2019年2月3日日曜日

第228夜 オッズを見て買うか、見ないで買うか

▼オッズを見て買う人の影響を考察
オッズは投票者の期待値であり、馬の信頼度ではない。
だが、競馬に限れば期待値と信頼度は近似値のようで、単勝オッズの逆数と実際の勝率はほぼ等しい。
だから信頼度と仮定してオッズをもとに馬券を購入する人がいるのだけれど、では「オッズを見て、影響されて購入する人がどの程度いるのか」について言及した資料はというと皆無に等しい。
投票者それぞれの心理までは分かりようがない、と言えばそれまでだが、公開されているデータで「純粋なオッズ(他人の投票行動を除いた期待値)」と「オッズを見て投票されたオッズ(他人の投票行動に基づいて追加された期待値)」にどれだけの差異が生じるのか、わたしは知りたいと考えていたのである。
わたしは「1番人気馬は、人気が人気を呼んで能力以上の評価を集めているのではないか」という仮定をしていた。
実際は「そんなことはなさそう」であった。

長い間、あれこれ調べてみたところ、あくまでわたしの推定だが、「オッズを見て購入する人の割合まではわからないが、相当数いて、結果としてオッズに影響は少ない」という結論を導き出したのである。
どういうことかというと、オッズを見て購入する人は多く、結果的にオッズの比率通りに分散して購入していると思われるということだ。
仮に「純粋なオッズ」でA馬が15%B馬が5%の支持率だとすると、オッズを見て購入する人はやはりそれぞれ15%5%の割合で買っているということである。
オッズは期待値であり、各馬の信頼度を示しているわけではないと冒頭で述べたが、オッズの逆数と勝率が近似値に収まっている以上、そのように思料されるのである。

データは2006-2014年の単勝オッズを用いて、この期間の中央競馬平地競走29,902レースで調べた。
期待率は、単勝オッズの逆数に4/5を乗じた簡便法で算出したものである。
厳密な計算方法ではないので、0.5%程度の誤差を生じるが、12番人気馬ではその誤差が大きい。
これは「オッズを見て買う人が、人気馬を回避する投票行動をしているのではないか」と言いたくなるけれど、おそらく付加金など簡便法との計算方法の違いによるものである可能性が高いと思っている。
人気 頭数 平均オッズ オッズ逆数による平均支持率 勝馬頭数 勝馬平均オッズ オッズ逆数による勝馬平均支持率 実際の勝率
1 29,826 2.7 33.2% 9,578 2.4 36.9% 32.1%
2 29,829 4.5 18.8% 5,646 4.2 20.1% 18.9%
3 29,827 6.6 13.1% 3,987 6.1 13.9% 13.4%
4 29,819 9.4 9.3% 2,823 8.6 10.0% 9.5%
5 29,801 13.1 6.9% 2,146 11.5 7.6% 7.2%
6 29,803 18.0 5.1% 1,671 15.3 5.8% 5.6%
7 29,755 25.2 3.8% 1,205 20.2 4.5% 4.0%
8 29,557 35.3 2.9% 882 27.1 3.5% 3.0%
9 29,162 49.2 2.2% 640 33.8 2.8% 2.2%
10 28,343 67.2 1.6% 443 45.5 2.2% 1.6%
11 27,161 90.0 1.2% 351 55.2 1.8% 1.3%
12 25,513 117.5 1.0% 218 70.7 1.4% 0.9%
13 23,212 148.3 0.7% 159 94.8 1.1% 0.7%
14 20,659 185.5 0.6% 87 117.8 0.9% 0.4%
15 18,044 232.7 0.5% 55 144.9 0.8% 0.3%
16 13,899 291.3 0.4% 31 183.8 0.6% 0.2%
17 3,358 270.5 0.4% 7 156.6 0.6% 0.2%
18 2,710 340.5 0.3% 3 230.8 0.5% 0.1%

▼オッズを見て買うべきかは収支の区切り方による
ところで、わたしはこのブログで、オッズを見て買う行為は収支がプラスになる可能性は低いと申し上げてきた。
実際にわたしはオッズを見ずに、朝まとめ買いしている。
だが、世間ではオッズを見ないで買う人はおかしいとか、或いはオッズを見て買うなんておかしいとか、どちらが「正しい」のか結論が出ていないようである。
それぞれ噛み合っていない議論になっているが、わたしなりに整理してみると、以下のような推理ができる。
・オッズを見ないで買う人は1点買いが多いようだ。トリガミがなく、オッズを見る必要がないからである。
・オッズを見て買う人は、複数の購入をしているようだ。

どうやら「見る派」は、レース単位での収支を重視しているように思え、トリガミを心配している。
わたしたちは1日単位の収支を気にするが、「見る派」はレース単位での収支の呪縛が大きい。
レースで的中する期待が大きすぎ、不的中のレースの考慮が小さいのである。
だからトリガミを気にするのだが、1日単位であれば、少しでも回収できたと喜べると思うのだが。
例えば、わたしが1,000円で1日のレースから10点分の単勝を購入したとしよう。
4点当たればだいたい黒字だ。

1レース目が当たった。

単勝1.8倍だった。
これをトリガミとするのか。
わたしは「残りの9レースで計8.2倍当たれば収支トントン以上になる」と思う。
だからわたしの中ではトリガミは存在しない。

では、オッズを見ることがダメなのかというと、ちょっと例外がある。
レース単位の収支を気にする条件はレースの勝率が90%程度以上あるような購入戦略の場合である。
つまり「全部買い」に近い買い方だ。
ほぼすべてのレースで的中させるのなら、不的中レースを考慮しなくてよいので、各レースで赤字収支を回避する考慮だけでよい。
このときはオッズをにらみながら段差買いする必要もあるだろう。

ちなみに「全部買い」戦略でもトリガミも覚悟する必要がある。
如何に赤字を抑制するかが戦略の鍵になってくるのだが、これについてはいずれ記す機会を考えたい。
(SiriusA+B)

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