2025年6月8日日曜日

第520夜 動乱の時代が来た(生成AIの戦いへ)


▼コンピュータと予想の歴史
わたしは、宇宙戦艦ヤマト劇場版2作と銀河鉄道999劇場版2作でできている。
性格形成期に与えられた影響は大きかった。
このうち、さよなら銀河鉄道999〜アンドロメダ終着駅〜は、前作より、「機械化人対生身の人間の対決」という物語の舞台が前面に押し出され、親と子、機械を通して生命の尊さを描いていく。
映画の公開は1981年、この記事より約半世紀前に描かれたもので、当時の機械化人とは、人間の体を機械化するものだった。
ファンタジーと呼ぶに相応しい、今も色褪せぬ設定だが、半世紀後の今、わたしたちは事実上「機械化人対生身の人間の対決」戦争に突入しつつある。
気付いているだろうか。
わたしたちはコンピュータと共に生きているのである。
体ではなく、脳をサポートし、生活のあらゆるところでサポートされている。
このブログでAIについて触れたのは2016年だったか、それから約10年である。
現在の流行の最先端は生成AIで、驚くべき進化を遂げている。
前夜第519夜の末尾には、その辺のよりちょっと賢めの生成AIに書かせた、記事の要約を付けておいた。
ダラダラ書いた第519夜は「要するにこういう内容ですよ」とAIがまとめた。
わたしより分かっているじゃん……。

賭け事と統計学は、切っても切れない関係だ。
統計ということは、データ処理である。
競馬はまさにデータのスポーツで、技術の進展によりデータは増え、処理能力やデータ解析のアイデアが追いつこうとする、その競争と捉えることもできる。
本格的には、1990年代からスピード指数で始まった。
統計学やニューラルネットワーク理論が競馬予想の世界にも顔を見せ始め、数量化1類、機械学習、ディープラーニングなどを用いる人も出てきた。
コンピュータを動かす力も進化し、RPAやノーコードのアプリを使いこなす予想もある。
そして、生成AIである。
初期こそ大した使い道はなかったが、今や何でもできる。
チャットGナントカは、爆発的ブームから僅かな月日で進化し、今や幾つもの生成AIが覇を競う。
予想そのものには用いられないとはいえ、生成AIによって予想法の開発も考えられるようになってきた。
プログラムですら作成するのだ。
お仕事で生成AIを使う人も増えただろう。
わたしも、長い時間を掛けて作成したVBAプログラムと同様のものを作らせたが、何度か修正指示を出しながらも15分足らずでで完成されてしまった。
わたしが中身を見て修正を命じる時間が掛かっただけで、コードの記述はそれほど掛かっていない。
幸い、というか。生成AIは非構造化データに強いが、構造化データには未だ弱いので当面の時間は稼げる。
ただし日進月歩だから、1年後には分からない。
生成AIの流行が終わり、次のブームが到来しているかもしれない。

▼現代版機械化人
これからの競馬予想の主流は、いわゆる本格的に予想するような人の場合、コンピュータを使いこなす方法に移るだろう。
今もそうだと思うなら敢えて申し上げるが、そういうレベルではないと覚悟しておいたほうがいい。
技術の進化も速いため、置いていかれないようにするのもたいへんな時代になった。
まさに、動乱の時代が来た。

何故、動乱の時代か。
何故、生身の人間との戦争か。
現代版機械化人とは、機械を使う人ではなく、使いこなす人である。
スマホを使っていれば機械化人、ではない。
スマホをサクサク動かすというのは違うから。
朝の通勤電車で、或いは雑踏の中で、スマホを手放せない人たちのほとんどは、動画やゲーム、お買い物に興じているが、たとえ操作が迅速でも、ただのコンテンツ利用者に過ぎない。
頭脳として活用していないから生身の人間である。
機械化人になりきれない人は脱落するか、機械化人の予想に頼るしかない。
適当な予想が少なくなり、より高度な戦いになっていく。

だが、ふたつの点で安心してほしい。
ひとつは、先程お話しした通り、コンピュータを使いこなせる機械化人は、当面の間、限られることだ。
ちょっとした使い方なら分かる、そういう人は多い一方で、使いこなせる人は少数に留まる。
お仕事で見ていると、マウスをのんびり動かしている人がほとんどで、アプリやシステムの入力程度だ。
生成AIでプログラムを作らせても実装までできる人は僅かである。
脳味噌の補助道具、外部記憶装置・外部計算装置に至るレベルは簡単ではない。

もうひとつは、情報を活かせる能力すなわち予想技術、ノウハウの開発能力だ。
今でも、わたしから見れば、凄い技術で「間違った/勘違いした予想法」を「正しく実行」しているだけに過ぎないものもあるように思える。
結局のところ、アイデア勝負という点では、今も昔も大差はない。

なお、予想法の秘匿性を良いことに、「AI予想」と銘打っているにも関わらず、AIどころか、予想紙などの予想を借りているだけの詐欺的予想屋も跋扈しているから注意されたい。
紹介文を読めば、いかにも素人なのが明らかなものも多いが、コンピュータに疎いと自覚できる人は、AIと書いてあれば手を出さない方がいい。

(SiriusA+B)

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