2022年12月25日日曜日

第400夜 競馬と、ワールドカップの夜


WINNER
クリスマスも、400夜記念も関係ない、通常運行のブログである。
2022
年カタール国で開催された、サッカーのワールドカップで、WINNERというサッカーくじを知った。
正称をスポーツ振興投票という、スポーツ振興くじの一種で、totoと同じ運営主体である。
2022
926日から発売された新しいものだそうで、わたしも配偶者から教えてもらうまでまったく知らなかった。
わたしはtotoについてもよく知らないが、少なくともWINNERは競馬と同じ仕組みで、競馬ファンには理解しやすいと思う。
勝敗と得点で予想するのだが、組み合わせは18通りになっていた。
勝敗は、前半後半の90分でのもので、延長とPK戦は反映されない。
4
点以上の勝利と3点以上の引き分けは、ひと括りにされている。
例えば、クロアチア対ブラジル戦では、前半後半では0-0で決着がつかず、延長に入ってクロアチアが得点し勝利した。
この場合、0-0の引き分けが「的中」となる。
投票総数は未だ競馬より小さいようだが、仕組みが競馬の単勝に近いので、今夜はこれを題材に研究しようと思う。

AIと食い違う投票行動
SUCCERKING
というところがAI予想をしていたので、これと投票行動を比較した。
予想では、ブラジル勝利が42.7%、引き分けが26.4%、クロアチア勝利が30.9%だった。
投票は、ブラジル勝利が69.9%、引き分けが16.1%、クロアチア勝利が15.0%である(オッズから逆算して独自に算出)
(
図表400-1)投票行動とAI予想比較(出典:SUCCERKING)
Bはブラジル、Cはクロアチア

予想成績 オッズ 支持率 AI 支持率 AI
C 0 - 1 B 5.8 8.60% 12.90% ブラジル勝利69.9% 42.70%
C 0 - 2 B 3.9 12.80% 9.00%
C 0 - 3 B 4.5 11.10% 3.40%
B 4点以上で勝利 4.1 12.20% 4.80%
C 1 - 2 B 4.8 10.40% 8.00%
C 1 - 3 B 4.7 10.60% 3.00%
C 2 - 3 B 12.2 4.10% 1.60%
C 0 - 0 B 10.2 4.90% 9.40% 引き分け16.1% 26.40%
C 1 - 1 B 7.8 6.40% 13.10%
C 2 - 2 B 13.8 3.60% 3.20%
双方3点以上で同点 42.9 1.20% 0.70%
C 1 - 0 B 12.3 4.10% 10.50% クロアチア勝利15.0% 30.90%
C 2 - 0 B 23 2.20% 6.10%
C 2 - 1 B 12 4.20% 6.70%
C 3 - 0 B 55.4 0.90% 1.80%
C 3 - 1 B 40.2 1.20% 2.10%
C 3 - 2 B 33.5 1.50% 1.30%
C 4点以上で勝利 52.6 1.00% 2.40%

得点を含めた投票行動は図表1の通りだが、競馬と違って、予想と投票行動は乖離した。
ブラジル勝利に偏ったものであった。
ブラジルが多く得点する選択も人気となっていることや、引き分けへの投票の少なさからも、ブラジルの圧倒的な優勢予想を感じることができる。そして、「正解」は0-0の引き分けだった。
投票行動の4.9%が正解、結果と合致した。
これは「8番人気」であった。
他方、AI予想では、4番目に高い9.4%の確率で0-0の引き分けになるとなっていた。

この試合に限っては、AIと投票行動は乖離した。
この差はどこに原因があるのだろう。
たかだか1試合の対比であれこれ確定的なことは言えないが、「こういう可能性がある」くらいの推論は試みてみたい。

先ず、多くの人の投票行動では、勝ち敗けを第一に考えているだろうということだ。
競馬予想のように分析する人でなければ、「総合的に」或いは「直感的に」考えて、ブラジルが勝つのではないかと、先ず勝敗から考えたのではないか。
さらに、力の差を考慮して、ブラジルが複数得点をあげる、と。
対して、AI予想では、あくまでわたしの推測だが、勝ち敗けを予想するのではなく、点数を予想しようとしているアルゴリズムのような気がする。
点数を考察して、結果として勝敗が決まるという仕組みだ。
特に、投票行動と大きく異なっていたのが、失点ではないかと思う。
投票行動では、ブラジルが複数得点すると考えた人が多かったようだ。
反対に、AIでは、双方が0点或いは1点しか失点しない可能性が高いと見たのではないか。
AI
の上位4つを抜き出してみると、
 C 1 - 1 B 13.1%
 C 0 - 1 B 12.9%
 C 1 - 0 B 10.5%
 C 0 - 0 B 9.4%(的中)
となっていた。
ここには記さないが、AIでは「総合力」「攻撃力」「守備力」という3つの要素を別途公開していた。
それによると、総合力と攻撃力の数値では、それほど差はないもののブラジルが勝り、守備力では互角であった。
どのようなバランスで予想したのかは分からないが、ワールドカップともなれば、選手の粒が揃っており、スター選手の「突出度合い」が比較的小さいのではないかとわたしは推測する。
どのチームでも守備に徹すれば、簡単には失点しないのだ。
サッカーは、失点の少なさを競うゲームなのかもしれないと思ったのである。

▼着想力の勝負
投票行動とAI予想の乖離は、得点と失点の視点の違いからくるものだというのが、この、僅かひと試合だけで考えた推論である。
まったく考え違いかもしれないし、もっと違う視点があるかもしれない。
競馬の場合は、ちょっと違う。
競馬予想者は、わたしのような「にわかサッカーファン」のレベルではないのだ。
すでに多くの情報が持ち込まれ、相当な研究がなされている。
オッズの逆数からはじき出した支持率と、実際の勝率は近似するに至っているのである。
ライバルたちを出し抜くのは相当な困難がある。
それでもサッカーを「失点のゲーム」と捉えるような着想ができれば、オッズと乖離して黒字収支に持ち込むことができるだろう。
独自の戦略が要る。
競馬に限らないが、ライバルを出し抜くこと、これが賭け事の本質である。

(SiriusA+B)

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