2022年7月3日日曜日

第374夜 馬の区分はもっと活用されていい


サラ系が「絶滅」
競馬に関する2021年のトピックとして、「サラ系」国内産駒がゼロになった、ということがどれほど注目されているかは知らない。
この10年ほどひと桁になり、ゼロに近づいていたのだが、とうとうゼロになった。
アングロアラブなどのアラ系統も3頭である。
サラブレッドは、「純血」だからではなく、血統書に記載されているからサラブレッドなのだが、8代続けてサラブレッドと交配し、国際血統書委員会がサラブレッドと同等の能力を有すると認められればサラブレッドになる道がある。
国内のアラ系統が途絶えそうな状況だから、今後、サラ系が出現することはほとんど期待できそうになく、これから数年で産駒が登場しなければ絶滅ということになる。

このブログの読者にとっては常識という方が多いかもしれないが、中央競馬ではサラブレッドだけが走れるのではない。
「サラ系31勝クラス」と場内アナウンスがある。
JRA
は「サラ系統」を「サラ系」と呼ぶことが多いように思う。
このサラ系統には、サラブレッドとサラ系の2種類がある(昔は「準サラ」というのもあったが、この歴史は周囲にいる血統好きの方に教えを乞うてもらいたい)
サラ系は、ジェネラルスタッドブックに一部の先祖が血統書紛失などで記載されていない、人間の不慮の事故による不幸な馬と、アラ系統からサラブレッドと交配してアラブ血量25%未満になった馬がいる。
ワカタカ(1回東京優駿大競走勝馬)、ヒカルイマイ(皐月賞、東京優駿)、近年ではハートランドヒリュ(JRAサラ系最多出走馬)などがいる。
血統不明が原因のサラ系なら、競馬予想においては特に気にしなくてもよかったのだが、そうでなければ力が違うと馬券検討にも利用できた。
サラ系については今後も気にする必要がないことがほぼ確定したが、サラブレッドだけになったとしても、区分についてはもう少し馬券検討に活かしてもよいのではないかとわたしは考えている。

血統ではない競走馬の分類
競走馬を分類しようとすると、ほとんどの場合、血統に拠ろうとするように思う。
だが、サラブレッドも様々な出自があり、全体としてはその力量差がある。
限定競走がある(あった)ということは、平均したとき、力量差があると判断されている証左である。

最も明快なものには性別がある。
今でも牝馬限定競走がある。
斤量差だけでは補いきれない差があるということだ。

また、どのような馬かを示すものに、以前あったものを含めると、マル父(父内国産馬)、マル市(市場取引馬)、マル抽(抽選(抽籤))、マル外(外国産馬)、マル地(JRA登録前に地方競馬で出走経験のある馬)、カク地(地方競馬所属馬)、カク外(外国厩舎所属馬)などといった区分があり、出馬表に表記されていた。
父内国産馬限定競走、市場取引馬限定競走というようなものもかつてはあった。
ディープインパクトやウオツカなどもこのカテゴリーの馬であった。
力量差が不明確になって、表記されていないものもあるが、こうした経済活動上の区分は未だに一定の傾向がある。
大昔ほどの差はないにせよ、マル外は最たるものである。

産地については繁殖牝馬や生産者と相関関係が高いので血統や生産者として考慮してもよいが、北海道各地区産以外にも調べてみると役立つかもしれない。
現在も、九州産馬限定競走というのは存在する。

馬券検討に取り入れてもいい区分
そのほかに、東西格差もある。
すでに有力馬が西へと流れていることもあるが、東西交流に歯止めをかけているものがあるということは、力量差があるということを示している。

また、世間では分類されていないが、母の区分として、母馬が外国産馬かどうかも産駒成績と相関性がある。
外国産馬が優秀というのではなく、輸入するというフィルタを通して選抜されているからである。
2
3歳馬限定競走では特に役立つのではないかと思う。

主催者は、競走馬をできるだけ均質化するよう腐心している。
これは斤量による調整だけではないのだ。
競走馬は均質ではない。
わたしたち予想者はこれを馬券検討に活かさなければ勿体ない。
(SiriusA+B)

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