2024年2月25日日曜日

第455夜 古参の戦士、侮り難し


▼選ばれた高齢馬?
古馬は降級制度の変更で早期退場が加速したが、2003年であったか、斤量の恩恵もなくなっており、長期的な流れではある。
早期退場がもたらすものは、この流れに抗し得る選ばれた高齢馬の炙り出しである。
もともとがそういう目的だった。
加齢により可能性は低くなっているが、上位入線の可能性は常にあり、警戒を怠るわけにはいかない。
特に、複勝、連勝単式複式、拡大馬連、3連勝単式・複式のような3着以内が対象となる馬券で勝負する人には、どのような高齢馬が「激走」するのか、見極めて手広く流すことが収支に大きく影響する。
今夜は、「どのような高齢馬が」という点は置いておくが、高齢馬という母集団がどれほどの実力なのか、考えてみたい。
古馬戦は、施行時期により「3歳以上」と「4歳以上」になる。
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月に一斉に1歳トシをとるのでそうなる。
ここでは、3歳以上戦では3歳を、4歳以上戦では4歳を「第1世代」とする。
2世代は、それぞれ4歳、5歳になり、第3世代ではそれぞれ5歳、6歳となる。
スポットを第3世代に当てる。
以下、この記事では第3世代以上を高齢馬と呼ぶことにする。

最初に、降級制度変更の影響についておさらいしておきたい。
図表455-1ではいつものデータベース2011-2022年の中央競馬平地競走で、古馬戦成績を世代別に調べた結果である。
ざっくりだが、20196月までと、20197月以降に分けてみた。
ご覧のとおり、第1世代は降級制度変更後躍進している。
勝率や複勝率は明らかに良化した。
一方、第2世代以降は厳しい戦いになった――と言いたいところだが、実際には第3世代以降は思いの外影響が小さい。
割を食ったのは、第2世代なのである。
3世代以上がまったく影響なかったというわけではないものの、影響は軽微なのである。
これは制度変更以前に、第3世代はもともと淘汰されていた、制度変更に関わらず選ばれた高齢馬の集団、ということなのだろうと推測する。
出走馬に占める第3世代の割合は、今後、データが蓄積されていけば減少する可能性はあるが、2022年までのデータの範囲内では、制度変更前後でいずれも31%程度で変わっていない。
高齢馬は降級制度変更後も健在で、侮ってはいけない。

(
図表455-1)世代別成績
2019年6月まで 勝利回数 3着以内回数 出走回数 勝率 複勝率
第1世代 5,958 16,751 71,333 8.40% 23.50%
第2世代 5,545 16,009 64,773 8.60% 24.70%
第3世代以上 2,451 9,086 61,966 4.00% 14.70%
(第3世代) 1,829 6,537 37,645 4.90% 17.40%
(第4世代) 499 1,912 16,227 3.10% 11.80%
(第5世代) 98 526 5,966 1.60% 8.80%
(第6世代) 17 86 1,662 1.00% 5.20%
(第7世代) 7 22 369 1.90% 6.00%
(第8世代) 1 2 78 1.30% 2.60%
(第9世代以上) 0 1 19 0.00% 5.30%
合計 13,954 41,846 198,072 7.00% 21.10%
2019年7月以降 勝利回数 3着以内回数 出走回数 勝率 複勝率
第1世代 3,166 8,361 29,031 10.90% 28.80%
第2世代 1,566 5,068 24,830 6.30% 20.40%
第3世代以上 1,021 3,806 24,671 4.10% 15.40%
(第3世代) 740 2,639 14,726 5.00% 17.90%
(第4世代) 216 831 6,478 3.30% 12.80%
(第5世代) 48 261 2,401 2.00% 10.90%
(第6世代) 16 69 843 1.90% 8.20%
(第7世代) 1 6 182 0.50% 3.30%
(第8世代) 0 0 30 0.00% 0.00%
(第9世代以上) 0 0 11 0.00% 0.00%
合計 5,753 17,235 78,532 7.30% 21.90%

▼もともと実力があって、それでいて人気薄
前項の図表にあるとおり、高齢馬は勝率4%、複勝率15%にすぎない。
それでも出走した高齢馬の15%3着以内に入ってくるということは馬券では無視できない大きさである。
さらに言えば、やはり高齢馬ということで人気薄になっており、連単・連勝系馬券なら拾っておきたい。
図表455-2では、単勝オッズ20倍以上で3着以内に入った古馬を抽出した。
高齢馬の場合、3着以内に入った馬のうち、32%が単勝オッズで20倍以上(すなわち支持率4%以下)の人気薄であった。
同表には、123着の割合も載せておいたが、どの世代でも同じような比率で第1世代や第2世代と遜色ないことを示しているようにわたしは思う(1着比が少なく3着比が極端に多い場合は人気薄による幸運や偶然性を考えなければならないという意)
現役を続けられる高齢馬というのは、元は実力馬なのである。
実力馬で、人気薄なのだから、馬券としては美味しい。
20
回出走して3回は複勝圏内に入るのだ。

さて、問題は、高齢馬のうち、どの馬がやってくるかということである。
これについては貴方の武器となるアイディアなので、もしアイディアを持っていたとしても口外しないことをおススメする。

(
図表455-2)20197月以降の古馬戦世代別3着以内馬
2019年7月以降 3着以内回数(再掲) うち単勝オッズ20倍以上 20倍以上割合 1着内数 2着内数 3着内数 1着割合 2着割合 3着割合
第1世代 8,361 869 10% 173 305 391 20% 35% 45%
第2世代 5,068 1,026 20% 190 345 491 19% 34% 48%
第3世代以上 3,806 1,222 32% 220 404 598 18% 33% 49%
(第3世代) 2,639 736 28% 129 250 357 18% 34% 49%
(第4世代) 831 309 37% 70 85 154 23% 28% 50%
(第5世代) 261 128 49% 15 51 62 12% 40% 48%
(第6世代) 69 44 64% 5 18 21 11% 41% 48%
(第7世代) 6 5 83% 1 0 4 20% 0% 80%
(第8世代) 0 0 0% 0 0 0 0% 0% 0%
(第9世代以上) 0 0 0% 0 0 0 0% 0% 0%
合計 17,235 3,117 18% 583 1,054 1,480 19% 34% 47%
(SiriusA+B)

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