▼チェス、将棋、囲碁と競馬予想との違い
200回記念に準備していたテーマだが、気づいたら208回である(笑)
人工知能AIによって予想されることになれば、競馬というギャンブルは終了するかもしれない。
わたしは当初、データの数は多いので、まもなく人間を抜き去り、1番人気の勝率を抜き、賭け事が成立しなくなると思っていた。
だが、チェスや将棋が人間を打ち負かしたようにはいかないようだ。
わたしなりに考える相違点はふたつで、サンプル数が少ないことと解法が見つかっていないことである。
「データが多いというのはどうかな」
と知り合いは言う。
「1頭当たりの出走回数が少ない」
と言うのである。
そう言えば確かにそうだ。
年間の延べ出走頭数は約50,000件弱、だが、同じ馬の出走回数は多いものでも50回もなく、僅か1、2走で消えていく馬がゴマンといる。
しかも馬は成長するし、好不調もあれば鞍上も同じではない。
馬場も競走条件も変わる。
走破タイムも競うものではないので、タイムは相対的であり、絶対的なデータというものがないのだ。
考えてみれば、何もかもが仮定や相対的な情報の上に予想をしていることがわかる。
「サンプルの少なさ、相対データばかり、このふたつの理由から」
知り合いは推定する。
「AI予想はもう数年間は脅威にならないんじゃないか」
では遠い未来かというとそうでもないと言う。
正解すなわち必勝法が見つかっていないことも、将棋や囲碁のようにいかない理由でもある。
しかし、わたしは西田式スピード指数をリスペクトしているが、「条件の異なる走破タイムをある程度比較できるようにした発見は大きく、AI予想でもこうした革命的発見が早晩あってもおかしくない」と言うのである。
すでに発見されているかもしれないし、まだかもしれないが、長期的に馬券の黒字を確保している人が見つかった事実から、いつその技術が巷間に出回っても不思議ではないのだ。
▼AI予想の傾向
AI予想というと、何か凄い計算をしているような印象を受けるが、発想にあまり新鮮さを感じる内容は今のところない。
ランダムフォレストを利用し、複数の分類や回帰の決定木を用いてロールプレイングゲームをしているようなもの、とちょっと粗っぽい説明をするのだが、この決定木(選択肢)が既知の情報である限り、少々手計算より精度の高い成績を残すくらいだろう。
学習機能により決定木の重要性や相関の精度を上げるかもしれないが、決定木の質が、金鉱を掘り当てたものでなければ、劇的な結果には至らない。
ギャンブルのランダム性に切り込む「何か」が必要だが、解答まで行かなくてもテラ銭を超える程度の解法がまだない(もしかしたら無い)。
つまり、道具は凄いが、まだ解法がなく、精度向上に止まっていると思う。
AIで自ら解法を生み出す前ではないかということだ。
▼今できること
したがって、進化した道具に過ぎない使い方であると仮定すれば、AI予想ツールを身につけていなくても、わたしたちは発想によりまだまだ勝負になる。
以前記事にした調教師データやレースと無関係な人気投票の結果でも、一定の相関性があれば勝つ可能性が出てくる。
その可能性のある分野は、あくまでわたしの見立てだが、競走馬の能力分析には可能性乏しく、ゲーム理論などの分野、確率論など賭け事の数学的ツールではないかと思う。
ゴール前は偶然の産物である。
100%はないが、ではどこまで的中できるのか。
この辺りの話はいずれまた触れたいが、今夜はここまでとする。
(SiriusA+B)