2024年2月18日日曜日

第454夜 好調は続くものなのか


▼人気は「後追い」
わたしはやらないが、刻々と変化するオッズを睨みながら馬券を検討する人にとって、人気は不可欠のものである。
単勝1番人気の勝率が約3分の1というのは、余程の予想上手でも凌ぐことはできないから、飛びついてしまう。
もちろん、本命党でも穴党でも。
ただ、オッズは最も信頼できる道具のひとつではあるけれど、「それほど正確でもない」というのが実態である。
正確でないのは、人間が未来を予想できないからだ。
さらに言えば、直前の動きをもとに、その延長線上で考えるのが最も確率が高いとわたしたちは考えているのかもしれない。
競馬予想では前走の影響が色濃く出る。
よって、人気は前走の結果によって作られる(もちろん、ほかの要素もあるけれど)

図表454-1は、ある実在した競走馬の人気と着順である。
中央競馬平地競走で37戦して未勝利に終わった。
途中で地方に転戦し、競走生活終盤も地方で走った。
地方では通算5勝している。
中央でも期待を裏切ったことはあるけれど、何度か2着、3着に入り、中波乱くらいの馬券に貢献した。
この馬の人気や成績は特殊なものでもなく、ごく典型的なものである。

振り返ってみれば、人気薄で3着以内に入ったのは、成績にムラがあったことも理由だろう。
直前の動き、すなわち前走の結果がオッズに反映されている。
「前走は思ったより走ったな」と思えば(例えば人気より着順が良いなど)、人気は出るし、凡走すれば人気が下がる。
要するに前走好走した馬は今回も好走するだろうし、前走凡走した馬は今回も良い成績を修めることはないだろう、とわたしたちは考えているのだ。

2
走続けて同じような成績になるときは人気通りになるだろうが、ムラがあるとオッズが「後追い」になる。
図表454-2はそれを表わすものである。
人気と成績を1走分ずらしてみたものだ。
この2表をそれぞれグラフにしてみれば、1走分ずらした図表454-2のほうが人気と着順の相関が高いように見えるだろう。
これがオッズの実態なのである。
だから的中率は低いし、人気薄でもやってくるのである。

こんな話は当然と言ってもいいくらい、多くの競馬予想者は理解している。
問題は、「前走6番人気だったが2着に入った。今回はどうか」を予想することが難しい点だ。
だんだん調子が上がってきた、引き続き勝ち敗けになるだろう、なのか。
今回は前回のようにはいかないだろう、なのか。
やっぱり、調教?

▼何かやらかしそうな馬
とりあえず調教は別の話になるので置いておき、「好調さはどれくらい続くのか」と視点を変えて考えてみることにした。
図表454-3は、ちょっと変わった集計である。
古馬1勝クラスで2着になった馬が、その後3戦した成績を調べたものだ。
いつもの、このブログ用のデータベースを使っているから、2011-2021年の中央競馬平地競走で2009年以降の産駒、3歳上または4歳上1勝クラスで2着になった馬のうち、3回以上出走した馬が対象である。
連続して2着に入る馬もいるから延べ頭数になる。
延べ6,944頭であった。
好調・不調を個別に判断するのは難しいので、3着以内であれば「好調」(図表の記号でo)、競走中止を含む4着以下ならば「不調」(図表の記号でx)としてみた。
着差や相手関係、出走間隔なども考慮すべきところ、わたしたちにとっては馬券の対象となるかどうかが関心事なので機械的に分けた。
勝ち上がって昇級する馬も少なくないが、ここでは話を単純化するためにその後走ったクラスについては不問としている。
次走から3戦分、ox2種類だから、全部で8通りの未来がある(23)
A
からHまでグループに名前を付けた。

次走で3着以内に入ったのは、全体の48%で、グループACEGである。
グループBDFHは計52%、これらは4着以下に敗れた。
次走の次(ここでは2次走という)3着以内に入ったのは、グループAE23%しかいない。
最初の2着を含めて3戦続けて好調というのは、4分の1足らずにすぎないということである。
4
戦好調ともなるとグループAのみで僅か11%しかいない。
逆に2着のあと3戦続けて4着以下となった馬はグループH25%に達する。
ということは、75%の馬が3戦のうちに少なくとも1回は3着以内に入るということでもある。
これを頭に入れておくと、「何かやらかしてくれそうな馬」は探せそうである。

問題は、グループHのような馬をどう見つけるかに移ってくるのだが、性差と馬齢も併せて載せておいた。
馬齢は、(出走日-誕生日)/365.25で算出したもので、グループA4.38歳と若く、グループH4.70歳で最もベテランであった。
あまり差はないが、この結果から、好調を持続するのは若い馬なのだろうとわたしは推測する。

牡牝別では、グループHだけ明確な差があった。
全体を眺めると、牝馬の成績はムラがあるとか、好調は長く続かない、といった古くからの経験則が裏付けられたような感じがした。

ざっとした集計だが、「古馬1勝クラスで2着だった馬のうち、若い牡馬は、次走以降も期待できる、次走で凡走しても気を付けたほうが良い」ということになるだろうか。
そういう目で成績を見直すと、「何かやらかしそうな馬」をもっと効率よく見つけられるかもしれない。

ちなみにベテラン勢を軽視すると痛い目に遭うのだが、これは次の夜に関連した話題を考えておくことにする。
(SiriusA+B)
(図表454-1)ある競走馬の人気及び成績
人気 着順
4 11
6 16
12 12
5 2
3 8
5 3
3 13
13 13
10 10
9 7
10 6
6 3
1 3
2 2
6 3
4 4
6 11
10 17
14 7
2 8
4 6
9 11
14 11
15 16
15 10
11 11
15 5
8 14
17 13
14 8
12 4
8 7
11 5
10 3
10 10
9 7
12 13

(図表454-2)ある競走馬の人気及び成績をずらして表にしたもの
人気 着順
4 -
6 11
12 16
5 12
3 2
5 8
3 3
13 13
10 13
9 10
10 7
6 6
1 3
2 3
6 2
4 3
6 4
10 11
14 17
2 7
4 8
9 6
14 11
15 11
15 16
11 10
15 11
8 5
17 14
14 13
12 8
8 4
11 7
10 5
10 3
9 10
12 7
- 13

(
図表454-3)古馬1勝クラスで2着となった馬の、その後3戦の成績
分類記号 次走→2次走→3次走 延べ頭数 割合 牝馬 割合 牡馬 割合 平均馬齢
A ooo 783 11% 280 11% 503 11% 4.38
B xoo 509 7% 153 6% 356 8% 4.47
C oxo 575 8% 181 7% 394 9% 4.42
D xxo 595 9% 217 8% 378 9% 4.53
E oox 833 12% 280 11% 553 13% 4.53
F xox 753 11% 307 12% 446 10% 4.57
G oxx 1,178 17% 443 17% 735 17% 4.66
H xxx 1,718 25% 700 27% 1,018 23% 4.7
合計 6,944 2,561 4,383 4.57



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