▼支持率に応じて
とても面倒臭くて適当なことを言ってきたけれど、単勝の回収率は80%にならない理由に触れておきたい。
全レースの単勝を全部買いするとしよう。
16頭立てなら16個、全部の単勝を百円ずつ買う。
そうすると、回収率は80%に遠く、75%くらいになる。
この理由である。
均等買いがそうならない理由で、オッズ比で段差買いすれば、ほぼ80%、79.8%くらいになるのだ。
段差買いの比率は、いつもの支持率と同じ、オッズの逆数を使う。
すなわち、1/オッズ×4/5である。
オッズ2.0倍なら、1/2.0*4/5で、0.4、40%分を買うのである。
このレースの予算が1万円なら、そのうち4,000円分を買う。
すべての出走馬でこの計算をして、段差買いすれば、回収率は約80%になる。
面倒臭いというのは、わたしに説明能力がないためで、つまり数字への理解が足りないためで、今回もやはり拙くなってしまった。
いずれにせよ、複数の馬券を支持率に応じて買うと、(1-控除率)%の回収率になる。
もしも貴方が、回収率が(1-控除率)を下回って「(単勝で言えば)80%にならない」と悩んでいるようなら、この段差買いが理由のひとつであるかもしれない。
ただし、「単勝複数点買いを均等に買うと回収率は75%前後になるから、段差買いがお得だ」とは早合点しないでほしい。
支持率に応じた段差買いは、回収率80%にはなるが、それ以上は望めない、ある意味絶望的な買い方だ。
しかも、確定オッズを使った実績値で、現実には厳密に再現することはできない机上の計算である。
ご自身で実験いただければと思うが、オッズがどれほど精密で、頑丈で、聳え立つ(そびえたつ)壁か、再認識できる。
配分比率を操作して黒字を目指す、回収率0.8を大きく超える、というのは無理である、少なくともわたしのアタマでは。
▼人気順と組み合わせ
それでも、なんとか一矢報いたいというのが人情である。
そこで、人気順と組み合わせてみた。
同じ「22.4」倍でも、5番人気なのか、11番人気なのかで、勝率に違いが出るのではないだろうか、と考えたのである。
同着を除けば、1着の定員は1頭、3着までの定員は3頭である。
何頭が(オッズ上での)実力上位なのかは、大いに関係があるとみた。
結果は無残であった。
表を掲載するつもりだったのだが、ほぼ意味のないレベルだったので見送ることにした。
何番人気だろうが、オッズが同じであれば、ほぼ支持率どおりで変わらないのである。
僅かに、人気薄になるに従って勝率や複勝率が低下するような気配はあるが、明確にそうだと決めるほどの傾向は無かった。
前項は、理論上、回収率が0.8にならない理由、この項は、人気順と組み合わせても(すなわちオッズをいろいろいじっても)支持率を超える回収率の実現は難しいことを述べた。
山に例えれば「オッズルート」での登頂は難しく、八合目までであるかもしれない。
オッズの魅力は、回収率が必ず0.8(単勝以外は券種による)となることだ。
魅力というか、魔の力、魔力かもしれない。
予想者の誰よりも正確な予想で、前項のとおり段差買いすれば、回収率も保証されている。
オッズから離れなければならないのに、引き寄せられてしまうものなのだ。
成層圏から脱出しようとするようなものだ、と以前例えたけれど、多くの人は、むしろ、オッズに頼ろうとさえするように思う。
単勝で言えば、恒常的には、回収率が0.8を下回り、的中率は0.33を下回る、これがほとんどの予想者の姿なのだ、頼ろうとするのが自然である。
だからこそ、敢えて申し上げたい。
貴方の回収率が、単勝に特化する手法で0.8を下回っても(0.75近辺)、ほぼ平均的な予想者である、と。
(SiriusA+B)