2024年7月7日日曜日

第474夜 儲けることを目指して競馬を始める人のための「予想の仕方」基礎講座(2)

▼微調整項目を馬柱から学ぶ
前夜からつづく。
なお、予想の仕方をわたしなりにお伝えするものであって、予想理論そのものではないことを予めお断り申し上げて進む。
ざっくりと、有力馬はこのあたりかな、とするのには前走着順を用いてみればという話をした。
例を再掲する。

(
図表473-2再掲)20231021日京都第6競走3歳以上1勝クラス前走成績順出馬表
馬名 騎手 厩舎 前走着順
6 9 アイファーシアトル 藤懸貴志 [西] 鮫島一歩 1
7 11 マヴォロンテ 幸英明 [西] 松永幹夫 2
4 5 ペプチドハドソン 松田大作 [西] 武英智 4
8 14 テーオートルネード 河原田菜 [西] 岡田稲男 4
7 12 ノイアーターク 岩田康誠 [西] 安田隆行 6
2 2 バトゥーキ 水口優也 [西] 浜田多実 7
3 3 ナムラジョシュア 長岡禎仁 [西] 羽月友彦 7
5 8 ルクスレガート 田口貫太 [西] 松永昌博 7
5 7 サクハル 和田竜二 [西] 今野貞一 9
1 1 タイセイアーメット 団野大成 [西] 浜田多実 11
3 4 スナークシュンソウ 藤岡康太 [西] 野中賢二 12
8 13 フェリ 田中健 [西] 佐々木晶 12
6 10 レゾルシオン 武豊 [西] 鈴木孝志 13
4 6 マーラー 松若風馬 [西] 安達昭夫 15

前夜は上位4頭を有力馬群としてみようということにした。
「前走から何か月も経った久々の出走なら割り引きする、前走は展開が向かず悔しい敗戦だったとなれば着順を上げると考える、前走より距離が延長していれば割り引く、などと貴方の気になるポイントで着順を上げるか、下げるかしてみるのだ」と前夜話をしたところで今夜に持ち越した。
この調整ファクターこそが貴方の独自性を発揮するところである。
手法は数多くあるが、その多くは専門紙に掲載されている情報である。
専門紙は、馬柱、調教、関係者コメントと本紙・記者の見解(予想)で構成されている。
どの情報を取捨選択するか、どう解釈するか、どう利用するかは貴方自身が考えていく。
この記事は基礎講座なので、その方向性を記しておく。
なお、基礎講座と言いながら、専門用語等で分からないものがあったら、ご面倒でも別途調べていただきたい。
「取捨選択ってどうするの」という人もいるだろう。
ある要素に注目して、例えば前走の1着との着差で、有力馬4頭または出走全馬を並べ直し、上位にきた馬は着順がひとつふたつ上がる、などと考えていくのだ。
その要素は馬柱にある。

先ず、馬柱情報である。
馬柱は専門紙によって若干体裁や掲載情報が異なる。
ここでは一般的な情報だけをピックアップした。
図表474-1は前走1着だったアイファーシアトル号の前走の馬柱を分かりやすくしたものである。
馬柱は、一覧性や情報量の確保のためにぎゅっと詰まっているが、整理すると図表のようになる。
読み慣れるまで多少時間は掛かるが、慣れてくると「馬柱のほうが読みやすい」と言うかもしれない優れものだ。
これらの情報から取捨選択して、図表473-2の順番が入れ替わるほどなのかどうかを判断していく。
「こんなにたくさんある中で、どのファクターを選べばいいのか分からない」という人には、当面はリーディング情報を参考に考えてみればよいとわたしならアドバイスする。
これから競馬を始めようという人が、武豊騎手以外に知っている騎手は何人いるだろう。
ディープインパクト以外の馬名など出てこようか。
これらは経験的に覚えてくるまでの間、JRAや成績データを提供しているサイトでリーディング情報を流用して経験者との差をカバーすることができる。
いや、はっきり申し上げて、ベテランの馬券購入者でも薄ぼんやりしか知らない人も多いのである。
父名(種牡馬)、騎手、調教師、馬主、生産者の順位表はすぐ手に入る。
どのファクターでも試しながら影響度を確かめていけばいい。
図表474-1の馬柱からは、「少し出走間隔があいたし、前走1着といってもようやく未勝利戦から勝ち上がってきたばかりだし、牝馬だし、あまり好材料はないように見えるが、前走で2着を0.6秒引き離したのは強い勝ち方だったな。同じ騎手で乗り替わりもなく、着順をいくつかあげそうだし、これは勝ち敗け(1着をうかがえるという意味)だ」とわたしなら判断する。
ちなみに、ほんとうに勝った。
単勝オッズは4.9倍だった。
この馬、次も勝って3連勝するのである。

(
図表474-1)アイファーシアトル号の前走の馬柱(調教、コメント、記者予想印は省略)
項目 馬柱の内容 情報の内容、活かし方(私見)
馬名 アイファーシアトル
父名 ベストウォーリア リーディング情報などを参照されたい。
母名 アースファーム 母馬や母系の分析は多数派でないため、オッズへの影響が比較的小さい。兄弟馬・母馬の成績などは参照しておきたい。
厩舎 [西] 鮫島一歩 調教師は騎手に次いで結果への影響がある。リーディング情報などを参照されたい。
馬主 * リーディング情報などを参照されたい。
生産者 * リーディング情報などを参照されたい。
性齢 牝3 性別は牡・騙(セ)・牝。騙馬は牡馬を去勢したもの。数字は馬齢。古馬の条件戦では3歳上なら3・4歳、4歳上なら4・5歳馬が中心になる。高齢馬は活躍することはあるが、ピークが過ぎた可能性を頭に入れておく。
斤量 54.0kg 斤量とは負担重量で、馬齢重量戦(馬齢と性別によって斤量が定められている)、定量戦(レースで一律に決められている)、別定重量戦(レースごとに成績等で定められている)、ハンデ戦(主催者が馬ごとに力を見極めて決められる)がある。この競走は馬齢戦であるが、ハンデ戦以外は表記されないこともある。斤量は別名ハンデ(ハンディキャップ)であるから、強いと思われている馬ほど負担が重い。斤量が軽いというのはその分有利なようにみえるが、実力ほどハンデを軽くしてもらっていないことが多いと思われ、必ずしも有利とまではいかない。
前走日付 ‘8/20 前走のレース日。年表記は省略されることが多い。前走からの出走間隔を考える材料になる。中3週、中4週辺りが成績が良く、それより短い場合や長い場合には中間(出走と出走の間)の様子などから割り引く必要があるかどうかを判断する。この例は中8週である。
競馬場・レース名 小倉6R 中央競馬の競馬場は10ある。それぞれ特徴もあるが、北海道(札幌・函館)、関東(東京・中山)、関東ローカル(新潟・福島)、関西(京都・阪神)、関西ローカル(中京・小倉)で開催時期や開催内容により様相が異なることも将来的には考慮されたい。
クラス 3歳未勝利 小倉第6競走の3歳未勝利戦。
距離・芝ダ 1000ダ ダート1000m競走。今回1200mより1ハロン短い距離の競走だった。
天候・馬場状態 晴・良 馬場は水分含有率を考慮した4区分(良、稍重、重、不良)で、ダートの場合は馬場が渋るほど速くなる。巷間で言われるほど成績とは連動しないが、芝・ダートとも、不良馬場での良績には注意が必要である。
天候は晴、曇、小雨、雨、小雪、雪の6区分。天候・馬場状態とも主催者の判断によるもので、参考程度にとどめておくことがよいだろう。
出走頭数 14 スタートした馬の数で、出走取消や競走除外を含まない。競走中止を含む。馬番発表後の取消では、14頭立てで馬番15番といった現象も起きる。1、2着ならあまり気にしなくてもよいが、中位以下の成績では出走頭数に注意する。
枠番・馬番 3枠3番 コースの内側から番号が振られているので、内枠が1番になる。内側が有利で、奇数番より偶数番が有利という傾向はあるが、個々のレースでの有利不利は小さい。
単勝オッズ・人気 15.8(7人気) 単勝オッズが15.8倍で7番人気だった。1/オッズ×4/5で簡易的に支持率を算出すると5.1%である。勝利する可能性が5.1%程度とファンは判断したと言える。
着順・着差 1(-0.6) 1着で、2着との差が0秒6であった。1着馬の場合は2着馬より何秒速かったかをマイナスで示すため-0.6と表記されている。2着馬以下は1着との差がプラスで出る。
0秒6速かったというのは圧勝に近く、「強い競馬をした」と言える。2着以下では1秒0以内を目安にする人が多いが、競走距離や芝とダートで判断を調整する人もいる。
馬体重(増減) 472kg(-4) 中央競馬は2kg単位、地方競馬の一部では2kg単位でないこともある。470kgから480kgが標準的な馬体重なので、「ふつう」である。馬体重は540kgくらいまでは多いほど成績が良い。前走との増減はあまり気にしなくてよいが、10kgを超える増減ではパドックなり調教なりで調子を確認したい。
騎手 藤懸貴志 騎手は、馬そのものに次いで結果への影響が大きい。リーディング情報などを参照されたい。

なお、ちょっとだけわたしの見解を言うと、指南する人によってさまざまなファクターが推奨されるが、結果との相関が強いものは、着順のほか、平均賞金、前走オッズ、スピード指数、前走上がり3ハロン、騎手、などである。
これは統計的にも裏付けられている(わたしの中では)
誰もが使うものなので特色は無いが、これらの幾つかをマスターすれば平均点に近づくのは早くなるだろう。
調教はデータによる。
父馬、母馬、馬体重などは相関がみられるものの、それほど強くない。
これらは何かと組み合わせればよい結果につながると思う。

3レースでひとつ当てれば上出来
「予想の仕方」はこのようにしていくといいだろう。
微調整するファクターはいろいろあって悩みどころでもあるが、注意いただきたいのは、ひとつやふたつのレースで可否を判断しないこと、である。
どんな予想手法でも100%当たるようなことはない。
その実態を初心者向けの指南に書いていないことが多いのだ。
初心者の皆さん、安心してほしい。
貴方の本命が3レースでひとつ勝てば上出来、4レースでひとつ勝てば平均か平均より少し上、5レースにひとつであれば平均より少し下、くらいである。
ベテランと言われる人たちでも、3レースにひとつ、という人はかなり限られている。
もちろん、買い目が多ければ当たるレースも増えるが、分かりやすいのは「本命的中率」、本命とした馬1頭が1着になる勝率、1-2着いずれかに入る連対率、1-3着いずれかに入る複勝率がどれくらい優れているかである。
ここで言う的中率とは本命馬の勝率だ。
それも、ほとんどのレースを対象にした場合のことである。
指南しているものにこうしたことを書いていないのにはワケがある。
自己分析から目を背けて集計したことがない、または、とても人には言えない、ということだ。
ベテランの本命的中率は、偉そうに言っていても(失礼!)20-22%程度というのが平均的だ。
あまり上手でない人は、本命複勝率が50%を切っている。
当てずっぽうではなく、公開している予想から推計するとだいたいそれくらいになる。
「僕は穴狙いだから」という人は多いが、その中で本当の穴狙いという人はかなり少数である。
したがって、全部当てようなどと思わないようにしてほしい。
先ずは、4レースにひとつ当たる(25%)スタイルを目指そう。
そうこうしているうちに、初心者ではなくなる。

最後に、次回は「なぜ前走着順なのか」を少し書くつもりである。

▼参考
一例として、前走の着順と前走の人気をもとに予想することにしよう。
ふたつのファクターを評価ポイントという点数で一本化する。
この手の手法を用いると「ひとつの数字で能力を推し量れるものではない」という批判が必ずついてくるが、聞き流しておこう。
比較しやすくてブレないから数字に置き換えているだけで、ひとつの数字で推し量れるかどうかは別問題である。

前走着順と前走人気を点数化してみたのが図表474-S1と図表474-S2である。

 評価ポイント=前走着順ポイント+前走人気ポイント+基準点80

という算式で各馬を評価することにする。
基準点はスピード指数のように80点にしたが、意味があるものではなく、0点でも50点でも100点でもよい。
このポイントは、わたしが10年以上のデータをもとに、多少の調整を加えて作成したものである。
例えば3歳未勝利戦に出走する馬Aが、前走1番人気で2着だった場合は、
 評価ポイント=171580112
と計算する。
この評価方法では、最高点が112点、最低点が66点になる。
Aは最高点である。
出走クラスごとの評価なので、この未勝利馬AG1馬を押しのけて最強というわけではない()
前走成績がない馬などは「評価しない」ということで基準点の80点を与えれば、各馬の数字が出揃うだろう。
2023
年の中央競馬平地競走のうち、新馬戦を除いた3,027競走で検証すると、評価ポイント1位馬の勝率は24%、連対率40%、複勝率(3着以内率)52%、回収率は76%であった(図表474-S3)
人気薄の馬を選ぶことはほとんどないが、1位馬を機械的に買うだけでもソコソコ当たる。
誰にでも再現できるので、関心のある人は試していただきたい。
少なくとも、ベテランさんから「初心者だ、競馬を知らねえな」と軽く見られることなく、いきなり競馬参加者の平均レベルに到達することができる。
ほどなく習熟して、競馬の知識も増えてきたとき、もっと的中させるにはどうしたらいいか、などと考え始めたら初心者から一歩踏み出したことになる。

(
図表474-S1)今走出走クラスごとの、前走着順別ポイント表
前走着順 2・3歳未勝利 2・3歳1勝 2・3歳オープン 古馬1勝 古馬2勝 古馬3勝 古馬オープン
1着 - 2 3 3 4 5 4
2着 17 14 2 12 11 7 5
3着 8 9 2 7 5 5 3
4着 4 4 1 4 3 3 2
5着 1 1 -1 1 1 0 0
6着 -1 0 -2 0 0 -1 -1
7着 -2 0 -3 -1 -2 -2 -2
8着 -3 -2 -4 -2 -3 -2 -2
9着 -4 -3 -4 -3 -3 -3 -2
10着 -5 -3 -4 -4 -3 -4 -3
11着 -5 -4 -4 -4 -4 -4 -3
12着 -5 -5 -4 -4 -5 -4 -4
13着 -6 -5 -4 -4 -5 -4 -4
14着 -6 -5 -4 -4 -5 -4 -4
15着 -6 -5 -4 -5 -5 -4 -4
16着 -6 -5 -5 -5 -5 -4 -4
17着 -6 -5 -6 -5 -5 -4 -4
18着 -6 -7 -6 -5 -5 -4 -4
競走中止 -4 3 -7 0 -5 2 -2

(図表474-S2)今走出走クラスごとの、前走人気別ポイント表
前走人気 2・3歳未勝利 2・3歳1勝 2・3歳オープン 古馬1勝 古馬2勝 古馬3勝 古馬オープン
1人気 15 8 7 11 12 11 8
2人気 10 6 3 8 7 7 5
3人気 7 5 0 5 4 4 3
4人気 4 2 -1 3 3 1 1
5人気 1 1 -1 1 1 0 0
6人気 0 0 -2 0 -1 0 -1
7人気 -1 -2 -2 -1 -2 -1 -1
8人気 -2 -3 -3 -2 -2 -2 -2
9人気 -3 -3 -4 -3 -3 -2 -3
10人気 -4 -3 -4 -4 -4 -3 -3
11人気 -5 -4 -4 -4 -4 -5 -3
12人気 -5 -4 -4 -5 -4 -5 -4
13人気 -6 -5 -4 -5 -5 -5 -5
14人気 -6 -5 -5 -5 -5 -6 -5
15人気 -6 -5 -5 -6 -6 -6 -5
16人気 -7 -5 -5 -6 -6 -6 -5
17人気 -7 -5 -6 -6 -6 -6 -5
18人気 -7 -7 -6 -6 -6 -6 -5

(図表474-S3)2023年成績(評価ポイント1位の馬。新馬戦を除く平地競走。シンプルな数値のため、複数頭が1位同点のレースが460競走ある)
2023年 2023年のうち、指数1位が1頭の競走
1着回数 851 640
2着回数 577 426
3着回数 454 317
着外回数 1,723 1,184
合計 3,605 2,567
競走数 3,027 2,567
勝率 24% 25%
連対率 40% 42%
複勝率 52% 54%
回収率 76% 76%

原稿執筆中の福島第1競走(2024年7月6日)
評価ポイント算出例
馬番 馬名 斤量 前走人気 前走着順 (1)基礎点 (2)前走人気 (3)前走着順 評価ポイント(1+2+3)
1 ビップジェシー 55 7 6 80 -1 -1 78
2 ホウオウブースター 55 3 4 80 7 4 91
3 トリリオンボーイ 52 13 13 80 -6 -6 68
4 ユイノマホウジン 52 8 8 80 -2 -3 75
5 ニシノコイブミ 55 7 2 80 -1 17 96
6 ニシノリンダ 54 3 7 80 7 -2 85
7 イエヤス 55 12 13 80 -5 -6 69
8 マイディアホープ 52 9 9 80 -3 -4 73

結果(大外れでなくてよかった……)
着順 馬番 馬名 斤量 走破タイム 人気 オッズ 評価ポ
1 2 ホウオウブースター 55 1101 1 1.6 91
2 5 ニシノコイブミ 55 1103 3 4.3 96
3 6 ニシノリンダ 54 1105 2 4.1 85
4 4 ユイノマホウジン 52 1108 4 11.6 75
5 1 ビップジェシー 55 1112 7 59.9 78
6 8 マイディアホープ 52 1112 6 56.1 73
7 3 トリリオンボーイ 52 1113 5 33.2 68
8 7 イエヤス 55 1117 8 95.4 69
(SiriusA+B)

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