▼WINNER
クリスマスも、400夜記念も関係ない、通常運行のブログである。
2022年カタール国で開催された、サッカーのワールドカップで、WINNERというサッカーくじを知った。
正称をスポーツ振興投票という、スポーツ振興くじの一種で、totoと同じ運営主体である。
2022年9月26日から発売された新しいものだそうで、わたしも配偶者から教えてもらうまでまったく知らなかった。
わたしはtotoについてもよく知らないが、少なくともWINNERは競馬と同じ仕組みで、競馬ファンには理解しやすいと思う。
勝敗と得点で予想するのだが、組み合わせは18通りになっていた。
勝敗は、前半後半の90分でのもので、延長とPK戦は反映されない。
4点以上の勝利と3点以上の引き分けは、ひと括りにされている。
例えば、クロアチア対ブラジル戦では、前半後半では0-0で決着がつかず、延長に入ってクロアチアが得点し勝利した。
この場合、0-0の引き分けが「的中」となる。
投票総数は未だ競馬より小さいようだが、仕組みが競馬の単勝に近いので、今夜はこれを題材に研究しようと思う。
▼AIと食い違う投票行動
SUCCERKINGというところがAI予想をしていたので、これと投票行動を比較した。
予想では、ブラジル勝利が42.7%、引き分けが26.4%、クロアチア勝利が30.9%だった。
投票は、ブラジル勝利が69.9%、引き分けが16.1%、クロアチア勝利が15.0%である(オッズから逆算して独自に算出)。
(図表400-1)投票行動とAI予想比較(出典:SUCCERKING)
※Bはブラジル、Cはクロアチア
予想成績 | オッズ | 支持率 | AI | 支持率 | AI |
C 0 - 1 B | 5.8 | 8.60% | 12.90% | ブラジル勝利69.9% | 42.70% |
C 0 - 2 B | 3.9 | 12.80% | 9.00% | ||
C 0 - 3 B | 4.5 | 11.10% | 3.40% | ||
B 4点以上で勝利 | 4.1 | 12.20% | 4.80% | ||
C 1 - 2 B | 4.8 | 10.40% | 8.00% | ||
C 1 - 3 B | 4.7 | 10.60% | 3.00% | ||
C 2 - 3 B | 12.2 | 4.10% | 1.60% | ||
C 0 - 0 B | 10.2 | 4.90% | 9.40% | 引き分け16.1% | 26.40% |
C 1 - 1 B | 7.8 | 6.40% | 13.10% | ||
C 2 - 2 B | 13.8 | 3.60% | 3.20% | ||
双方3点以上で同点 | 42.9 | 1.20% | 0.70% | ||
C 1 - 0 B | 12.3 | 4.10% | 10.50% | クロアチア勝利15.0% | 30.90% |
C 2 - 0 B | 23 | 2.20% | 6.10% | ||
C 2 - 1 B | 12 | 4.20% | 6.70% | ||
C 3 - 0 B | 55.4 | 0.90% | 1.80% | ||
C 3 - 1 B | 40.2 | 1.20% | 2.10% | ||
C 3 - 2 B | 33.5 | 1.50% | 1.30% | ||
C 4点以上で勝利 | 52.6 | 1.00% | 2.40% |
得点を含めた投票行動は図表1の通りだが、競馬と違って、予想と投票行動は乖離した。
ブラジル勝利に偏ったものであった。
ブラジルが多く得点する選択も人気となっていることや、引き分けへの投票の少なさからも、ブラジルの圧倒的な優勢予想を感じることができる。そして、「正解」は0-0の引き分けだった。
投票行動の4.9%が正解、結果と合致した。
これは「8番人気」であった。
他方、AI予想では、4番目に高い9.4%の確率で0-0の引き分けになるとなっていた。
この試合に限っては、AIと投票行動は乖離した。
この差はどこに原因があるのだろう。
たかだか1試合の対比であれこれ確定的なことは言えないが、「こういう可能性がある」くらいの推論は試みてみたい。
先ず、多くの人の投票行動では、勝ち敗けを第一に考えているだろうということだ。
競馬予想のように分析する人でなければ、「総合的に」或いは「直感的に」考えて、ブラジルが勝つのではないかと、先ず勝敗から考えたのではないか。
さらに、力の差を考慮して、ブラジルが複数得点をあげる、と。
対して、AI予想では、あくまでわたしの推測だが、勝ち敗けを予想するのではなく、点数を予想しようとしているアルゴリズムのような気がする。
点数を考察して、結果として勝敗が決まるという仕組みだ。
特に、投票行動と大きく異なっていたのが、失点ではないかと思う。
投票行動では、ブラジルが複数得点すると考えた人が多かったようだ。
反対に、AIでは、双方が0点或いは1点しか失点しない可能性が高いと見たのではないか。
AIの上位4つを抜き出してみると、
C 1 - 1 B 13.1%
C 0 - 1 B 12.9%
C 1 - 0 B 10.5%
C 0 - 0 B 9.4%(的中)
となっていた。
ここには記さないが、AIでは「総合力」「攻撃力」「守備力」という3つの要素を別途公開していた。
それによると、総合力と攻撃力の数値では、それほど差はないもののブラジルが勝り、守備力では互角であった。
どのようなバランスで予想したのかは分からないが、ワールドカップともなれば、選手の粒が揃っており、スター選手の「突出度合い」が比較的小さいのではないかとわたしは推測する。
どのチームでも守備に徹すれば、簡単には失点しないのだ。
サッカーは、失点の少なさを競うゲームなのかもしれないと思ったのである。
▼着想力の勝負
投票行動とAI予想の乖離は、得点と失点の視点の違いからくるものだというのが、この、僅かひと試合だけで考えた推論である。
まったく考え違いかもしれないし、もっと違う視点があるかもしれない。
競馬の場合は、ちょっと違う。
競馬予想者は、わたしのような「にわかサッカーファン」のレベルではないのだ。
すでに多くの情報が持ち込まれ、相当な研究がなされている。
オッズの逆数からはじき出した支持率と、実際の勝率は近似するに至っているのである。
ライバルたちを出し抜くのは相当な困難がある。
それでもサッカーを「失点のゲーム」と捉えるような着想ができれば、オッズと乖離して黒字収支に持ち込むことができるだろう。
独自の戦略が要る。
競馬に限らないが、ライバルを出し抜くこと、これが賭け事の本質である。
(SiriusA+B)