2022年10月2日日曜日

第388夜 「重力から脱出する」ような予想

 

y0.75xを飛び越える
算式で表わせば、
 的中率×的中オッズ=0.75(回収率)
というのが、一般的な競馬投票の収支であると思う。
多くの馬券投票者はこの算式か、この算式の描く曲線付近にいる。
的中率と的中オッズの関係を示したものに出会うと、こういう式になっている。
的中率をx(ただし、x0)、的中オッズをyとおくと、y0.75/xという反比例(でいいんだっけ)である。
0.75
0.8でも0.7でもいいけれど、貴方の馬券術がこの算式の曲線上にいる限り、黒字収支になることはできない。
試行回数が充分な数になれば、この曲線に乗る。

ここで、y1/xの曲線をy0.75/xと一緒に描いてみる。
馬券術は、この新しいほうの曲線に乗せるものでなければならない。
a
すなわち回収率を引き上げたいところだが、競馬予想の難しい点は、少々馬券術を補強したところでaの値はあまり変わらないことである。
まるで、重力に縛られた人類が、地球を周回する軌道に衛星を打ち上げるさまに似ている。
最初に描いた曲線は、オッズという強い重力場にある。
ここからy1/xに乗せることは簡単ではない。
馬券術の抜本的な変更が必要なのである。
この方法を見つけたなら、これを必勝法という。

(図表388-1)

x(1) y(1) a(1) x(2) y(2) a(2)
0.7 1.07 0.75 0.7 1.43 1
0.6 1.25 0.75 0.6 1.67 1
0.5 1.5 0.75 0.5 2 1
0.4 1.88 0.75 0.4 2.5 1
0.35 2.14 0.75 0.35 2.86 1
0.3 2.5 0.75 0.3 3.33 1
0.25 3 0.75 0.25 4 1
0.2 3.75 0.75 0.2 5 1
0.15 5 0.75 0.15 6.67 1
0.1 7.5 0.75 0.1 10 1

▼サイン馬券

単独或いは複数のファクターの組み合わせをルールにして予想することを予想法、または馬券術という。
必勝法が「オッズという重力場から脱出したもの」であれば、オッズと相関性の高いファクターを捨て、相関性の低いファクターを探し出すことになろう。
どのようなファクターが当てはまるのか。
わたしは回帰分析、重回帰分析などの手法で相関性を検証するが、もっと簡便に判定する方法はある。
本命の勝率を見るとしよう。
貴方の選んだ本命がどのくらいの勝率か調べてみる。
これまでわたしが調べた経験から、一般には本命の単勝勝率が20%から25%未満というのが平均的な馬券術だろうと推測する。
オッズとの相関性を検証するなら、今度は本命の「単勝1番人気率」を調べてみてほしい。
オッズとの相関性が高い場合、勝率より高い「単勝1番人気率」になるだろう。
例えば、「今走2着の馬を次走で本命として狙う馬券術」があるとしよう。
本命の勝率は20%強である。
他方、本命の1番人気率は、驚くべきことに37%くらいになる。
これを、オッズとの相関性が高いという。
前走2着を本命とする馬券術或いはファクターは、勝率20%以上あり、魅力的なのだが、オッズの重力場に囚われているファクターである、と判断できる。
つまり、黒字収支になることはないのである(ちなみに、この単勝回収率は73.9%)
貴方は、このファクターを捨てられるだろうか。

(
図表388-2)今走2着だった馬の次走着順と次走人気(2011-2021年中央競馬平地競走)。この馬券術では予想(次走着順)よりもオッズ(次走人気)のほうが相関性は高い。

次走着順 頭数 次走人気 頭数
1 7,220 1 13,231
2 5,617 2 7,613
3 4,503 3 4,731
4 3,539 4 3,220
5 2,979 5 2,154
6 2,337 6 1,509
7 1,999 7 1,011
8 1,688 8 719
9 1,293 9 475
10 1,075 10 333
11 935 11 242
12 728 12 127
13 541 13 99
14 462 14 74
15 361 15 42
16 225 16 20
17 61 17 7
18 49 18 5
合計 35,612 合計 35,612
勝率 20.3% 1番人気率 37.2%
これを捨てることができたとして、代替できるファクターはあるか。
解答(正答)ではないが、ひとつのソリューションとしてサイン馬券術を真面目に取り上げてみよう。
サイン馬券術には美点がある。
オッズとの相関性が低い(無い)のだ。
サッカー日本代表が勝てば青がくると言い、4枠の馬に賭ける。
そういう馬券術である。
オッズを見なければ、人気薄さえ平気で買える。
惜しむらくは、オッズとの相関性が低いだけでなく、馬の実力とも相関性が低いことである。
お陰で的中率も低い。
サイン馬券術は、だから採用できないのだが、相関性の低さでは、下手な馬券術より優れている。
わたしたちは、オッズとの相関性が低く、かつ、ソコソコの的中率のあるファクターを考えればいいのだ。
もちろん、それが、難しい。
そういうファクターはあるかないか、で言えば、ある。
但し、「オッズと相関性が低く、かつ、着順(少なくとも上位入線)と相関性が高い」となれば、それほどあるまい。

だが、発走前オッズは論外としても、着順ほか前走実績、適性その他、オッズと相関性の高いものだけを幾つ組み合わせても、黒字収支には辿り着かない。
オッズの世界=回収率0.75に帰着する世界、を小さく再現しているに過ぎないからだ。

(SiriusA+B)

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