2024年8月19日月曜日

第480夜 幸運にも勝った馬は


▼事故
2024
728日の新潟第8競走3歳以上1勝クラスで、ブループリマドンナ号が3着になった。
8
戦目、11番人気であった。
新馬戦を除き、ずっと二桁人気で、馬券に絡んだのも新馬戦以来である。
1800m
ダート戦とはいえ、新馬戦を勝ったエリートなのに、評価は上がらなかった。
彼女の勝ったこの新馬戦は、これより1年ほど前であった。
やはり新潟だったのだが、実はたいへん珍しいレースであった。
「事故」で競走除外となった馬がいたのである。

有名な事件なので、ご存知の方も多かろうと思うが、事故の内容は、競走馬の取り違えであった。
名調教師でも、とか、現代に、とか、そういった話はこのブログの範疇ではない。
それでもひとつだけ言わせてもらえば、埋め込まれたチップが鍵になったのだが、大ごとになることなく、速やかに対応できたことを素晴らしいとわたしは思う。
人間のやることだから、このようなミスはどれほどの名人でも素人でも起こし得るが、その影響を最小限に食い止める仕組みや対応が評価されるべきもので、外野がミスに対してあれこれ言っても不毛である。

本題に戻る。
除外馬はエンブレムボム号という名前だが、競馬場にやってきたのはエコロネオ号だった。
エコロネオ号を出走させようとしたのか、ホンモノのエンブレムボム号のつもりだったのかは、わたしは知らない。
ただ、ホンモノのエンブレムボム号だったとしたら、勝ち負けだった可能性があった。
エンブレムボム号は、後日出走した新馬戦を1番人気で勝利している。
冒頭に登場したブループリマドンナ号は、エンブレムボム号が出走していたとしたら勝利できただろうか。
その後の人気薄ぶりから、馬券購入者は新馬戦の勝利を評価してくれていないが、この勝利は単なる幸運だったのか、それともエンブレムボム号が出走していても勝利できるほどの実力だったのか。
取り違え事件の該当馬より、ブループリマドンナ号のその後が気になったのである。
ちなみに、競馬場まで連れてこられたエコロネオ号は中央競馬平地競走を3戦未勝利で地方に転出し、門別での初戦に1番人気で勝利した。
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番人気が話題性を加味したものかどうかは、わたしは知らないが、人気には応えたのである。

▼繰り上がり勝利馬のその後の成績
このような例は稀有(けう)だが、1位入線馬が降着や失格などで繰り上がった勝利馬は何頭かいる。
前項の例と異なり、こちらは明らかに2位入線馬が優勝したものである。
降着制度は2013年からだったか、大きく変更されているので、近年は例が少ないが、手で拾ってみたら18頭も出てきた。
ああ、ピンクブーケ号もいる。
図表480-1にまとめてあるが、誤りや漏れについてはご容赦願いたい。
その後の成績を見ると(202312月末まで)、繰り上がり勝利馬でその後勝利したのは9頭と半数であった。
他方、降着や失格となった馬は、その後、18頭中14頭が勝利した。
「やっぱり降着や失格した馬のほうが強いのか」と早合点してはいけない。
降級制度も変わったが、繰り上がり勝利馬は基本的にひとつ上のクラスで戦っているのだ。
その考えでいくと、降着・失格馬を2勝以上した頭数と比較しなければならないと考えることもできる。
その頭数は9頭、繰り上がり勝利馬でその後勝った馬と同数であった。

サンプルは少ないが、この結果から、繰り上がり勝ちの幸運な馬は、必ずしも幸運だけではなく、実力も備わっていると考えられるのではないだろうか。
同様に、降着や失格した馬も同様の実力を示している。
馬券を検討する中では、棚ぼたや気性で割り引くより、むしろ「どちらも1着」くらいで評価したほうが良さそうな気がする。
(SiriusA+B)

(
図表480-1)1位入線降着・失格馬のいた競走の勝ち馬と当該馬のその後の成績

競走 クラス(現在の呼称) 勝ち馬 人気 その後勝利 その後出走 降着失格馬 人気 理由 その後勝利 その後出走
2011年1月22日中山9R 3歳1勝クラス ヤマノラヴ 4 0 14 マヒナ 2 0 4
2011年2月20日東京4R 3歳未勝利 リンゴット 1 2 21 ラポール 3 0 14
2011年4月17日阪神2R 3歳未勝利 タガノマツカゼ 5 0 1 ナリタデリゲート 6 1 4
2011年5月8日京都1R 3歳未勝利 ボストンリョウマ 2 0 43 マサノエクスプレス 5 1 8
2011年12月17日中山10R 3歳上2勝クラス セイリオス 2 1 13 ヒラボクマジック 3 3 19
2012年10月28日東京4R 2歳新馬 アイズオンリー 1 0 10 ソロル 4 7 32
2014年12月7日中山6R 2歳新馬 マイネルサージュ 1 5 36 ピンクブーケ 9 2 9
2015年4月18日阪神12R 4歳上2勝クラス カネトシビバーチェ 1 1 31 アイムユアドリーム 15 1 10
2016年2月6日東京7R 3歳1勝クラス レーヴァテイン 1 0 1 ヴァンキッシュラン 3 2 3
2017年8月6日小倉1R 2歳未勝利 ガゼボ 4 3 27 ペイシャルアス 5 2 19
2017年9月18日中山1R 2歳未勝利 マイネルアンファン 6 2 21 マイネルサリューエ 2 2 9
2019年5月11日京都2R 3歳未勝利 サンマルベスト 3 2 15 テイエムイブシギン 1 1 7
2019年9月1日札幌9R 3歳上1勝クラス クリノアリエル 2 1 29 タンタグローリア 4 0 3
2020年2月23日小倉4R 3歳未勝利 ソツナサ 9 0 11 マイネルポインター 4 1 7
2020年3月29日中京11R 4歳上オープン モズスーパーフレア 9 0 7 クリノガウディー 15 2 16
2020年11月1日京都7R 3歳上1勝クラス ナリタザクラ 1 0 9 メイショウサンガ 3 0 22
2020年11月7日東京4R 2歳未勝利 セルジュ 4 0 14 ソーヴァリアント 1 5 14
2022年2月5日中京5R 3歳未勝利 サブライムアンセム 1 1 10 ハギノモーリス 2 3 9


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