▼買い方は資金量と的中頻度の選択問題
仕事でもプライベートでも、わたしは「正しい」とか「こうあるべきだ」という話は聞き流すようにしている。
縛られた考え方は成長を阻害する気がするのだ。
「べき論」は発信者が他人の考えを縛ろうとするものだし、「正しい」というのも暗に他者の同調を求める脅迫めいたことばに感じる。
どうも、尺度や判断で恣意的な断定のように思うのである。
どうでもいいことなのだが、1点買いを「正しい」とするものを見かけて、ちょっとそういう話が頭をよぎった。
正しいのではなく「死に票」が少ないので効率がいいだけでは?
そう思わずにはいられないわたしである。
さて、わたしはいつも単勝を例に挙げているが、1点買いすべきとは申し上げていない。
どの馬券でも、何点買おうとその人が決めれば良いと思う。
どの券種でもいいが、例えば馬連なら、3点買いや4点買い、或いは6点買いするスタイルをよく聞く。
1点買いが正しくて崇高で、それ以外は邪道なのかというとそんなことはないだろう。
何点買うかは資金量を頭に入れた上で、的中頻度の選択で決めればいいのだ。
資金量が少ないとは、何点も買う余裕がないことをいう。
人によるが、100円とするか千円か1万円か、とにかく自身で最小単位とする金額の何倍かしか軍資金がないことを指す。
土日で10万円を捨ててもいいという人なら資金量は潤沢にあると言っていいだろう。
1レースで何点も買う余裕がないなら1点買い一択であるが、そうでなければ次に的中頻度で買い方は決まってくる。
的中頻度とは、ここではレース的中率をいう。
3点買いでも的中すればレース的中率を100%とする尺度だ。
馬連全盛の時代には、馬連3点から6点買いすればレース的中率は4分の1から3分の1くらいが平均的ではなかったかと思う(統計を取ったわけではなく個人的に周囲を見回した印象だが)。
単勝1点買いでもだいたいこれと同じくらいだと思うが、そうなると平均的には3回乃至4回に1回的中するということだ。
3点買いでこの的中頻度なら、平均して9倍乃至12倍のオッズで収支のバランスを取れる。
馬連1点買いなら、平均的な予想者であれば12レースで1レースかせいぜい2レースで的中させられるだろう。
当然「死に票」はないので当たればそれまでの不的中分を取り戻しやすいように思えるが、6倍乃至12倍のオッズでないと収支のバランスを取ることができない。
結局、予想技術力が同じでなら、何点買いでも結果に大差はない。
したがって何点買うかは「ハズレ→ハズレ→ハズレ→的中」のどの波に合わせるかで決まる。
購入点数が少ないほどゆっくりした波に乗ることになり、波のサイクルは長くなる。
点数を増やせば高確率で的中させていかなければならない。
ただ波のサイクルは速く、ビッグウェーブを捉える機会は多くなる。
的中するまで少しずつ軍資金は減っていく。
運がなく想定以上に不的中が続いたときの対処の仕方を含め、的中までいかに耐えるか。
的中時に如何に軍資金を回復し、かつ黒字になるか。
買い方とはそのサイクルのどれを選ぶか、なのである。
▼トリガミ
トリガミ問題にも触れておきたい。
1点100円で3点買いし、運良く1点が的中したものの、配当は260円だったとする。
トリガミである。
これを良しとしない考え方があるけれど、果たしてそうなのか。
(1)3点買い、260円の配当を的中→260-300で収支は-40円。もし外れていたとしたら-300円になるところだった。
(2)安い配当を避けて2点買い→配当はゼロで-200円。
(3)当たった場合の収支黒字を確定させるため、安いオッズを200円、他を100円で買って260円の配当を的中→260*2-400で収支は+120円。もし外れていたとしたら-400円になるところだった。
わたしはレース単体での収支計算を推奨しないが、仮にレース単体で損得をみたとき、最もリスクが大きいのは(3)である。
もし仮に260円の馬券ではなく800円の馬券が当たったとしても(1)で+500円、(2)で+600円、(3)では+400円だ。
リターンでも(3)は最も利幅が少ないのである。
効率的なのは(2)だけれど、前節で触れたとおり、軍資金の枯渇には注意しなければならない。
なお、財布に7,000円あって300円乃至400円の馬券を買って260円を当てたとき、残高は(1)6,960円、(2)6,800円、(3)7,120円である。
トリガミでも買うと(1)であり、買わないと(2)である。
レース単体でなく、1日単位の収支や残高を考慮すると、トリガミとはなんだろうと思う次第である。
買っても赤字だから無駄、というのは本当か、もう一度考え直してほしいと思う。
時間が尽きたので、舌足らずなままで申し訳ないが、あとはご自身で試算して軍資金の残量を見比べていただければ。
(SiriusA+B)