▼1着と2着の差
速さを競っていないこともあって、レースの走破タイムの差は非常に小さい。
しかし、着差以上に1着と2着の差は大きい。
賞金面から言えば、1着の賞金は2着の2.5倍である。
2勝するのと同じ金額を稼ぐには2着を5回達成しなければならない(もちろん賞金額はレースごとに異なるので単純化すればという話である)。
記録の面でも、騎手や調教師の成績は、賞金ではなく1着の数で競われる。
G1競走優勝騎手というものはあっても、2着では記憶の風化は激しい。
馬券参加者のわたしたちなら、複勝系の馬券(複勝、拡大馬連(ワイド)、馬番連勝複式、3連勝複式)であれば、1着でも2着でも構わないので「ま、いいか」となるのだが、関係者は、そういうわけにいかないのである。
着差が僅差であるからこそ、その悔しい思いもひとしおだろう。
その悔しさは、誰のものか。
馬だろうか、あるいは、人間だろうか。
以前、このブログで記事にしたが(第115夜「サラブレッドは勝利に酔うか」)、馬はゴール板を知らないと思うと申し上げた。
馬が悔しい思いをしたのなら、そしてそれを次の競走まで覚えていたのなら、2着になった次の競走の成績に表れるのではないかと思い、ちょっと座興に調べてみた。
2006-2014年の中央競馬平地競走で前走が2着だった馬の着順は下表のとおりだった。
「平均比」というのは勝率が平均と比べて何ポイント高い(低い)かを表している。
速さを競っていないこともあって、レースの走破タイムの差は非常に小さい。
しかし、着差以上に1着と2着の差は大きい。
賞金面から言えば、1着の賞金は2着の2.5倍である。
2勝するのと同じ金額を稼ぐには2着を5回達成しなければならない(もちろん賞金額はレースごとに異なるので単純化すればという話である)。
記録の面でも、騎手や調教師の成績は、賞金ではなく1着の数で競われる。
G1競走優勝騎手というものはあっても、2着では記憶の風化は激しい。
馬券参加者のわたしたちなら、複勝系の馬券(複勝、拡大馬連(ワイド)、馬番連勝複式、3連勝複式)であれば、1着でも2着でも構わないので「ま、いいか」となるのだが、関係者は、そういうわけにいかないのである。
着差が僅差であるからこそ、その悔しい思いもひとしおだろう。
その悔しさは、誰のものか。
馬だろうか、あるいは、人間だろうか。
以前、このブログで記事にしたが(第115夜「サラブレッドは勝利に酔うか」)、馬はゴール板を知らないと思うと申し上げた。
馬が悔しい思いをしたのなら、そしてそれを次の競走まで覚えていたのなら、2着になった次の競走の成績に表れるのではないかと思い、ちょっと座興に調べてみた。
2006-2014年の中央競馬平地競走で前走が2着だった馬の着順は下表のとおりだった。
「平均比」というのは勝率が平均と比べて何ポイント高い(低い)かを表している。
前走着順
|
出走頭数
|
勝利頭数
|
勝率
|
平均比
|
1
|
28,918
|
2,894
|
10.0%
|
3.0
|
2
|
29,054
|
6,016
|
20.7%
|
13.7
|
3
|
28,933
|
4,151
|
14.3%
|
7.3
|
4
|
28,737
|
3,019
|
10.5%
|
3.5
|
5
|
28,569
|
2,284
|
8.0%
|
1.0
|
6
|
27,810
|
1,832
|
6.6%
|
-0.5
|
7
|
27,436
|
1,435
|
5.2%
|
-1.8
|
8
|
27,030
|
1,187
|
4.4%
|
-2.6
|
9
|
25,809
|
961
|
3.7%
|
-3.3
|
10
|
24,575
|
757
|
3.1%
|
-4.0
|
11
|
22,875
|
640
|
2.8%
|
-4.2
|
12
|
21,074
|
527
|
2.5%
|
-4.5
|
13
|
18,712
|
402
|
2.1%
|
-4.9
|
14
|
16,067
|
354
|
2.2%
|
-4.8
|
15
|
13,423
|
241
|
1.8%
|
-5.2
|
16
|
9,467
|
182
|
1.9%
|
-5.1
|
17
|
2,488
|
32
|
1.3%
|
-5.8
|
18
|
1,739
|
31
|
1.8%
|
-5.3
|
全体
|
382,716
|
26,945
|
7.0%
|
0.0
|
やはり、前走が2着の馬が次走で勝利する確率は最も高かった。
ただ、これは「悔しい」と馬が思ったというより、クラスの中で1着馬が抜けて相対的に強くなったことによる。
さすがに、何日間も臥薪嘗胆の故事みたいな「悔しさをバネに」ということはないだろう。
逆に「次は負けない」と馬が思ってくれていれば、もう少し勝率は高くなると思うのである。
▼悔しいのは人間
そう考えると「悔しい」というのは人間ではないだろうか。
ちょっと集計方法が大雑把で乱暴なのだが、騎手・調教師・馬主の「前走2着で次の競走」の成績も調べてみた。
下表群である。
なお、調教師・馬主は同日開催の複数の競馬場の成績を含むので完全に正確なデータではないことを予めお断り申し上げる。
(騎手)
ただ、これは「悔しい」と馬が思ったというより、クラスの中で1着馬が抜けて相対的に強くなったことによる。
さすがに、何日間も臥薪嘗胆の故事みたいな「悔しさをバネに」ということはないだろう。
逆に「次は負けない」と馬が思ってくれていれば、もう少し勝率は高くなると思うのである。
▼悔しいのは人間
そう考えると「悔しい」というのは人間ではないだろうか。
ちょっと集計方法が大雑把で乱暴なのだが、騎手・調教師・馬主の「前走2着で次の競走」の成績も調べてみた。
下表群である。
なお、調教師・馬主は同日開催の複数の競馬場の成績を含むので完全に正確なデータではないことを予めお断り申し上げる。
(騎手)
前走着順
|
出走件数
|
勝利件数
|
勝率
|
平均比
|
1
|
25,017
|
2,402
|
9.6%
|
2.4
|
2
|
24,840
|
2,278
|
9.2%
|
1.9
|
3
|
24,625
|
2,161
|
8.8%
|
1.5
|
4
|
24,463
|
1,968
|
8.0%
|
0.8
|
5
|
24,300
|
1,845
|
7.6%
|
0.4
|
6
|
23,944
|
1,790
|
7.5%
|
0.2
|
7
|
23,712
|
1,696
|
7.2%
|
-0.1
|
8
|
23,269
|
1,556
|
6.7%
|
-0.6
|
9
|
22,839
|
1,530
|
6.7%
|
-0.5
|
10
|
21,855
|
1,359
|
6.2%
|
-1.0
|
11
|
20,719
|
1,284
|
6.2%
|
-1.0
|
12
|
19,164
|
1,180
|
6.2%
|
-1.1
|
13
|
17,247
|
1,031
|
6.0%
|
-1.3
|
14
|
15,119
|
904
|
6.0%
|
-1.3
|
15
|
13,035
|
753
|
5.8%
|
-1.5
|
16
|
9,593
|
502
|
5.2%
|
-2.0
|
17
|
2,396
|
119
|
5.0%
|
-2.3
|
18
|
1,815
|
102
|
5.6%
|
-1.6
|
337,952
|
24,460
|
7.2%
|
0.0
|
(調教師)
前走着順
|
出走件数
|
勝利件数
|
勝率
|
平均比
|
1
|
18,874
|
1,533
|
8.1%
|
1.3
|
2
|
18,693
|
1,438
|
7.7%
|
0.9
|
3
|
18,433
|
1,333
|
7.2%
|
0.5
|
4
|
18,341
|
1,324
|
7.2%
|
0.4
|
5
|
18,127
|
1,227
|
6.8%
|
0.0
|
6
|
17,976
|
1,213
|
6.7%
|
0.0
|
7
|
17,739
|
1,211
|
6.8%
|
0.0
|
8
|
17,569
|
1,178
|
6.7%
|
-0.1
|
9
|
17,181
|
1,132
|
6.6%
|
-0.2
|
10
|
16,292
|
1,075
|
6.6%
|
-0.2
|
11
|
15,585
|
974
|
6.2%
|
-0.5
|
12
|
14,459
|
894
|
6.2%
|
-0.6
|
13
|
12,993
|
755
|
5.8%
|
-1.0
|
14
|
11,364
|
715
|
6.3%
|
-0.5
|
15
|
9,656
|
563
|
5.8%
|
-1.0
|
16
|
7,142
|
427
|
6.0%
|
-0.8
|
17
|
1,489
|
98
|
6.6%
|
-0.2
|
18
|
1,143
|
69
|
6.0%
|
-0.7
|
253,056
|
17,159
|
6.8%
|
0.0
|
(馬主)
前走着順
|
出走件数
|
勝利件数
|
勝率
|
平均比
|
1
|
13,642
|
1,065
|
7.8%
|
0.4
|
2
|
13,131
|
968
|
7.4%
|
0.0
|
3
|
13,157
|
954
|
7.3%
|
-0.2
|
4
|
12,449
|
919
|
7.4%
|
0.0
|
5
|
12,557
|
937
|
7.5%
|
0.1
|
6
|
12,215
|
958
|
7.8%
|
0.4
|
7
|
11,973
|
891
|
7.4%
|
0.0
|
8
|
11,601
|
852
|
7.3%
|
-0.1
|
9
|
11,223
|
848
|
7.6%
|
0.2
|
10
|
10,761
|
767
|
7.1%
|
-0.3
|
11
|
10,183
|
756
|
7.4%
|
0.0
|
12
|
9,298
|
662
|
7.1%
|
-0.3
|
13
|
8,375
|
596
|
7.1%
|
-0.3
|
14
|
7,200
|
540
|
7.5%
|
0.1
|
15
|
6,203
|
425
|
6.9%
|
-0.6
|
16
|
4,314
|
308
|
7.1%
|
-0.3
|
17
|
987
|
81
|
8.2%
|
0.8
|
18
|
745
|
57
|
7.7%
|
0.2
|
170,014
|
12,584
|
7.4%
|
馬主に至っては、まったく関係がないとさえ思える結果だった。
勝率差の広がり具合が、馬主<調教師<騎手となっているのは、レースに直接かかわっている度合いの影響だろう。
やはり、成績の良い騎手・調教師は、次のレースでも良いパフォーマンスであるということがわかる結果であった。
表のとおり、前走で2着であっても、大局的には次のレースに影響がない。
はっきり言えば、勝ちを逃してしまった後でも、淡々と次のレースをこなしているのだ。
考えてみれば、すぐに次のレースがあるので凹んでいる暇はないはずである。
では、最も悔しいのは誰なのか。
これは案外、馬券購入者かもしれない。
なかなか面白い投票行動もありそうだが、今夜はここまでとする。
(SiriusA+B)