2024年2月11日日曜日

第453夜 ドゥー・ユー・ノー・アメリカ?


▼「外国」という国はなく
かつてほどではないけれど、「外国産馬」は「マル外」と通称され、内国産馬に比べて強い。
選別されて日本にやって来ているのだから、玉石混交の地元日本産馬の平均よりも高いパフォーマンスになる。
外国の馬産が優秀だから成績が良いという単純な話ではない。
サラブレッドに限れば、日本の生産頭数は世界でも5本の指に入る(だいたい5番目くらい)

数が多いということは、競争力があるという証左であり、優秀な馬も揃っているということでもある。
これに対抗し得る競走馬を入れてこなければならないのだから、当然、外国産馬は優秀になる。
勝てそうにない馬なら日本には来ない(血統に着目して繁殖目的が第一の馬もいるが)
したがって、いつまで経っても外国産馬が優秀なのだ。
経済原理から考えるとそうなる。

その外国産馬を連れてくる人たちは、「外国」という国から連れてくるわけではない。
日本は今でも閉じた世界なので、わたしたちは「日本と外国」に分けて考えがちだ。
しかし、ひと口に外国と言っても、国はさまざまあり、特徴も強弱もある。
図表453-1には、2011-2021年に中央競馬で出走した外国産馬の産地を示した。
マル外のほか、招待馬なども含む。
アメリカが圧倒的に多く、アイルランド、イギリス、オーストラリアと続く。
この期間に1,168頭が出走し、勝ち上がり率は50%を超える。
国内の産地で比較すると、北海道の安平町と双璧である。
安平町は、国内最大手ノーザンファームのところである。
アイルランド、イギリス、オーストラリアと出走頭数の多いところも3割から3分の1くらいは勝ち上がっているが、競走馬全体での勝ち上がり率は30%強であることを考えると、平均的な成績と考えることもできる。
すなわち、外国産馬の強さはアメリカ産馬に対する印象なのである。

興味のある方は、カリフォルニア地区なのか、その他の地区なのか、といったところまで調べてみると同じアメリカでも強さの濃淡があることに気が付くかもしれない。
日本でも「北海道とそれ以外」、北海道でも例えば襟裳や日高といった小分類もある。
「結局行きつくところは生産牧場でしょ」と思われるかもしれないが、地理的条件、気候条件などから地区全体の特徴というものもある。
こんなものが競馬予想の役に立つのか、という問いに対しては、わたしは役に立つと答える。
馬柱だけで、外国産馬は強いと言うよりも、どこの国の馬かまで知っていると取捨選択もできる。
この、ちょっとの差が長い間に大きな差になってくる。

▼種牡馬、母馬としては
外国産の種牡馬、母馬は、現役の競走に比べると、突出はしていないが、やはりアメリカ産が数も多く、成績も良いようである。
全馬を調べ切れていないので表にはしないが、外国産母馬の産駒成績は全体的に国内産母馬より良績だが、国によって多少凸凹はある。
(SiriusA+B)

(図表453-1)産地別成績

産地 勝利回数 出走回数 勝率 実頭数 勝上頭数 勝上率
外国計 1,676 15,881 10.6% 1,746 755 43.2%
0 2 0.0% 1 0 0.0%
154 1,716 9.0% 248 74 29.8%
0 8 0.0% 1 0 0.0%
83 966 8.6% 126 44 34.9%
12 135 8.9% 20 5 25.0%
73 673 10.8% 100 33 33.0%
5 107 4.7% 26 4 15.4%
4 49 8.2% 14 1 7.1%
21 298 7.0% 42 9 21.4%
1,324 11,927 11.1% 1,168 585 50.1%
道外計 262 6285 4.2% 945 163 17.2%
茨城県 1 84 1.2% 19 1 5.3%
岩手県 2 56 3.6% 4 1 25.0%
宮崎県 11 336 3.3% 71 5 7.0%
宮城県 6 235 2.6% 29 5 17.2%
熊本県 29 781 3.7% 138 21 15.2%
鹿児島県 40 1,167 3.4% 196 29 14.8%
秋田県 0 40 0.0% 9 0 0.0%
青森県 99 2,544 3.9% 348 60 17.2%
千葉県 5 53 9.4% 11 3 27.3%
大分県 4 37 10.8% 2 1 50.0%
栃木県 64 849 7.5% 98 36 36.7%
福島県 1 103 1.0% 20 1 5.0%
北海道計 34,709 499,707 6.9% 55,117 17,123 31.1%
えりも町 64 1,452 4.4% 164 35 21.3%
むかわ町 262 5,622 4.7% 656 155 23.6%
安平町 6,192 53,807 11.5% 5,248 2,669 50.9%
伊達市 9 200 4.5% 30 4 13.3%
浦河町 5,601 93,939 6.0% 10,528 2,853 27.1%
釧路市 0 10 0.0% 1 0 0.0%
厚真町 35 782 4.5% 85 17 20.0%
砂原町 0 5 0.0% 1 0 0.0%
三石町 28 780 3.6% 108 19 17.6%
小清水町 4 87 4.6% 7 2 28.6%
新ひだか町 6,565 108,691 6.0% 12,419 3,434 27.7%
新冠 2 123 1.6% 72 2 2.8%
新冠町 4,853 78,736 6.2% 8,686 2,476 28.5%
森町 19 265 7.2% 32 13 40.6%
清水町 13 256 5.1% 26 7 26.9%
静内町 61 1,869 3.3% 241 46 19.1%
千歳市 3,657 41,262 8.9% 4,036 1,692 41.9%
早来町 60 1,018 5.9% 158 45 28.5%
帯広市 3 13 23.1% 1 1 100.0%
大樹町 17 322 5.3% 43 6 14.0%
池田町 19 336 5.7% 32 11 34.4%
追分町 6 83 7.2% 8 2 25.0%
登別市 96 1,343 7.1% 162 49 30.2%
洞爺湖町 222 2,657 8.4% 269 103 38.3%
洞爺村 1 123 0.8% 14 1 7.1%
苫小牧市 13 122 10.7% 20 5 25.0%
日高町 4,997 76,856 6.5% 8,764 2,506 28.6%
白老町 1,054 11,998 8.8% 1,219 493 40.4%
平取町 531 9,548 5.6% 1,109 277 25.0%
別海町 1 28 3.6% 8 1 12.5%
豊浦町 13 602 2.2% 90 11 12.2%
北見市 0 9 0.0% 1 0 0.0%
幕別町 0 4 0.0% 1 0 0.0%
鵡川町 5 157 3.2% 20 4 20.0%
門別町 31 1,081 2.9% 156 27 17.3%
様似町 275 5,521 5.0% 702 157 22.4%

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