▼数字を鵜呑みにする層は一定数存在する
この節は余談である。
2020年から始まった新型コロナウイルス感染症対策は、わたしたちに数字や情報の取り扱いを学ばせることになった。
母集団(人口や検査者数)の無い新規感染者数の増減では情報が不足していると指摘する人は少なくなかった。
一方で、数字をそのまま鵜呑みにする人の存在も一定数いることが明らかになった。
数字に意味を持たせるには、どういう計算で算出されたものか、また、全体・何かしらの基準に比べて大きいのか小さいのか、といった思考工程が要る。
都道府県別新規感染者数を見るとき、例えば鳥取県の人口は55万人で1,400万人の東京都と同列に扱うことに違和感を覚える人は多いように思う。
沖縄県は145万人であるから東京都のざっと10分の1の母集団である(数字は大凡のもの)。
検査人数も調べればある程度把握できるし、陽性判定率を同時に見る人もいる。
競馬予想と関係ないが、馬券投票者という集団は社会の縮図であるし、数字の捉え方は仕事でも競馬予想でも同じである。
余談ついでにあとふたつ。
国語も勉強になる。
日本語には主語を省略する語法が多い。
だから主語を補う思考があると良い。
例えば「緊急事態宣言」は何が緊急事態か考えると理解しやすい。
決定的な治療法が無いこの感染症患者で、ボトルネックとなっているのは病床数である。
正しいかどうかは別として「病床数が緊急事態」と考えれば見えてくるものもあると思う。
また、統計的な分析手法だなぁと思うのだが(つまり医学や免疫学的アプローチと違って)、例えば今回の感染症は飛沫をある程度防げば感染予防に繋がることも、社会全体に浸透した。
統計学は直接メカニズムを知らなくても因果関係を推定できる道具だ。
完全に理解できなくとも、興味ある人は統計学の考え方を入門書でも何でもいいから紐解くことをお勧めする。
▼バイオリズム
今更本題である。
数字で書いてあれば何でも正しいわけではないが、バイオリズムもそうしたもののひとつかもしれない。
身体、感情、知性が好調と不調の間を循環するという理論で、3本の曲線を波打つように描いたグラフはご存知の方も多いと思う。
科学的に証明されているものではないので、似非(えせ)科学とされることも多いようだ。
競馬予想に使われる血統理論やナントカ指数群も遺伝学や統計学に眼をつぶる似非科学とも言え、バイオリズムだけを似非科学と断罪するほどでもなかろうが、風当たりは強いような印象だ。
占いに似ているからだろうか。
数字で表わすので信憑性を持つところが占いとの違いだ。
わたしはこれを信じているのかというと、まあ鵜呑みにはしないのだけれど、心身の波というのは景気循環と同じように大小複数あるとは考えている。
野球のイチロー選手、将棋の羽生善治棋士、武豊騎手は、この世代の日本人で最も傑出した3人だが、長期にわたる活躍の中にあってやはり好不調はある。
人間に好不調があるとしたら馬にもあるだろうか。
精度は低いがわたしには自分なりのバイオリズム理論を持っている。
統計学的な考え方だが、因果関係や法則は分からないけれど、「どうやら一定のリズムがあるらしい」ことは統計を取ってみて分かってきた。
マニアックとはいえ簡単に真似できることもあり公表できないが、当てはまる馬は結構いる。
理由の説明できない激走や凡走があれば、その馬をよく調べてほしい。
気温、湿度、季節などがその遠因であることも充分考えられる。
前段の割に本文が少なくて申し訳ないが今夜はこれで終わりである。
(SiriusA+B)