▼エニグマを破った実話
前夜に膨大な組み合わせになる場合、その他にまとめる、端折る、という方法に触れた。
組み合わせ数そのものを減らす試みである。
今夜お話しするのは、それでも組み合わせ数が減らないときに、計算数を減らす可能性である。
映画にもなったし、サイモン・シン(S・シン)が著したノンフィクション「フェルマーの最終定理」あるいは「暗号解読」にも登場するが、エニグマとは、第2次世界大戦で最強と言われたドイツの暗号機である。
イギリスがエニグマの暗号を解読できていたことをドイツは敗戦まで知らず、解読に寄与した数学者アラン・チューリングは1970年代まで功績を秘匿された。
ご存知と思うが、アラン・チューリングは、コンピュータの父である。
このエニグマ暗号の膨大な組み合わせを力業で片っ端からテストするには時間が足りない。
そこで様々なヒントを探して、いわば「あたり」を付けたのである。
1番めの組み合わせから順にテストするほうが堅実だが、このあたりに正解があるかもしれないとテストの順番を変えるのである。
的はずれな推測で処理時間がかかることもあるけれど、センスが良ければ平均的に短時間で正解にたどり着けるのだ。
謎の言語を解読するとして、王の名や地名、いつも末尾に出てくる文字など、ヒントは意外にある(線文字Bやヒエログリフの解読など)。
これをクリブというが、センスとはこうした手掛かりを見つけることである。
競馬予想でも、例えば3連単を全通り予想するより、まず3着以内に入線しないだろう3、4頭の絡む組み合わせを外せば、テストするべき組み合わせ数は半減する。
これは出走頭数別に3連単の組み合わせを数え上げてグラフにでもすればよく分かる。
▼宝くじとの大きな違い
ところで、馬を見ないで予想する人の中には、馬券を宝くじと同じように考える人もいるようだ。
わたしも馬を見ないで予想するほうだが、宝くじは、すべての組み合わせが均等な当選確率である点で大きく異なる。
優勝する確率は、出走馬ごとに異なる(ちなみにオッズの逆数をいうのではない。もちろん正確に知っている人もいない)。
ただし、出走するからには勝つ見込みがゼロということもない(限りなくゼロに近くてもゼロではない)。
したがって、「あたりをつける」考え方は効率的であると思われる。
勝つ可能性が極めて低い確率の馬を予想から外すのは、予想作業の効率を上げたり、有力馬に思考を集中することに繋がる。
宝くじの的中確率はすべて均等であり、目星をつける方法とは無縁だ。
このブログでしばしば触れているように、宝くじの当選数字から次の当選数字を予測することはできない。
独立事象だからで、その点では競馬も同じである。
前の競走と次の競走はまったく関係がない。
(SiriusA+B)