまり「貴方の考える有力馬()」を選び出す予想エンジンを考えるわけだが、わたしからは「前走着順」を推奨したい。
初心者だけではなく、中級者でも前走着順がよいだろうと思う。
初出走馬には使えないが、新馬戦などを除いてほとんどのレースで通用する。
最初に馬番別に並んでいる出走馬たちを前走着順の良いほうから並べ直してみよう。
実際には頭の中で並べ替えるだけかもしれないが、図表473-1の出馬表を前走着順がよいものから順に並べると、図表473-2のようになるだろう。
古馬1勝クラスで「前走1着」というのは前走が新馬戦や未勝利戦で1着になったか、未勝利のまま古馬1勝クラスに出て1着になったか、ほぼどちらかである。
中央競馬では基本的に勝ち抜けなので、2勝したら上のクラスに行く。
したがって、前走2着馬が強いのだが、この例の場合、前走1着馬と前走2着馬の2頭が、このレースの勝利にいちばん近そうだということになる。
前走1着馬の取り扱いはとても難しいけれど、ここでは「前走1着か2着は同格でトップ」と考えよう。
次の、前走42頭、前走6着馬、前走7着馬3頭のどこまでを有力馬群とみるかは、貴方の判断次第だ。
この例の場合、前走4着馬2頭までの前走成績上位4頭を有力馬群とする。
(
図表473-1)20231021日京都第6競走3歳以上1勝クラス出馬表
馬名 騎手 厩舎 前走着順
1 1 タイセイアーメット 団野大成 [西] 浜田多実 11
2 2 バトゥーキ 水口優也 [西] 浜田多実 7
3 3 ナムラジョシュア 長岡禎仁 [西] 羽月友彦 7
3 4 スナークシュンソウ 藤岡康太 [西] 野中賢二 12
4 5 ペプチドハドソン 松田大作 [西] 武英智 4
4 6 マーラー 松若風馬 [西] 安達昭夫 15
5 7 サクハル 和田竜二 [西] 今野貞一 9
5 8 ルクスレガート 田口貫太 [西] 松永昌博 7
6 9 アイファーシアトル 藤懸貴志 [西] 鮫島一歩 1
6 10 レゾルシオン 武豊 [西] 鈴木孝志 13
7 11 マヴォロンテ 幸英明 [西] 松永幹夫 2
7 12 ノイアーターク 岩田康誠 [西] 安田隆行 6
8 13 フェリ 田中健 [西] 佐々木晶 12
8 14 テーオートルネード 河原田菜 [西] 岡田稲男 4
(図表473-2)20231021日京都第6競走3歳以上1勝クラス前走成績順出馬表
馬名 騎手 厩舎 前走着順
6 9 アイファーシアトル 藤懸貴志 [西] 鮫島一歩 1
7 11 マヴォロンテ 幸英明 [西] 松永幹夫 2
4 5 ペプチドハドソン 松田大作 [西] 武英智 4
8 14 テーオートルネード 河原田菜 [西] 岡田稲男 4
7 12 ノイアーターク 岩田康誠 [西] 安田隆行 6
2 2 バトゥーキ 水口優也 [西] 浜田多実 7
3 3 ナムラジョシュア 長岡禎仁 [西] 羽月友彦 7
5 8 ルクスレガート 田口貫太 [西] 松永昌博 7
5 7 サクハル 和田竜二 [西] 今野貞一 9
1 1 タイセイアーメット 団野大成 [西] 浜田多実 11
3 4 スナークシュンソウ 藤岡康太 [西] 野中賢二 12
8 13 フェリ 田中健 [西] 佐々木晶 12
6 10 レゾルシオン 武豊 [西] 鈴木孝志 13
4 6 マーラー 松若風馬 [西] 安達昭夫 15
▼有力馬群から順位付け
ほんとうは、この前走着順通り(図表473-2)の結果になれば簡単なのだけれど、現実にはそうならないことが多い。
そこで、前走着順だけでは分からない、さまざまな情報を加減乗除して1(から3)を予想していくのだ。
前項で、第1段階の絞り込みをし、この例の場合、4頭をピックアップした。
ここから、単勝・複勝候補、或いは連単・連勝系の軸馬すなわち貴方の「本命」を選ぶ作業をする。
4
頭全馬同一線上という訳ではなく、アイファーシアトル号・マヴォロンテ号が頭ひとつリード、ペプチドハドソン号・テーオートルネード号がこれに次ぐ有力馬と頭に入れたうえで、どの馬を本命にするか考える。
要するに、この4頭の中でほかの要素を考えながら順位を入れ替えていくのだ。
この工程を「微調整」とわたしは言っている。
前走から何か月も経った久々の出走なら割り引きする、前走は展開が向かず悔しい敗戦だったとなれば着順を上げると考える、前走より距離が延長していれば割り引く、などと貴方の気になるポイントで着順を上げるか、下げるかしてみるのだ。
次の夜につづく。
(SiriusA+B)

2024年6月23日日曜日

第472夜 クラシックレース特別登録(2)

 

▼勝った馬、勝てなかった馬、未出走
前夜からのつづきである。
クラシックレース特別登録をもとに、2020年産駒で20231231日までに中央競馬平地競走に出走した4,804頭を4グループに分けて調べている。
(Group-1
登録維持組)2回まで登録し、登録内容を変えなかった馬
(Group-2
登録縮小組)2回まで登録したが、登録レースを減らした馬
(Group-3
登録取止組)1回までは登録したが、第2回は登録しなかった馬
(Group-4
未登録組)最初から登録しなかった馬
競走成績については、3つの期間に分ける。
(
1期間)20221028日まで(1回締め切り頃まで)
(
2期間)20221029日から2023127日まで(2回締め切り頃まで)
(3期間)2023128日以降20231231日まで

登録が締切直前まで考えているものなのか、成績と無関係に早々に申し込んでいるかは分からないが、少なからず締め切りまでの競走成績は陣営も参考にしていると思われる。
また、デビュー前から登録を計画している期待馬もいるだろう(全馬一律に登録するという馬主もいるだろう)
そこで、4グループに以下の競走成績分類を加えて細分化してみる。
図表472-1である。
(A)
1期間でデビューし勝利した
(B)
1期間でデビューし未勝利だったが第2期間で勝利した
(C)
2期間でデビューして勝利した
(D)
1期間でデビューしたが第2期間まで未勝利だった
(E)
2期間でデビューしたが未勝利だった
(F)
未出走だった
ここでは、第2期間は、単独ではなく、第1期間と第2期間通算成績で見ている。
したがって「第1期間で勝ったけれど、第2期間は未出走/未勝利」という馬は「第2期間
いわゆる「勝ち上がり」を意識しての分類であり、(A)を第2期間勝利・未勝利などと分けることもできるので、興味のある人はご自身でも調べてみてほしい。
なお、引退・地方への転厩などは考慮していない。

▼期待が大きい、というグループは
じつは、この図表472-1は、どう並べるかでずいぶん迷った。
表計算ソフト(スプレッドシート)に転記できる人なら、いろいろと並べ替えたり足し算したりしてほしい。
1
年分のデータだから少ないサンプルで決めつけはできないとはいえ、興味深い結果が出てきた。
早々にデビューしても勝ち味の遅かった馬より、ようやくデビューしてさっさと勝った馬のほうがその後の成績が良いとか、第2期間までに勝ち上がった馬の場合、登録縮小組より登録取止組のほうがその後の成績が良いとか、いろいろと示唆に富む内容である。
登録縮小組と登録取止組で逆転現象が起きるのは、おそらく芝短距離やダートへの路線変更が背景にある。
ダービー馬、オークス馬になれなくとも、「てっぺん」は幾つもあるのだ。
一方で、未出走のまま、第2回まで登録を続ける馬も少なくない。
可能性のある限り、ギリギリまでクラシック出走を諦めなかった馬たち(いや人間が諦めなかったのだが)で、素質は見込まれているのだろう。
その後の戦績はなかなかのものである。

今回の調査では、なかなか整わずデビューが遅くなっても、素質を認められているような馬なら、結果はついてくるのだということが分かった。
レース経験数が少ない、或いは無い馬が走りそうかどうかを占ううえで、35大競走特別登録は参考になる。
図表472-1は同期4,804頭を24グループに仕分けたものだが、もう少し大雑把に分ければ予想に活かせるだろう。
4
歳以降の成績も気になる。
また、2024年クラシックの出走登録はここで分析していない。
興味があれば試してみてほしい。
(SiriusA+B)

(
図表472-1)35大競走登録状況・戦績別の第2回特別登録後の成績(2023/12/31まで)

登録状況 第1期間まで 第2期間まで(第1期間+第2期間) 頭数 第3期間出走頭数 第3期間勝利回数 第3期間出走回数 第3期間勝率 第3期間勝利頭数 第3期間勝馬出現率(勝利頭数/出走頭数)
登録維持 勝利有 勝利有 171 167 81 866 0.094 64 0.383
登録縮小 勝利有 勝利有 37 36 16 208 0.077 14 0.389
登録取止 勝利有 勝利有 58 48 23 227 0.101 16 0.333
未登録 勝利有 勝利有 73 71 30 356 0.084 23 0.324
登録維持 未勝利 勝利有 84 84 73 460 0.159 50 0.595
登録縮小 未勝利 勝利有 11 10 5 53 0.094 4 0.4
登録取止 未勝利 勝利有 26 23 14 133 0.105 8 0.348
未登録 未勝利 勝利有 56 56 28 291 0.096 20 0.357
登録維持 未出走 勝利有 86 85 55 399 0.138 37 0.435
登録縮小 未出走 勝利有 17 17 11 95 0.116 8 0.471
登録取止 未出走 勝利有 18 17 14 83 0.169 9 0.529
未登録 未出走 勝利有 54 52 23 233 0.099 21 0.404
登録維持 未勝利 未勝利 260 255 131 1,289 0.102 99 0.388
登録縮小 未勝利 未勝利 72 69 33 341 0.097 24 0.348
登録取止 未勝利 未勝利 321 278 96 1,234 0.078 75 0.27
未登録 未勝利 未勝利 964 686 163 2,877 0.057 126 0.184
登録維持 未出走 未勝利 279 272 142 1,279 0.111 98 0.36
登録縮小 未出走 未勝利 89 86 39 396 0.098 28 0.326
登録取止 未出走 未勝利 410 361 108 1,413 0.076 75 0.208
未登録 未出走 未勝利 601 532 107 2,019 0.053 74 0.139
登録維持 未出走 未出走 216 216 88 857 0.103 56 0.259
登録縮小 未出走 未出走 106 106 38 381 0.1 25 0.236
登録取止 未出走 未出走 228 228 52 798 0.065 36 0.158
未登録 未出走 未出走 567 567 86 1,808 0.048 65 0.115


2024年6月16日日曜日

第471夜 クラシックレース特別登録(1)


▼「夢と希望」とは別の話
競馬予想は、将来を予想するものである。
人間は未来を予想することはできない。
過去の実績から延長線を引いて予想する、例えば未勝利戦で「4着、2着ときたから次こそ勝ち敗けだ」という予想は、直線的だが、これに勝る手法もほとんどないように思う。
為替相場で今日は米ドルに対して円高だったから、明日も円高になるだろう、という予想は多くの人が受け入れやすいが、円安になるだろうという予想はなかなか難しい。
長期的には確率は半々なのだ。
4着、2着ときたが、この馬のピークは終わりで、今回は掲示板にも載らないな」などという予想をできる人がいたら「驚愕もの」である。
驚愕だが、過去の実績以外に加えている何らかの要素(ただの勘であったとしても)を知りたいと思う。
何らかの要素には、適性や展開、調子などの可能性が挙げられよう。
血統など、競走馬の根本的な能力に求める人もいるかもしれない。
今夜の話は血統ではないが、当該競走馬の陣営(調教師をはじめとする厩舎、馬主、生産者)がその馬をどう評価しているのか、クラシックレースの特別登録から紐解いてみたい。
わたしたちが馬主に代わって夢や希望を語ろうというのではない。
「クラシックレースの特別登録」はクラシックレース以外に使いようがあるのか、と訝しむ人もいると思う。
字面どおりに考えると使いようがないように見えるかもしれないけれど、ここは「競馬予想に使えるものはないか」という視点で考えていただければと思う。
馬券で勝つためには、使えるものは何でも使う。
もっとも、陣営の「情」といった要素もあるので正確な評価でないのは確かだが、これも一種の能力評価なのだ。
それも、現時点でなく、将来を描いての能力評価なのだ、未来を予想するのに近い。
大きくグループ分けしてみれば参考になる気がしたのである。

最初に、クラシックレースの特別登録について簡単に触れておきたい。
桜花賞、皐月賞、優駿牝馬(オークス)、東京優駿(日本ダービー)、菊花賞をクラシックレースと呼ぶが、JRAでは35大競走ということもある。
この競走には、3回にわたる特別登録をしなければ出走できない。
2
歳時点の10月下旬に第1回、3歳時点の1月下旬に第2回の登録が締め切られる。
3回は競走2週前である。
登録料は1回目が1万円、2回目が3万円、3回目が36万円だそうだ。
1
万円というのが1レース分なのか、1頭分なのかは知らないけれど、おそらく1レース当たりの金額だろう。
牡馬ならば、第1回が最大3万円、第2回が最大9万円ではないかと思う。
馬主の経済規模から考えれば「はした金」のようにも思えるのだが、結構馬鹿にならない金額である。
何頭も抱える大馬主なら、レースのひとつでも買って資金源にしなければならないほどだ。
ちなみに、3回の登録が必要なのだが、大枚をはたいて未登録だった馬を出走させる道が今はある。
陣営にとってクラシックレースは優勝はもちろん、出走させることもたいへんな栄誉である。
その分、ドラマがある。
エピソードや歴史について興味ある方は詳しいサイトで調べていただきたいが、馬主をはじめとする陣営は、夢と希望を胸に登録をするのだ。
それでもカネの絡むことである、判断はあり、半分くらいの馬は第1回時点で登録されない。
夢は買いたいが、無駄な出費は避けたい、というところに、競走馬の評価がある。
では、詳しく見ていこう。

2020年産駒を特別登録でグループ分け
原稿執筆時点では、2024年のクラシックが始まっている。
今回は、その前年である、2023年施行のクラシックレース特別登録を資料とする。
皆さんは、すぐに2024年でこの記事の内容を検証できる。
2023
年の3歳は、2020年生まれである。
競走記録は202312月末までとした。
3
歳で古馬戦に参加したところまでである。

中央競馬平地競走に出走した2020年産駒は、わたしの数え間違いでなければ4,804頭いる。
登録時点で未出走はもちろん、馬名の決まっていない馬もいる。
1回の登録では、各競走に1,200頭前後が申し込み、延べ6,000頭余り、実数にして2,489頭あった。
率にすると52%ほどである。
半分ほどが登録したというのだ。
「大いなる期待」から「もしかしたら」まで、さまざまであろう。
2回の登録では、各競走に900頭ほど、実数では1,428頭であった。
この時点で約1,000頭がクラシックレースを断念した、ということである。
また、引き続き登録をした馬でも、いくつかのレースの登録をやめた馬もいる。
例えば、皐月賞、東京優駿、菊花賞に登録していたのを、東京優駿と菊花賞に絞るといった具合である。

これを4グループに分けることにする。
(Group-1
登録維持組)2回まで登録し、登録内容を変えなかった馬
(Group-2
登録縮小組)2回まで登録したが、登録レースを減らした馬
(Group-3
登録取止組)1回までは登録したが、第2回は登録しなかった馬
(Group-4
未登録組)最初から登録しなかった馬
話を進める中で、さらに細分化することもあるが、基本はこの4種類である。

競走成績については、3つの期間に分けた。
(
1期間)20221028日まで(1回締め切り頃まで)
(
2期間)20221029日から2023127日まで(2回締め切り頃まで)

(3期間)2023128日以降20231231日まで
どういう競走成績で登録に至り、断念したか、そしてその後はどうだったか、というのを知ろうとした。
2回締め切り後の第3期間の競走成績で、グループごとに差が出るようなら、ファクターとして活用できる可能性が出てくる。
なお、わたしは締め切り日を記録していなかったので、例年と同じころと仮定した。
たぶん合っていると思うが、間違えていたらご容赦願いたい。

次項以降で明らかにするが、皆さんなら登録維持組、登録縮小組、登録取止組、未登録組のグループの成績をどう予想するだろうか。
登録維持組→登録縮小組→登録取止組→未登録組の順に成績が下がっていくだろうか。

(
図表471-1)1回・第235大競走登録状況と第2回登録締め切り後の戦績(2020年産駒で中央競馬平地競走出走馬、成績は2023/12/31まで)

2回の登録 頭数 第3期間出走頭数 第3期間勝利回数 第3期間出走回数 第3期間勝率 第3期間勝利頭数 第3期間勝馬出現率(勝利頭数/出走頭数)
登録維持 1,096 1,079 570 5,150 0.111 404 0.374
登録縮小 332 324 142 1,474 0.096 103 0.318
登録取止 1,061 955 307 3,888 0.079 219 0.229
未登録 2,315 1,964 437 7,584 0.058 329 0.168

▼断念のタイミング=能力評価
上の図表471-1は、グループ別・期間別の成績である。
勝率と勝ち上がり率を指標としてみてもらえればと思う。
なお、3歳は徐々に古馬戦に参戦していくが、2020年産駒なので降級制度変更後であり、古馬戦での成績は良い。
このこともあって、平均勝率は8%ほどになるので、8%を基準としてこれを上回っているか下回っているかを判断していただければと思う。
2020
年産駒全体の勝ち上がり率が30%ほどで少し低いのも、4歳以降のデータがないことに関係する。

結果は、グループごとにはっきり分かれた。
登録維持組は、やはり強く、第3期間の成績は最も良い。
登録縮小組、登録取止組、未登録組の順に成績は低下していく。
読者の皆さんも予想していた通りの結果ではないかと思う。
キタサンブラックのような例外はあるが、概ね陣営が競走結果をはじめ総合して、クラシック登録で4分類の決断をしていることが分かる。
登録というより、クラシックを断念していく時期別データと考えれば陣営は合理的な考え方をしているとみていいのではないだろうか。
つまり、断念する時期で陣営の競走馬能力の見極めを参考にさせていただいた。
うん、32月以降は使えそうなデータだね。
と言いつつ、4分類では物足りないという気持ちもある。
そこで、もう少し詳細に見る方法として、第1回登録、第2回登録の前の成績でグループを細分化してみることにする。
次の夜につづく。

(SiriusA+B)


2024年6月9日日曜日

第470夜 取消と除外は似ているようで違う


▼定義
取消(出走取消)と除外(競走除外)は出走に至らなかった点で同じである。
中央競馬の場合、この区別は明確なようで、装鞍所に入るより前が取消、入って以後は除外である。
さまざまあって、取消や除外の理由を丹念に追うのが望ましいとは思うけれど、事態の軽重、深刻度などは分からない。

病気や怪我などの理由ではなく、時間軸に沿って区分することは、矛盾点や定義の追加などが要らず分かりやすいとわたしは思う。
馬番号が発表されて以降は、取消でも成績表に記載される。
「要はスタートする前に出走を見送るってことでしょ」と言われればそれまでだが、わたしは中身がずいぶん違うような気がする。
除外の場合、当日、直前になって、病気を発症する、というケースはあまり多いとは思えず、暴れて怪我をしたり逸走したりして出走できなくなるケースが多いという肌感覚はある。
取消=病気やトラブルによる怪我、除外=やんちゃして怪我、という感じだ(実際にはそんな単純なことはないのだけれど)
さて、当該レースは仕方ないとして、取消や除外後の成績はどうかというのが、わたしたちの関心事項だ。
件数も少ないし、予想ファクターとして考慮するほどの影響はないのだけれど、取消と除外でちょっと差はある。

▼取消はそれほどマイナス材料ではない
集計してみて分かったことだが、取消にせよ除外にせよ、案外少ない。
図表470-12011-2023年の13年分の平地競走で、取消は1,067頭、除外は延べ1,115頭だった。
除外は2度やらかした馬が27頭いるので1,088頭が実数である。
馬番発表前の馬は取消にカウントされていないとはいえ、取消・除外合計で2,000頭台というのは、わたしには少ないと感じる。
ざっと5%(弱とはその数字を少しだけ下回るという意。この場合、4.9%とか4.8%をイメージする)で、20レースに1回、取消か除外が1頭いるという程度である。
3
場開催の土日で平均して3頭前後だ。
この馬たちを、取消・除外の前後で出走したか・勝ったかと、その後出走したかどうかでグループ分けした。

この期間の平均的な勝率はほぼ7%だから、7%維持用の勝率は平均より勝っているということ、下回っていれば平均より劣っていることを意味する。
サンプル数が少ないので精密な比較には意味がないけれど、取消となった馬のその後は平均とほとんど同じ7%程度の勝率だった。
これは取消の影響がほぼなかったということだろう(全体としては)
一方、除外となった馬のその後は、少し平均を下回る成績であった。
取消に比べ、地方転出や引退等でその後出走しなかった馬の割合も多い。
図表の頭数をもとに計算すれば分かるように、取消の場合は15%、除外の場合は20%ほどがその後出走していない。
競走への影響は、取消より除外のほうが深刻なのかもしれない。

データを踏まえると、取消の影響はほぼなし、除外の場合は少しだけ割り引きして予想するというところか。
もちろん全体的な傾向であって、病気や怪我の種類・程度で大きな差がある。
予想する際には、どちらにしても、それほど気にしなくていいよ、というところか。
そもそも数も少ないしね。
(SiriusA+B)

(
図表470-1)取消及び除外(2011-2023年中央競馬平地競走。除外では、2回除外になった27頭の馬を重複してカウントしている
)
摘要1 摘要2 頭数 取消前勝利数 取消前出走数 取消前勝率 取消後勝利数 取消後出走数 取消後勝率 取消後勝利頭数 勝利頭数率
取消前未出走 取消後出走 124 0 0 0 72 974 0.074 32 0.258
取消前未勝利 取消後出走 364 0 1,274 0 177 2,531 0.07 94 0.258
取消前勝利有 取消後出走 414 795 5,278 0.151 320 4,517 0.071 171 0.413
取消前未出走 取消後未出走 23 0 0 0 0 0 0 0 0
取消前未勝利 取消後未出走 87 0 401 0 0 0 0 0 0
取消前勝利有 取消後未出走 55 120 988 0.121 0 0 0 0 0
取消合計 1,067 915 7,941 0.115 569 8,022 0.071 297 0.278
摘要1 摘要2 頭数 除外前勝利数 除外前出走数 除外前勝率 除外後勝利数 除外後出走数 除外後勝率 除外後勝利頭数 勝利頭数率
除外前未出走 除外後出走 129 0 0 0 69 950 0.073 35 0.271
除外前未勝利 除外後出走 354 0 1,590 0 127 2,176 0.058 74 0.209
除外前勝利有 除外後出走 424 785 5,830 0.135 272 4,084 0.067 159 0.375
除外前未出走 除外後未出走 21 0 0 0 0 0 0 0 0
除外前未勝利 除外後未出走 116 0 525 0 0 0 0 0 0
除外前勝利有 除外後未出走 71 125 945 0.132 0 0 0 0 0
除外合計 1,115 910 8,890 0.102 468 7,210 0.065 268 0.24


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