2016年6月6日月曜日

第90夜 良血馬を定義づけるヒントはないだろうか


▼良血馬の定義
良血馬の「良血」とは、血液の成分が良好ということではない。
血統が優れていることを言う。
競馬をしない人からの問いにそう答えたことがあったのだが、続けざまに「では良血とは、どんな基準で良血というのか」と問われて、わたしはことばに詰まった。
わたしたちは当たり前のように「良血馬」と口にするけれど、良血馬の基準は明確ではないのだ。
まず、牡牝両方が優秀な血統を指すのか、牡だけ、あるいは牝だけをいうのか。
また、優秀とは、どのくらいの成績を残したものか、その範囲は何代くらい遡るのか。
兄弟姉妹は考慮されるのか、近親はどこまでが範囲なのか。
そういった基本的事柄さえ一致したものはないのである。

▼ブラックタイプからみた良血
何か参考になるものはないかと調べていたら、セリの話題があった。
競走馬売買の世界では、定義とまではいかなくても、定型化されたものがあり、参考になりそうだ。

セリには「ブラックタイプ」という専門用語があるのだが、馬のセリで使われる、競走成績を文字の太さで表した血統表をいう。
タイプとは、タイプライターなどのタイプと同じ意味で、「黒い字体」と直訳するより「太ゴシックの字体」と意訳すると理解しやすいかもしれない。
主要競走の勝馬を太ゴシック字体で表記することから、この血統表を意味することばになった。
このブラックタイプには、3代血統表と、母系(ファミリーライン)3代乃至4代の情報が掲載されている。
登場する馬は、グレード(グループ)レース勝馬なら太ゴシック字体、23着馬はゴシック字体で表記されている。
ブラックタイプを眺めていると、3代血統表あるいは母系でどのくらいたくさんの良績馬がいるか、そして良績とはグレードレースの勝馬または23着馬を意味することがわかる。
競馬予想で血統派の人なら、5代血統表や9代血統表で分析するかもしれないが、馬の売買では3代程度で良いようだ。
良績とは、わたしの想像より幅広く、グレードレースの優勝馬だけでなく、2着、3着馬も該当するように考えられているらしい。
また、母系を重視しているようでもある。
予想者の一般的な父系を中心にした考えとはやや異なる点に注意したい。
生産者や馬主は、配合などのために、より深く研究されている人も多いと思うが、ブラックタイプはひとつの基準、最低限の共通認識になっているものと思われる。
わたしたちが何をもって良血馬とするか、考える上で参考になると思う。
(SiriusA+B)

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