2024年10月27日日曜日

第490夜 1万円でWIN5!Part1


WIN5を研究する
複勝を「金持ちの馬券」と思わないのは、馬券市場でも「規模の経済」が働くと考えているからだ。
資金が豊富になるほど、分散できる。
100
円しかなければ、どうやっても1点買いしかできないのに対し、1,000円持っていれば複数点数に分散できるということである。
100
円でも1,000円でも1点買いで勝負、という想定ばかりではないのである(むしろレアケース?)
単複、枠連、馬連・ワイド、馬単、3連複、3連単と組合せ数(買い目の数)が増えるほど、資金の大きさがモノを言う。
ということは、WIN5(5重勝単勝式投票法)が、わたしたち一般市民にとって容易な戦いでないことは想像できる。
すべて18頭立てで考えると、3連単が4,896通りであるのに対し、WIN51,889,568通りの選択肢から的中馬券を選りださなくてはならない。
386倍である。
3
連単を20点買いする人なら、WIN5では7,720点買いすることになるかもしれない。
1
100円でも77万円以上要る。
それを1万円で勝負できないだろうか、ということを今回のテーマとして掲げた。
先に概要を申し上げると、払戻金は置いておき、先ず的中を目指そうとする。
買い目の少ない不利はやむを得ないとしても、できるだけ効率的に的中に近づきたい、と考えている。
肝心の馬の選択は皆さんにお任せするとして、WIN5はどういうものか、改めて整理するところから始めたいと思う。
考え抜くことは誰にでも可能だ。
WIN5
が得意な人なら当然ご存知のことも多いと思うが、戦術的に難しいと敬遠してきたわたしにとっては初めて知ることも多かった。
充分に研究して挑み、玉砕を避ける。
1
1万円の軍資金で勝負する、という目標で進めていく。

(
図表490-1) WIN5のプロフィール(2018-2023
)
集計期間 2018年1月から2023年12月まで
回数 335回
件数 338件(2着同着レース3回)
的中なし回数 3回
最低払戻金(的中なし0円除く) 6,050円
最高払戻金 554,446,060円
平均払戻金 19,724,543円(的中なし3件含む)
平均発売票数 7,179,607票
平均発売額 717,960,700円
キャリーオーバー直後を除く平均発売額 7,178,696円
キャリーオーバー直後の平均発売額 30,611,870円
最大組合せ数 1,410,048通り
最小組合せ数 84,240通り
平均組合せ数 580,729通り

189万通りの組合せではない
前項で、すべて18頭立てのレースだった場合、1,889,568通りになると申し上げた。
計算は簡単である。
18
×18×18×18×181,889,568
である。
思わず怯(ひる)んでしまうが、現実にはこの3分の1に満たない58万通りくらいが平均である。
今回は2018年から2023年の335回分を調査対象にしている。
調査対象期間内では、1,410,048通りが最大数であった。
2021
年と2023年に1回ずつあった。
いずれも16頭立て2レース、17頭立て1レース、18頭立て2レースである。
現実的には、ほぼ天井ではないだろうか。
反対に、最小の組合せ数では84,240通りで、10万通りを割り込んだのはこれを含めて2回ある。
84,240
通りなら簡単、と思ったのなら、すでに感覚が麻痺しているのでご注意いただきたい。
これでも18頭立て3連単の17倍である。

図表490-2では、組み合わせの分布をまとめた。
なお、この記事ではWIN5の実施回数を「回数」と呼び、同着レースがあって2通りの払戻金があった3回を含めたものを「件数」と呼ぶことにする。
調査期間中の回数は335回、払戻金の件数は338件である。
組合せ数では、対象5レースすべてが14頭立てだった場合の537,824通り以上、すべて15頭立てだった場合の759,375通り未満が94回で最も多かった。
このソーンを中心として、釣鐘型の分布になる。
分布を見る限り、100万通り以上の組合せも少なくない一方で、多くの回では100万通り未満の組合せになっていることが分かる。
たいへん興味深く思ったのは、払戻金との相関があまりないことであった。
最右欄に載せた平均払戻金は、組合せ数が増えるに従い高額になっているようで、そうでもないところがある。
件数が少ないことも大きな理由であるものの、WIN5の特徴としてG1競走など「堅めの」18頭フルゲート戦の影響が考えられる。
別途触れなければならないが、オープン戦は意外に堅いところがあるのだ。
次の夜につづく。

(
図表490-2) WIN5の組合せ数の分布
組合せ 通り以上 通り未満 回数 件数 平均払戻金
すべて18頭立て組合せ数未満 1,419,857 1,889,568 0 0 0
すべて17頭立て組合せ数未満 1,048,576 1,419,857 13 13 13,456,374
すべて16頭立て組合せ数未満 759,375 1,048,576 70 71 27,756,818
すべて15頭立て組合せ数未満 537,824 759,375 94 96 20,036,715
すべて14頭立て組合せ数未満 371,293 537,824 83 83 14,259,103
すべて13頭立て組合せ数未満 248,832 371,293 51 51 16,185,729
すべて12頭立て組合せ数未満 161,051 248,832 17 17 32,826,259
すべて11頭立て組合せ数未満 100,000 161,051 5 5 2,236,410
すべて10頭立て組合せ数未満 59,049 100,000 2 2 639,705
すべて9頭立て組合せ数未満 0 59,049 0 0 0
平均 580,729 335 338 19,724,543
(SiriusA+B)

2024年10月20日日曜日

第489夜 着差は刹那か永遠か(後編)


▼獲得賞金
前夜からのつづきである。
今夜は生涯獲得賞金、生涯獲得賞金平均から見ていく。
重複を避けるため、集計内容や、この記事で用いる用語については、前夜の内容をご覧いただきたい。

図表489-1は、新馬戦1着馬と2着馬の当該新馬戦を含む生涯獲得賞金の総額、平均額をどちらが多く獲得できたか、勝敗をまとめたものである。
クビ差の場合、新馬戦の12着馬それぞれが獲得した賞金を比べれば、1着馬が291216敗で勝率57%だったというように見る。
総額では出走回数によるバラツキも大きいので、1レース当たりの平均賞金にしたものが右側にある。
クビ差の場合、1着馬が312195敗で勝率62%である。
平均を見たほうが白黒はっきりつく。

平均賞金では、着差の広がりとともに、1着馬優勢の傾向が顕著になってくる。
ハナ差では勝率52%に過ぎないが、1馬身でほぼ6割、2馬身で7割、3馬身以上で8割前後になる。
まあ、そうだろうね、と言われると思うが、よくよく考えてみると、半分に満たないといっても、2着馬が1着馬を上回るケースは多々あることも事実である。
総額と平均の傾向から類推すれば、1着馬は新馬戦を勝ち昇級して賞金の高いクラスで、2着馬は未勝利を経て、となるので、賞金の平均が小さくなるのだろう。
掲示板に載れば賞金を得られるので、ひとクラス下の未勝利戦で何度も走ったほうが稼ぐのかもしれないということだ。
1
着馬と2着馬は、確かにあるが思ったほどの差はなくない? そんな印象も受けるだろう。

(
図表489-1)

整理番号 着差 1着馬生涯獲得賞金対戦成績 2着馬生涯獲得賞金対戦成績 1着馬生涯獲得賞金対戦成績勝率 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 2着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績勝率
1 ハナ 72 66 0.52 72 66 0.52
2 アタマ 64 44 0.59 66 42 0.61
3 クビ 291 216 0.57 312 195 0.62
4 1月2日 182 128 0.59 197 113 0.64
5 3月4日 159 112 0.59 167 104 0.62
6 1 55 38 0.59 55 38 0.59
7 1.1/4 292 130 0.69 297 125 0.7
8 1.1/2 160 82 0.66 174 68 0.72
9 1.3/4 136 65 0.68 141 60 0.7
10 2 143 74 0.66 147 70 0.68
11 2.1/2 177 88 0.67 189 76 0.71
12 3 120 38 0.76 123 35 0.78
13 3.1/2 92 35 0.72 97 30 0.76
14 4 67 37 0.64 72 32 0.69
15 5 88 21 0.81 89 20 0.82
16 6 24 12 0.67 28 8 0.78
17 7 35 6 0.85 36 5 0.88
18 8 16 4 0.8 18 2 0.9
19 9 9 4 0.69 12 1 0.92
20 10 4 1 0.8 4 1 0.8
21 14 4 0.78 17 1 0.94
集約1-2 136 110 0.55 138 108 0.56
集約3 291 216 0.57 312 195 0.62
集約4-5 341 240 0.59 364 217 0.63
集約6-7 347 168 0.67 352 163 0.68
集約8-9 296 147 0.67 315 128 0.71
集約10-11 320 162 0.66 336 146 0.7
集約12-21 469 162 0.74 496 135 0.79

▼直接対戦
では、直接対戦してみたら実力の差は出るのか。
図表489-2は、新馬戦後の直接対戦を拾い出したものである。
同じレースに出たとき、どちらが先着したかを競ってもらった(馬に)
この集計では2種類を用意した。
ひとつは「先着」で、何着であれ、どちらが先着したかを示した。
もうひとつは「勝利」で、どちらかが勝利したレースを先着の中から抽出したものだ。
副次的に分かったことから申し上げると、先着回数はあまり参考にならないということであった。
1
着馬と2着馬はほぼ互角だったのである。
これはほかのクラスのレースでも同じようだが、極端に言えばある意味「1着以外はどうでもいい」らしい。
もちろん賞金や目標着順はあるので「どうでもいい」なんていうことはないが、勝利以外、敗けは敗けで、着順の優先度は低い。
このことは、過去の成績に基づいて予想するスタイルの人には、スピード系でも着順でもなんでもそうだが、頭に入れておいて損はないとわたしは思っている。

一方、「勝利」で見ると件数が非常に少なくなるが、1着馬は57頭が再び新馬戦2着馬に勝ち60勝、2着馬は43頭が1着馬に雪辱を果たして勝ち45勝であった。
1
着馬が優勢であるものの、新馬戦の結果を覆す馬も少なくないことから、新馬戦で勝負付けが終わった、というような推定はできそうにない。
新馬戦で1馬身半以上差をつけられると1着馬優勢だが、それも大した差ではない。

▼リベンジは比較的早期に
以上のことから、着差が僅差であっても、1着馬と2着馬の力の差はある一方で、個々に見ていくと1回の対戦で勝負付けが済んだということはなさそうだという結論になる。
ではどういうときにリベンジできるのだろうか。
2
着馬がリベンジできた45勝を調べると、興味深い結果が出てきた。
図表489-3には、リベンジを果たしたときのクラスを一覧にした。
芝ダート別距離では半数弱が同条件で、ほかのものも前後2ハロンくらいしか変わらなかったのでクラスを載せた。
同期ということもあるが、古馬戦よりも同歳戦でのリベンジのほうが圧倒的に多いことが分かったのである(45回中30)
参考として載せたが、1着馬が再戦して勝利したケースでは古馬戦が相対的に多かったのに比べて対照的である。
当然ながら、新馬戦からの経過日数(リベンジした競走施行日-新馬戦施行日)1年未満が多かった。
若馬の頃は成長著しく、成長や経験によって容易に逆転するのかもしれない。
(SiriusA+B)

(
図表489-2)新馬戦12着馬の再戦成績(先着回数、勝利回数
)
整理番号 着差 1着馬生涯獲得賞金対戦成績 2着馬生涯獲得賞金対戦成績 1着馬生涯獲得賞金対戦成績勝率 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 2着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績勝
1 ハナ 72 66 0.52 72 66 0.52
2 アタマ 64 44 0.59 66 42 0.61
3 クビ 291 216 0.57 312 195 0.62
4 1月2日 182 128 0.59 197 113 0.64
5 3月4日 159 112 0.59 167 104 0.62
6 1 55 38 0.59 55 38 0.59
7 1.1/4 292 130 0.69 297 125 0.7
8 1.1/2 160 82 0.66 174 68 0.72
9 1.3/4 136 65 0.68 141 60 0.7
10 2 143 74 0.66 147 70 0.68
11 2.1/2 177 88 0.67 189 76 0.71
12 3 120 38 0.76 123 35 0.78
13 3.1/2 92 35 0.72 97 30 0.76
14 4 67 37 0.64 72 32 0.69
15 5 88 21 0.81 89 20 0.82
16 6 24 12 0.67 28 8 0.78
17 7 35 6 0.85 36 5 0.88
18 8 16 4 0.8 18 2 0.9
19 9 9 4 0.69 12 1 0.92
20 10 4 1 0.8 4 1 0.8
21 14 4 0.78 17 1 0.94
集約1-2 136 110 0.55 138 108 0.56
集約3 291 216 0.57 312 195 0.62
集約4-5 341 240 0.59 364 217 0.63
集約6-7 347 168 0.67 352 163 0.68
集約8-9 296 147 0.67 315 128 0.71
集約10-11 320 162 0.66 336 146 0.7
集約12-21 469 162 0.74 496 135 0.79

(図表489-3)リベンジ時のクラスおよび新馬戦からの経過日数
クラス 件数 参考:1着馬が再度勝利した件数
2歳1勝クラス 6 8
3歳1勝クラス 12 7
2歳オープン 6 9
3歳オープン 11 11
3歳上1勝クラス 2 11
4歳上1勝クラス 2 2
3歳上2勝クラス 0 1
4歳上2勝クラス 3 2
3歳上3勝クラス 0 1
4歳上3勝クラス 1 3
3歳上オープン 2 2
4歳上オープン 0 3
施行日-新馬戦 件数
30日以内 1
60日以内 4
90日以内 6
120日以内 10
150日以内 1
180日以内 5
210日以内 2
240日以内 2
270日以内 3
300日以内 1
330日以内 1
360日以内 0
361日以上 9



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