2017年1月2日月曜日

第140夜 産駒数の減少と世代の強さ


2017年の競馬番組
2017
年は、中央競馬でG1競走が1または2レース増えるそうだ。
大阪杯はG1競走昇格が確定しているが、わたしの感想は「G1競走の考え方が変わってきたなあ」というものである。
わたしが競馬に夢中になった頃は、今ほどG1競走はなく、秋華賞、フェブラリーステークス、NHKマイルカップ、ヴィクトリアマイル、高松宮杯、ジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)はなかった(G2レースなどは一部存在していた)

この頃のG1競走はどちらかと言えばいろいろな要素での頂点だった。
春のマイル王は安田記念、秋はマイルチャンピオンシップ、年央のグランプリが宝塚記念で年末が有馬記念というふうに。
今回、大阪杯のG1競走昇格の説明文を見ると、

「中距離適性を持つ一流馬の国内の春季競馬における出走機会を拡充し、お客様により魅力ある競走を提供するため」

とある。
おそらくJRAG1競走の定義を変えつつあるのだろうとわたしは思う。
すなわち、G1競走が「それぞれのカテゴリーでの頂点を目指す競走」から「競争相手が最も高いレベルにある競走」に移行しようとしている。
したがって、これまでは「G1競走の何々の勝馬」に価値があったものが、「G1何勝馬」に価値が生まれる時代にシフトしつつあるのではないかと思うのである。
個々のG1が「そのカテゴリーの頂点競走」から「最高レベルの出走馬の競走」に変わろうとしている。
それはそれで時代の流れだ。
より多くの人が競馬に参加するようになるなら、わたしは良いことだと思う。
それに、わたしたち「馬券収支の黒字を目指す」人にはG1競走も未勝利戦も一緒である(馬券収支と別に楽しむ世界を否定するものではない)

▼馬産の現状
それよりも気になることは、国内の産駒の減少である。
日本軽種馬協会の統計によれば、サラブレッド系生産頭数は2015年には7,000頭を割り込み、6,843頭だった。
最盛期には4,000頭も生産されたアラブ系はほぼ絶滅状態であるから、馬産そのものが大きく縮小している。
最も多く生産された1992年には、サラブレッド系で10,407頭、アラブ系を合わせると12,874頭だったので、いかに少ないかお分かりいただけるだろう。
地方競馬(公営競馬)の衰退により、サラブレッドの受け入れ先が少なくなったことが大きな要因だと考えられる。
需要がないので供給が見直されるのは自然な経済原理だ。
わたしの小さな力では大きなうねりをどうすることもできないけれど、頭数の減少が全体的な競走馬のレベルのばらつきや低下をもたらすこともあり得るだろうと注視している。
例えば、「今までなら中央競馬には入れなかった馬」が入厩にこぎ着けるケースは出てくるだろう。
出走メンバーの強弱は現在よりも広がるかもしれない。
あるいは古馬の活躍年齢が伸びるかもしれない。

少し検証不足で粗いデータであるが、3歳以上(旧齢4歳以上)の古馬G1競走の平均年齢をグラフにしてみると、1994年を底に、緩やかで一進一退ながら上昇していることに気付く。
「先輩」が「後輩」に譲らなくなっている。
もちろん、背景には、調教施設、調教能力の向上や繁殖に上がる年齢のトレンドといったものはある。
それでも、次の世代が前の世代を凌駕する日が次第に遅くなっているのではないかと予感させるのである。
2016年の有馬記念は3歳馬が2012年以来の勝利であったが、こうした大局的な流れも頭に入れながら、競馬予想を磨いていきたい。

年が改まるたび、わくわくする気持ちになる。
2017
年は、どんな競馬が展開されるだろうか。

1984-2016年中央競馬古馬平地G1競走の勝ち馬の年齢別集計
(
外国産馬、地方競馬所属馬も含む)




3

4

5

6

7

8

9

競走数

勝馬平均年齢
(
)

生産頭数(サラ系他)
(1992
年=100)

1984

1

4

0

2

0

0

0

7

4.43

88%

1985

0

3

4

0

0

0

0

7

4.57

87%

1986

1

4

0

1

1

0

0

7

4.57

84%

1987

1

4

1

1

0

0

0

7

4.29

83%

1988

2

4

1

0

0

0

0

7

3.86

86%

1989

0

3

3

1

0

0

0

7

4.71

88%

1990

0

1

7

0

0

0

0

8

4.88

91%

1991

0

6

1

1

0

0

0

8

4.38

98%

1992

1

2

5

0

0

0

0

8

4.50

100%

1993

0

4

3

1

0

0

0

8

4.63

98%

1994

1

6

1

0

0

0

0

8

4.00

97%

1995

2

1

3

2

0

0

0

8

4.63

90%

1996

1

6

2

0

1

0

0

10

4.40

88%

1997

3

3

3

2

0

0

0

11

4.36

84%

1998

3

5

1

1

1

0

0

11

4.27

80%

1999

0

7

3

1

0

0

0

11

4.45

75%

2000

1

5

5

1

0

0

0

12

4.50

73%

2001

3

2

6

0

1

0

0

12

4.50

72%

2002

3

5

2

2

0

0

0

12

4.25

70%

2003

1

7

2

2

0

0

0

12

4.42

68%

2004

0

4

4

3

1

0

0

12

5.08

65%

2005

1

6

2

3

0

0

0

12

4.58

62%

2006

2

5

3

1

2

0

0

13

4.69

60%

2007

2

6

3

2

0

0

0

13

4.38

59%

2008

1

6

3

3

0

0

0

13

4.62

57%

2009

0

2

8

1

0

2

0

13

5.38

58%

2010

3

4

2

2

1

1

0

13

4.77

55%

2011

2

5

5

1

0

1

0

14

4.64

55%

2012

2

4

5

2

0

0

0

13

4.54

53%

2013

1

5

7

0

0

0

0

13

4.46

53%

2014

0

4

7

2

0

0

0

13

4.85

54%

2015

0

5

3

4

1

0

0

13

5.08

53%

2016

1

4

5

2

1

0

0

13

4.85


(SiriusA+B)

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