2025年7月13日日曜日

第524夜 新馬戦の予想


▼新馬戦の特徴
2025年6月7日東京競馬第5競走は新馬戦であった。
ラジオNIKKEIの実況藤原菜々花アナウンサーが、東日本で今シーズン最初の新馬戦であることを告げる。
この部分は、レースのリプレイではカットされているが、競馬場、ラジオNIKKEI、グリーンチャンネルいずれかで耳にした人もいるだろう。
新しい競馬シーズンの到来である。

しかし、6月に新しいシーズンがスタートする割に、そして、新しい若馬たちがデビューする割に、競馬ファンが盛り上がったり、「新年」を祝う騒ぎになったりはしない。
馬券を購入するわたしたちにとっては、出走経験がなく、予想の仕様がないとか、走ってみないと分からないということがあり、手を出す人が少ないのだ。
ただ、新馬戦は年間に約300レース組まれている。
全体の8.7%に相当するので、機械的にケンする、見送るのは勿体ない気がする。

図表524-1は、新馬戦の人気別勝率を基準に、各クラスの勝率差をまとめたものである。
「新馬戦は堅い」という人もいるが、この一因として出走頭数が少なめというのがあるので、集計は16頭立て(直前に出走取消などで16頭になったレースを含み、当初16頭立てで出走取消があったレースを除く)に絞った。
14年間分とはいえサンプルが少ないところもあるので参考程度にしていただきたいが、新馬戦の人気の特徴が概ね把握できる。
新馬戦は他のクラスと大きく変わらないが、未勝利戦や同歳戦1勝クラスほどではないにせよ、1番人気が強く、2番人気から5番人気あたりまでの勝率は相対的に少ないという結果であった。
要するに、1番人気が強いのである。
芝のレースの比率が高いことも考え合わせると、1番人気の強さは未勝利戦などとさほど変わらない可能性がある。
走った経験のない出走馬たちなので予想が難しいと言いながら、「強い馬は強い」とはっきり分かる。
経験という要素が全馬でないため、能力がそのまま反映されやすいのかもしれない。
皆さんの投票結果は、新馬戦はサンプルが少なめなので凸凹があるものの、馬券として美味しい差異というほどでもなかった。
要するに、予想は他のクラスと同様に正確なのである。
では、過去走なしに、何を根拠に予想しているのか。
もちろん、血統や騎手、馬体、調教などであろう。
だが、多少飛躍した推測かもしれないが、実際には大方の人は予想記者などプロの予想を参考にしているのではないだろうかと、わたしは思っている。
もしそうであるならば、新馬戦の予想は、過去の競走実績の代わりに、複数の予想記者の印を加重するなりして算出するのもひとつの手ではないかと思ったりする。

(図表524-1)16頭立て新馬戦人気別勝率と比較した各クラス勝率差異(2011-2024年中央競馬平地競走)

人気 新馬勝率 未勝利 1勝 オープン 古馬1勝 古馬2勝 古馬3勝 古馬オーブン 新馬支持率 新馬勝率-支持率
1 0.324 0.007 0.008 -0.049 -0.044 -0.031 -0.06 -0.083 0.325 -0.001
2 0.165 0.035 0.017 0.056 0.008 0.011 0.009 0.015 0.181 -0.016
3 0.122 0.005 0.001 0.046 0.014 -0.004 0.001 0.016 0.126 -0.004
4 0.085 0.008 0.009 -0.037 0.009 0.017 0.021 0.019 0.090 -0.005
5 0.07 -0.005 -0.015 0.002 0.003 0.007 0.013 0.017 0.067 0.003
6 0.054 -0.001 0.002 -0.03 0.008 -0.005 -0.007 -0.001 0.050 0.004
7 0.043 -0.005 -0.007 0.041 0.006 0.006 -0.001 0.008 0.038 0.005
8 0.034 -0.006 0.001 0.001 0.004 0.002 0.007 0.003 0.029 0.005
9 0.027 -0.005 -0.008 -0.009 -0.004 0.002 0.001 0 0.022 0.005
10 0.02 -0.003 -0.009 0.004 0.002 0 0.007 0.006 0.017 0.003
11 0.021 -0.012 0.001 -0.009 -0.002 -0.003 -0.002 0.001 0.013 0.008
12 0.015 -0.005 -0.004 -0.003 -0.003 -0.001 0 -0.001 0.010 0.005
13 0.011 -0.007 0.005 -0.011 -0.001 -0.001 0.001 -0.004 0.008 0.003
14 0.006 -0.004 -0.003 -0.006 0 -0.001 0 -0.002 0.006 0.000
15 0.004 -0.002 0 -0.004 0 -0.001 0.009 0.005 0.005 -0.001
16 0.001 0 0.001 0.005 0 0.003 0.001 0.001 0.004 -0.003

▼余談
ところで、冒頭に触れた藤原アナウンサーは女性である。
実況デビューは202433日中山競馬第3競走未勝利戦、ひな祭りに合わせたかのようだ。
ついでに言うと、勝ち馬は3番の馬で、数字としては「持っている」アナウンサーかもしれない。
わたし個人としては、歳だからか()女性の声は聞きやすい。
競馬に限らず、スポーツ実況は長らく男性アナウンサーの独断場であった。
現在も未だ女性アナウンサーは少ない。
聞き取りやすければ、性別などどうでもいいが、このアナウンサーが聞き取りやすかったのは、きっと滑舌が良いからなのだろう。
JRA
の当該レースリプレイで聞ける(観られる)が、ラジオNIKKEIのホームページでもデビュー戦の動画がアップされており、こちらは実況中継するアナウンサーを終始映し出しているので、実況中継の苦労がよく分かると思う。
狭い中継ブースで、スタッフを含めてコートを羽織っているほど、吹きさらしで寒い場所だということも分かって興味深い。
(SiriusA+B)

ブログ アーカイブ