2021年3月14日日曜日

第321夜 ラプラスの悪魔、オッカムの剃刀

ラプラスの悪魔
ラプラスの悪魔、またはラプラスの魔というのは、「ある時点において作用しているすべての力学的・物理的な状態を完全に把握し解析できるならば未来を知ることができる」という考えだ。

魔とか悪魔と呼ぶが、もともと「霊」で、神ということばを避けたものでこれが転じたという(詳しくは知らないので興味のある人にはご自身で確認いただきたい)
物理学のことばだそうで、これを一般にも拡張して使用することがある。
要するに全知全能の神であれば未来を知ることができるが、人間にはそれが不可能だから未来を予測しえない、とわたしは解釈している。
すべての情報を入手したり、瞬時に解析したりできないわたしたちには、いくつかの未来の可能性を提示することで精一杯である。
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頭フルゲートで、同着はないものとして、すべての順位の組合せを考えると(順列)1位から3位までの4,896通り(3連単)からは想像もできない6,402兆もの組合せがある(計算間違いでなければ)
あくまで同着はないものとして、さらに厳密にいえばすべてが完走するものとして、この有限個のどれかに未来はあるのだが、人間には未来を当て得るものではないということである。

オッカムの剃刀(かみそり)
例えば、オイラーの等式 π^(ie)=-1 は数学で最も美しい定理のひとつとされる。
自然科学の法則を考えるとき、シンプルな理論ほど「美しい」という。
「オッカムの剃刀」というのは幅広い意味で使われることが多いことばだが、あることを説明するために必要以上の仮定を置くべきではない、というものである。
転じて、ふたつの説明があるとき、シンプルな方が正しいことが多い、という。
ただし、「正しい可能性が高い」だけで正しいかどうか判定するものではないし、シンプルにするために切り捨てたものが不要というわけではない点には注意されたい。

集合知
競馬予想は複雑系の世界であるとわたしは考えている。
ここの要素の分析が意味をなさない可能性がある世界である。
それゆえ、わたしたちが独自に予想理論を構築しようとするとき、非常に多くの要素をブレンドして過適合・過学習を引き起こしたり、仮定を置きすぎて全体を見誤ったりすることがある。
時折、仮定を置きすぎていないかを点検する機会を持つといい。
シンプルというのは、ファクターの数だけではなくて仮定の数である。
指数を例に挙げれば、補正指数の種類や数が多いものには注意した方がいいように思う。

現時点では、自分自身だけではなく、世界中の誰もが簡単に集合知(オッズ。ただし、オッズの動きを見て判断するなどの影響がないもので、実際にはオッズにバイアスがかかっている)を超えることはできないと考えてよい。
そういう理論を喧伝するものがあるようなら、試行回数が少なすぎるか、詐欺である。
(SiriusA+B)

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