2024年10月20日日曜日

第489夜 着差は刹那か永遠か(後編)


▼獲得賞金
前夜からのつづきである。
今夜は生涯獲得賞金、生涯獲得賞金平均から見ていく。
重複を避けるため、集計内容や、この記事で用いる用語については、前夜の内容をご覧いただきたい。

図表489-1は、新馬戦1着馬と2着馬の当該新馬戦を含む生涯獲得賞金の総額、平均額をどちらが多く獲得できたか、勝敗をまとめたものである。
クビ差の場合、新馬戦の12着馬それぞれが獲得した賞金を比べれば、1着馬が291216敗で勝率57%だったというように見る。
総額では出走回数によるバラツキも大きいので、1レース当たりの平均賞金にしたものが右側にある。
クビ差の場合、1着馬が312195敗で勝率62%である。
平均を見たほうが白黒はっきりつく。

平均賞金では、着差の広がりとともに、1着馬優勢の傾向が顕著になってくる。
ハナ差では勝率52%に過ぎないが、1馬身でほぼ6割、2馬身で7割、3馬身以上で8割前後になる。
まあ、そうだろうね、と言われると思うが、よくよく考えてみると、半分に満たないといっても、2着馬が1着馬を上回るケースは多々あることも事実である。
総額と平均の傾向から類推すれば、1着馬は新馬戦を勝ち昇級して賞金の高いクラスで、2着馬は未勝利を経て、となるので、賞金の平均が小さくなるのだろう。
掲示板に載れば賞金を得られるので、ひとクラス下の未勝利戦で何度も走ったほうが稼ぐのかもしれないということだ。
1
着馬と2着馬は、確かにあるが思ったほどの差はなくない? そんな印象も受けるだろう。

(
図表489-1)

整理番号 着差 1着馬生涯獲得賞金対戦成績 2着馬生涯獲得賞金対戦成績 1着馬生涯獲得賞金対戦成績勝率 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 2着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績勝率
1 ハナ 72 66 0.52 72 66 0.52
2 アタマ 64 44 0.59 66 42 0.61
3 クビ 291 216 0.57 312 195 0.62
4 1月2日 182 128 0.59 197 113 0.64
5 3月4日 159 112 0.59 167 104 0.62
6 1 55 38 0.59 55 38 0.59
7 1.1/4 292 130 0.69 297 125 0.7
8 1.1/2 160 82 0.66 174 68 0.72
9 1.3/4 136 65 0.68 141 60 0.7
10 2 143 74 0.66 147 70 0.68
11 2.1/2 177 88 0.67 189 76 0.71
12 3 120 38 0.76 123 35 0.78
13 3.1/2 92 35 0.72 97 30 0.76
14 4 67 37 0.64 72 32 0.69
15 5 88 21 0.81 89 20 0.82
16 6 24 12 0.67 28 8 0.78
17 7 35 6 0.85 36 5 0.88
18 8 16 4 0.8 18 2 0.9
19 9 9 4 0.69 12 1 0.92
20 10 4 1 0.8 4 1 0.8
21 14 4 0.78 17 1 0.94
集約1-2 136 110 0.55 138 108 0.56
集約3 291 216 0.57 312 195 0.62
集約4-5 341 240 0.59 364 217 0.63
集約6-7 347 168 0.67 352 163 0.68
集約8-9 296 147 0.67 315 128 0.71
集約10-11 320 162 0.66 336 146 0.7
集約12-21 469 162 0.74 496 135 0.79

▼直接対戦
では、直接対戦してみたら実力の差は出るのか。
図表489-2は、新馬戦後の直接対戦を拾い出したものである。
同じレースに出たとき、どちらが先着したかを競ってもらった(馬に)
この集計では2種類を用意した。
ひとつは「先着」で、何着であれ、どちらが先着したかを示した。
もうひとつは「勝利」で、どちらかが勝利したレースを先着の中から抽出したものだ。
副次的に分かったことから申し上げると、先着回数はあまり参考にならないということであった。
1
着馬と2着馬はほぼ互角だったのである。
これはほかのクラスのレースでも同じようだが、極端に言えばある意味「1着以外はどうでもいい」らしい。
もちろん賞金や目標着順はあるので「どうでもいい」なんていうことはないが、勝利以外、敗けは敗けで、着順の優先度は低い。
このことは、過去の成績に基づいて予想するスタイルの人には、スピード系でも着順でもなんでもそうだが、頭に入れておいて損はないとわたしは思っている。

一方、「勝利」で見ると件数が非常に少なくなるが、1着馬は57頭が再び新馬戦2着馬に勝ち60勝、2着馬は43頭が1着馬に雪辱を果たして勝ち45勝であった。
1
着馬が優勢であるものの、新馬戦の結果を覆す馬も少なくないことから、新馬戦で勝負付けが終わった、というような推定はできそうにない。
新馬戦で1馬身半以上差をつけられると1着馬優勢だが、それも大した差ではない。

▼リベンジは比較的早期に
以上のことから、着差が僅差であっても、1着馬と2着馬の力の差はある一方で、個々に見ていくと1回の対戦で勝負付けが済んだということはなさそうだという結論になる。
ではどういうときにリベンジできるのだろうか。
2
着馬がリベンジできた45勝を調べると、興味深い結果が出てきた。
図表489-3には、リベンジを果たしたときのクラスを一覧にした。
芝ダート別距離では半数弱が同条件で、ほかのものも前後2ハロンくらいしか変わらなかったのでクラスを載せた。
同期ということもあるが、古馬戦よりも同歳戦でのリベンジのほうが圧倒的に多いことが分かったのである(45回中30)
参考として載せたが、1着馬が再戦して勝利したケースでは古馬戦が相対的に多かったのに比べて対照的である。
当然ながら、新馬戦からの経過日数(リベンジした競走施行日-新馬戦施行日)1年未満が多かった。
若馬の頃は成長著しく、成長や経験によって容易に逆転するのかもしれない。
(SiriusA+B)

(
図表489-2)新馬戦12着馬の再戦成績(先着回数、勝利回数
)
整理番号 着差 1着馬生涯獲得賞金対戦成績 2着馬生涯獲得賞金対戦成績 1着馬生涯獲得賞金対戦成績勝率 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 2着馬生涯獲得賞金平均対戦成績 1着馬生涯獲得賞金平均対戦成績勝
1 ハナ 72 66 0.52 72 66 0.52
2 アタマ 64 44 0.59 66 42 0.61
3 クビ 291 216 0.57 312 195 0.62
4 1月2日 182 128 0.59 197 113 0.64
5 3月4日 159 112 0.59 167 104 0.62
6 1 55 38 0.59 55 38 0.59
7 1.1/4 292 130 0.69 297 125 0.7
8 1.1/2 160 82 0.66 174 68 0.72
9 1.3/4 136 65 0.68 141 60 0.7
10 2 143 74 0.66 147 70 0.68
11 2.1/2 177 88 0.67 189 76 0.71
12 3 120 38 0.76 123 35 0.78
13 3.1/2 92 35 0.72 97 30 0.76
14 4 67 37 0.64 72 32 0.69
15 5 88 21 0.81 89 20 0.82
16 6 24 12 0.67 28 8 0.78
17 7 35 6 0.85 36 5 0.88
18 8 16 4 0.8 18 2 0.9
19 9 9 4 0.69 12 1 0.92
20 10 4 1 0.8 4 1 0.8
21 14 4 0.78 17 1 0.94
集約1-2 136 110 0.55 138 108 0.56
集約3 291 216 0.57 312 195 0.62
集約4-5 341 240 0.59 364 217 0.63
集約6-7 347 168 0.67 352 163 0.68
集約8-9 296 147 0.67 315 128 0.71
集約10-11 320 162 0.66 336 146 0.7
集約12-21 469 162 0.74 496 135 0.79

(図表489-3)リベンジ時のクラスおよび新馬戦からの経過日数
クラス 件数 参考:1着馬が再度勝利した件数
2歳1勝クラス 6 8
3歳1勝クラス 12 7
2歳オープン 6 9
3歳オープン 11 11
3歳上1勝クラス 2 11
4歳上1勝クラス 2 2
3歳上2勝クラス 0 1
4歳上2勝クラス 3 2
3歳上3勝クラス 0 1
4歳上3勝クラス 1 3
3歳上オープン 2 2
4歳上オープン 0 3
施行日-新馬戦 件数
30日以内 1
60日以内 4
90日以内 6
120日以内 10
150日以内 1
180日以内 5
210日以内 2
240日以内 2
270日以内 3
300日以内 1
330日以内 1
360日以内 0
361日以上 9



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