第100夜「3連単のシェアが低下し単勝のシェアが伸びている現在」で、平成27事業年度のJRA事業報告書から馬券の種類別に動向をみた。
今更だが、平成28事業年度の内容を見て、複勝に関し、想像と違っていたことがわかった。
複勝は平成28年(2016年)には再び増加傾向に転じていた。
明らかに低下傾向の券種は、枠連、馬単、WIN5
である。
3連単も減少傾向だが、2016年はやや盛り返しているので、今後の行方に注目したい。
▼単複が人気の理由
それにしても、単勝や複勝がジリジリと上昇している状況には目を見張るものがある。
枠連しかなかった平成元年には、単複のシェアは合わせても5%にすぎなかった。
今や13%を超えている。
射幸心を煽るような高配当の馬券が次々と登場し、そしてシェアを落としていく中で、単複の存在感が増しているのだ。
たかが13%、されど13%。
単複馬券を狙う人が増えていると思わざるを得ない。
単複馬券を積極的に購入する動機は、実質的な控除率が20%と最も低いことだろうと考えられる。
だが、それは昔からのことなのだ。
出走頭数が昔より増えて、多少配当的妙味があるようになったことは好材料ではある。
しかし、そのほかの原因はちょっと頭に浮かばない。
新規参入組がこぞって単複を買っているということもないだろう。
競馬の初心者は、もちろん教えられる人にもよるだろうが、単複から買い始めたという話はあまり聞かない。
少なくともわたしの周囲には「馬連を最初に買った」「馬連がなかったから枠連を買った」(これは結構なベテランさん)という人がほとんどである。
教えてくれる人は、説明は少々難しくても、配当が魅力的で、何点か買えば当たりやすい馬連を推奨してくれるのである。
そう考えると、ある程度の経験者が購入を増やしているのではないかと思える。
もしかすると、馬券投票者の研究力が上がっているのではないだろうか。
単勝は馬券の基本、などという言いかたは正しいとは思わないけれど、最もシンプルであることは事実だ。
複勝も同様である。
配当が安いのは、それだけ的中率が良いことを表わす。
的中率が高いと資金の回転率が上がり、資金ショートを起こしにくくなる。
3連単や馬単は購入比率が低下傾向だが、押さえ馬券として単勝を買う、3連複や馬連の押さえとして複勝を買う、といった投票戦術が普及しているかもしれない。
あるいは、冷静に高配当狙いよりコツコツ勝ちを積み上げるほうが必勝法に近づくと考える人が増えたのかもしれない。
▼オリジナルの優位性
コンピュータの普及やネットの普及が、すべての投票者に研究力と情報の提供をしているのである。
わたしたちは、それを前提に、さらなる上を目指さなければならなくなったのではないだろうか。
グダグダの酔っ払いオヤジをイメージしたライバル像はすでに過去のものになっている。
パソコンを駆使し、充分な情報を手に入れ分析した「手練れのライバル」が投票している。
情報はデータだけではない。
戦略や戦術も探しだすことができる。
では、ライバルを出しぬきたければどうすればいいのか。
もし、馬券収支の黒字の源泉が他者との差異であるなら、やはりオリジナル性が必要であろう。
おそらく、データの精緻化よりサムシングニューを探すほうが早道ではないかと思う。
スピード指数やコンピ指数で儲からないのは、オリジナル性に乏しいから、という見方ができまいか。
このブログでは、オリジナルな考えにも触れてきた。
競馬は強さを競うものであること、走破タイムは必ずしも的確な指標ではないこと、個々の馬などの分析をしても足りないもの(創発特性)があること、などなど。
それをいち早く見つけた者が勝者となるだろう。
(SiriusA+B)