▼新馬戦だけを見ると
予想者の中には、クラス別というものにこだわりを持っている方もいる。
わたしはこのブログでクラスについて書いたことはほとんどないけれど、いつか整理して予想ファクターのひとつとして記事のひとつも書きたいと思っている。
ただ、主催者の区分そのままでは目が粗いという気もする。
未勝利戦など、2歳の北海道開催と3歳最後の頃では質が大きく違い、ひと括りにするのはあまりお薦めしない。
新馬戦も同様である。
一覧表を作ると重すぎるので、今夜は数字は挙げずに傾向だけ触れていきたいと思うが、少し区分を細かくして考えてもらえるようなら幸いである。
数字を出さないから適当というものではない。
10年分以上の新馬戦3,323競走を調べている。
結果を総論として申し上げると、もう少し偏っていないと思っていた(出走馬の粒が)。
同じ条件でもバラツキがあり、難しさを改めて感じた次第である。
▼傾向
新馬戦の調査では、前夜とよく似ているが「そのレースで生涯勝利した頭数」というものを見た。
要するに勝ち上がり率である。
参考として、出走回数や勝利数なども調べている。
労多くして記事ひとつである。
先ず、新馬戦デビューの馬は、前夜の話からすると3分の1くらいが勝ちあがると推定できるが、実際にはわずかにこれを上回る。
未勝利戦からデビューする馬もいるからだと思われる。
1勝クラスからというのもいるにはいるが、極めて稀で集計上の影響は小さいからそうなる。
1レース当たりの勝ち上がり率は算出した率の単純平均で35%強というところだが、9割の馬が勝ち上がったり、18頭中15頭が勝ち上がったりするレースもある。
一方で、そのレース1勝のみ、すなわち、1頭がそのレースで勝っただけで、その馬を含む出走前場がその後勝つことができなかったというレースも4%弱あった。
新馬戦25レースに1レースはぱっとしないものだったということである。
開催場所では、京都・阪神・東京はやはり高く、北海道開催も高率であった。
中央開催でも中山競馬場は少し見劣りする。
ダートが小回りの上、芝も変則的であることから、求められる力が少々違うのかな、とも思う。
東西でも西が強く、西高東低は明確である。
西>東、北海道・中央>地方、というのが開催場所に関するまとめだ。
興味ある方は、代替開催のある場合も考慮してより精査してもらえればと思う。
レースの開催時期でもはっきりした傾向はある。
北海道開催で強いのは、当然同時期の他場よりもいい馬がそろっていると推定されるが、早く仕上がった馬は有利だということもある。
デビューの早い馬は、出走回数も多めの傾向が出ている。
チャンスは多いということであろう。
逆に、デビューが遅れると出走回数も減っていき、勝ち上がり率は下がってくることも確かだ。
クラシック出走など大きな期待を掛けられた馬は、夏の北海道や秋の中央開催でデビューさせている。
将来を見据えてのことで、クラシック出走から逆算してデビューさせているとみていい。
馬を見る目がないわたしでも、この時期のデビュー馬には注意を払う。
芝とダートでは、やや芝のほうがいいかなという感じだった。
距離もややぼやけた傾向である。
調教師がクラシックなどの花形路線を断念し、ダートでデビューさせるというのはあるだろう。
適性だという人もいるが、それももちろんあるだろうが、「まだ足もとがパンとしなくてね」などと言っていても、ダートから芝路線に切り替える馬は稀であり、察してほしいというところだろう。
マイル戦や長距離戦は勝ち上がり率がいいのだけれども、短距離戦もそれほど悪くない。
これはそのカテゴリーで路線を変えなければソコソコ勝負になっていることを示している。
芝1800m以上>芝マイル>芝短距離、とか、ダート1800m>ダート1800未満といった傾向はあるが、ダート1000でも勝ち上がる馬は少なくない。
この世界にG1級の馬はほとんどいないのだ。
▼最後はやはり個体か
以上のような傾向はある。
新馬戦と一括しないで、もう少し区分けしたほうがよさそうであるというということがお分かりいただけただろうか。
だが、東京芝2000mでも、出走馬のその後はさっぱりなんていうこともあるから一概に言えないけれど、関係者の視点に立って「なぜここでデビューするのか」と考えてみれば、期待の度合いというのも分かるだろう。
それでも、最後はどうしても個体分析に行きつく。
レベルの高そうな新馬戦に出走したからといって、出走馬すべてがハイレベルではない。
そうした意味で、忙しくてもレースのリプレイを見られればと思う。
栴檀は双葉より芳し、という。
百聞は一見に如かず、わたしの経験では、かなりの効率で当該レースの勝ち馬や将来勝ち上がる馬を見つけることはできる。
そのノウハウは、今のところ伏せておく(簡単すぎるので)。
(SiriusA+B)