▼引き算の「引くほう」
的中率を重視するアプローチが強い馬を見つけることとすれば、回収率を重視するアプローチはライバルを出し抜くことと、わたしは考えている。
ライバルとは、馬ではなく、馬券購入者の集団である。
実際には、両方のアプローチをあまり意識しないで混合している予想が多いかもしれない。
闇雲に高額配当を狙う人が「回収率重視」と主張することはあるけれど、わたしの基準で見る限りでは回収率重視予想法の定義を満たしていないケースも多い。
念のため繰り返すが、わたしの基準で見る限り、である。
回収率を重視する予想法では、馬券購入者の評価結果であるオッズの逆数すなわち支持率との乖離幅をみる。
このとき、支持率は、ほぼ勝率と近似であるという前提である。
貴方が目星を付けた任意の出走馬において、
支持率<貴方の予想勝率
すなわち、
貴方の予想勝率-支持率>0
が成り立つとき、貴方はこの馬の馬券を購入候補にする。
したがって、人気馬だろうが、不人気馬だろうが、あまり関係がない。
問題は、回収率重視の予想法では、このプロセスをどうするかである。
オッズは発売締め切りまで動き、レースが終わるまで確定オッズは分からない。
引き算の「引くほう」が定まらないのだ。
馬券の多くが締め切り直前に購入されるので、確定オッズを見て落胆した経験はあると思うが、最後までほんとうのところは分からない。
一般には、予想紙などの予想オッズを使う、主催者の前売りオッズが出始めたらそちらに切り替える、発売締め切りの一定時間前時点のオッズを見る、いよいよ買う段になってその段階のオッズを見る、ということになろうか。
いずれでも確定オッズでなく、記録(ある時点でのオッズの記録)も残らない。
ネットでの予想オッズも、馬券の発売開始とともに主催者発表の最新オッズに切り替わる。
このため、回収率重視の予想法の説明では、この最終段階の手続きが明記されていないこともよくある。
▼予想オッズ
そこで、確定オッズと多少違っても、自分で予想オッズ(予想支持率)を作ってみてはどうかと思うのである。
馬券購入直前までオッズをにらんでいる必要はなくなるし、刻々と変わるオッズに翻弄されない。
購入根拠も明確になるので、過去のレースを振り返って検証することもできる。
前項の算式のように表現すれば、
貴方の予想勝率-貴方の予想支持率>0
となる。
貴方は、予想も予想支持率も両方作るのだから、たいへんではある。
だが、予想支持率のベース(基盤)となるものははっきりしている。
図表522-1をご覧いただきたい。
2024年12月28日中山第9競走の最終オッズと、わたしの作成した予想支持率である。
(図表522-1)2024年12月28日中山第9競走
人気 | 最終オッズ | 予想支持率(オッズ換算) | 予想支持率順位 | 着順 |
1 | 2.8 | 1.7 | 1 | 4 |
2 | 3.5 | 3.8 | 2 | 3 |
3 | 4.3 | 4.8 | 3 | 1 |
4 | 8.4 | 10.0 | 6 | 8 |
5 | 20.1 | 4.9 | 4 | 2 |
6 | 21.0 | 14.1 | 8 | 14 |
7 | 22.5 | 32.3 | 10 | 9 |
8 | 30.6 | 7.9 | 5 | 13 |
9 | 32.1 | 72.2 | 13 | 7 |
10 | 40.3 | 30.1 | 9 | 5 |
11 | 49.4 | 13.1 | 7 | 12 |
12 | 147.1 | 71.8 | 12 | 16 |
13 | 181.2 | 135.0 | 15 | 11 |
14 | 206.0 | 110.7 | 14 | 10 |
15 | 325.7 | 49.8 | 11 | 15 |
16 | 418.4 | 145.8 | 16 | 5 |
多少荒っぽいけれど、予想支持率が、何となく最終オッズと似ていることが分かる。
この予想支持率とは、わたしが作成したといっても、各馬の前走支持率(から再度逆算して算出したオッズ)そのものである。
これに、前走の実績や昇級等クラス変更、頭数調整などを加味していけば、もう少し精度は上がるだろう。
算式で言えば、
予想支持率=前走支持率+変動要素
となろうか。
変動要素は、ご自身で検討してみてほしい。
そのほかにも、集合知を利用するとか、AIで学習して算出するとか、方法はいくつかある。
ご提示したのは、自分で作成するのに最も手軽な方法のつもりである。
これにより、予想オッズを作ってしまえば、引き算はすぐにできる。
主催者発表のオッズが出始めたら不要と思われるかもしれないが、そうでもない。
その理由についてはここでは申し上げないが、まあ有用だと思う。
(SiriusA+B)