2021年5月2日日曜日

第327夜 競走成績[2.1.0.7]と[2.0.3.5]の優劣でお悩みの方へ(?)


単位を揃える
Aの競走成績は[2.1.0.7]で、馬B[2.0.3.5]であるが、この2頭はどちらが優秀な成績か。
これは難問である。
両者10戦ずつでいずれも2勝だから、勝率は2割で同じだ。
連対率は馬A3割で馬Bより勝る。
複勝率なら馬B5割で馬Aを凌駕する。
仮に、1頭に絞らねばならないとき、
「ああ、どっちが強いんだ」
と、日本中で呟かれたものと思われる。

わたしはどちらが強いかは分からないけれど、比較する方法は持っている。
1
着、2着、3着と、異なる指標を集計するから混乱するのだ。
したがって、単位を揃えればよい。
例えば着順をポイントに変換するのだ。
1
着順を1002着を403着を25、着外をゼロポイントとする(より詳しく分析するなら415ポイント、510ポイント)
A240ポイント、10走で1走平均24ポイント。
B275ポイント、10走で1走平均27.5ポイントである。
わたしなら以上のように変換して比較し、馬Bに軍配を上げるだろう。
もちろん、両馬がそのほかのファクターでも拮抗しているという前提下である。
ちなみにポイント付与は本賞金の比率をもとにした。
わたしが試してみたところでは比較的フィットしていると思うが、「3着の価値はもっと低い」など私見をお持ちの方は、ぜひ改良してほしい。

マトリックス
前項の例は着順という似た情報を変換したのですんなり決まったが、「Cは脚が速いが、Dは重馬場に向いている」というような場合にはどうすればいいのか。
わたしならこういうものも、例えば賞金などに変換してしまうが、違和感のある人もいるだろう。
こうした場合、マトリックスを作ってグループ分けするのもひとつの解決方法だ。

 

速い

遅い

重馬場が得意

E

D

重馬場不得意

C

F

4グループで、それぞれ勝率やポイント、賞金を集計すれば、CDの優劣を診断できるようになる。
脚質を重視した展開予想や血統と競走条件の相性を重視する人には向いているだろうと思う。
或いは系統の異なる複数の予想を組み立てる人にも役立つかもしれない。

マトリックスも最終的には単位を揃える
マトリックスを用意してグループ分けしても、最終的にはひとつの数値に置き換えることが望ましいのだが、実際にどうすればいいのか。
長くなるが、第324夜から第326夜にかけて綴った方式と少し異なる手法をご紹介したい。
バラバラに算出して足し算するのが前回までの話だった。
今夜は一括して計算する。
一括した場合、バリエーションが多くならないように注意されたい。
ここでも(予想)勝率を使用する。
ここに、3種類の独立した予想法を持っている人がいるとする。
1の予想法は、前走人気と着順を組み合わせたもの
2の予想法は、各馬の平均賞金を順位付けしたもの
3の予想法は、前走で見所のあった馬をチェックしたもの
としよう。
1の予想法である前走人気と着順の組み合わせは、第324夜から第326夜に詳しいため、ここでは頭数なども考慮しない、簡略化したものにする。
前走6番人気以下、6着以下をひとまとめにした。
下表にまとめておいたが、例えば前走1番人気で2着だった馬の勝率は過去の集計から「0.297462」である。
2の予想法は、各馬の中央競馬平地競走で前走までに獲得した賞金を完走回数で割ったものが出走馬中何位なのかで勝率を出したものだ。
ここでは割愛するが、平均獲得賞金順位でも1位の馬は勝率20%を超える。
これも6位以下はひとまとめにした。
3の予想法は、本来アナログで見所があったかどうかをチェックすることを想定しているが、ここでは再現性を優先して「前走で上がり3ハロンが出走馬中3位以内」と機械的に選出した。
こちらは見所が有ったか無かったかの2種類である。
さて、この3つの組合せは、第16区分×26区分×32区分で計72通りである。
過去のレースから、この72通りそれぞれに該当した出走馬数と勝利馬数を集計し勝率を算出したのが、下表である。
「第1予想法で1位かつ第2予想法で1位かつ第3予想法で見所ありだった馬」は、過去の競走で勝率0.313575だった。
この0.313575という数字(勝率)が、最終的に単一の数字に置き換えた「能力値(予想勝率)」である。
すなわち、「第1予想法で1位かつ第2予想法で1位かつ第3予想法で見所ありだった馬」はと同じタイプは31%の確率で勝つだろうということである。
40
万件を大きく超えるデータからはじき出したものだから、各馬の「過去5走」で予想するよりもブレが少ないという点ではるかに信用度が高い。
個々の馬について「鉛筆を舐める」ことはあってもいいが、この方法では、すべての馬は機械的に72通りの数値のいずれかしか持たない。
本質的には「馬のタイプ別」であり「馬の名前」つまり個々の馬の能力推定は要らないのだ。

前走完走した馬はこの72通りのいずれかに該当するので、馬柱の前走を見て当てはめていけばよい。
いつものデータベース(2006-2018年中央競馬平地競走)から計算したで古いが、大きく変動するものでもないので現在でもソコソコ使えるものと思う。
6
着・6番人気・6位以下は簡略化したこの予想法でも、単勝ならば23乃至24%程度の勝率を得られるだろう(長期的には)

やる気がありさえすれば誰でも再現可能である。
317夜で示した「古馬の現在価値」の考えを組み合わせれば、さらに良好な結果を得ることができる(1%程度の改善だと思うが)だろう。
(SiriusA+B)

前走着順及び人気 勝率
前走1着1人気 14.11%
前走1着2人気 10.57%
前走1着3人気 9.40%
前走1着4人気 8.26%
前走1着5人気 7.13%
前走1着6人気以下 5.15%
前走2着1人気 29.75%
前走2着2人気 23.97%
前走2着3人気 21.91%
前走2着4人気 18.47%
前走2着5人気 16.67%
前走2着6人気以下 13.27%
前走3着1人気 23.26%
前走3着2人気 18.97%
前走3着3人気 16.12%
前走3着4人気 14.53%
前走3着5人気 12.22%
前走3着6人気以下 8.97%
前走4着1人気 18.34%
前走4着2人気 14.65%
前走4着3人気 13.68%
前走4着4人気 11.82%
前走4着5人気 10.56%
前走4着6人気以下 7.45%
前走5着1人気 15.11%
前走5着2人気 13.36%
前走5着3人気 10.67%
前走5着4人気 9.39%
前走5着5人気 8.29%
前走5着6人気以下 5.13%
前走6着以下1人気 13.41%
前走6着以下2人気 10.08%
前走6着以下3人気 7.90%
前走6着以下4人気 6.66%
前走6着以下5人気 5.78%
前走6着以下6人気以下 2.42%

前走着順・人気別勝率順 平均獲得賞金順 前走見所 勝率
1 1 有り 31.4%
1 1 無し 26.4%
1 2 有り 22.2%
1 2 無し 18.9%
1 3 有り 18.6%
1 3 無し 16.4%
1 4 有り 15.5%
1 4 無し 14.5%
1 5 有り 11.8%
1 5 無し 12.7%
1 6位以下 有り 9.4%
1 6位以下 無し 7.3%
2 1 有り 27.0%
2 1 無し 21.8%
2 2 有り 19.6%
2 2 無し 17.8%
2 3 有り 15.7%
2 3 無し 13.7%
2 4 有り 11.4%
2 4 無し 11.0%
2 5 有り 10.9%
2 5 無し 9.2%
2 6位以下 有り 9.0%
2 6位以下 無し 7.0%
3 1 有り 23.1%
3 1 無し 20.1%
3 2 有り 16.4%
3 2 無し 14.6%
3 3 有り 13.6%
3 3 無し 12.3%
3 4 有り 11.2%
3 4 無し 9.3%
3 5 有り 9.7%
3 5 無し 8.3%
3 6位以下 有り 7.9%
3 6位以下 無し 5.9%
4 1 有り 20.9%
4 1 無し 16.3%
4 2 有り 14.4%
4 2 無し 13.4%
4 3 有り 11.9%
4 3 無し 10.7%
4 4 有り 10.3%
4 4 無し 8.8%
4 5 有り 9.6%
4 5 無し 7.2%
4 6位以下 有り 6.6%
4 6位以下 無し 5.3%
5 1 有り 19.6%
5 1 無し 16.6%
5 2 有り 12.6%
5 2 無し 12.5%
5 3 有り 11.3%
5 3 無し 11.2%
5 4 有り 11.3%
5 4 無し 8.1%
5 5 有り 9.0%
5 5 無し 6.2%
5 6位以下 有り 6.5%
5 6位以下 無し 4.6%
6位以下 1 有り 16.0%
6位以下 1 無し 14.2%
6位以下 2 有り 10.8%
6位以下 2 無し 9.1%
6位以下 3 有り 9.7%
6位以下 3 無し 7.1%
6位以下 4 有り 6.9%
6位以下 4 無し 4.7%
6位以下 5 有り 5.3%
6位以下 5 無し 3.6%
6位以下 6位以下 有り 3.7%
6位以下 6位以下 無し 2.2%

ブログ アーカイブ