競馬ファンの朝は忙しい。
予想が終わっていない人もいるかもしれない。
競馬新聞かスポーツ紙、或いはどこかのネットで馬柱を入手し、全国の天候を確認し、馬場状態を調べる。
パドックの様子を確認し、当日の馬体重を書き込む。
刻々と動くオッズにも目を配らなければならない。
3場開催なら36レースもある。
正直言ってたいへんな作業量で、「せめて前日にある程度予想を終えていれば」と、負けが込んでくると後悔し始めてしまう。
しかし、準備をしようにも、当日の天候、馬場状態、パドックの様子、馬体重、オッズは当日にならないと分からない。
この中でも、馬体重を重視している人は少なくない。
わたしは当日ドタバタしたくないので当日の馬体重の情報収集を断念して久しいが、「前走馬体重を代用する」と言うと、なんというか、馬体重重視派の人に「フフン」と笑われているような表情をされる(感じがする)。
「君は努力努力という割に手を抜くのだな」と言いだけな表情なのだ。
わたしはしょげるようにして黙ってしまう(まあ、そのとおりだからね)。
そんな当日馬体重重視派の皆さんに、もしかしたら、残念なお知らせである。
もし仮に、「競馬は馬体重のいちばん重い馬が勝つ」という単純な論理だとして、出走馬中最重量馬を狙うとしよう。
図表501-1のように、出走馬中最重量馬は勝率9.6%くらいで、基準としている約7%より少し上回る程度の成績だが、前走の馬体重で出走馬中最重量馬でも同じような成績(勝率9.6%)になるのである。
同じ土俵にするために、初出走馬を除いて最重量馬を選んでいる。
前走馬体重での最重量馬は当日より同点1位が多いという弱点はあっても(なぜかは分からない)、それ以外では当日馬体重と遜色ない予想材料になるのだ。
集計上の問題で偶然こうした結論になっていないか確かめるために、年毎に区切ってみたが、特に不審な点はないように思える。
正直なところを告白すると、わたしはこのブログ開始前から前走馬体重代用でも問題なし、という結論を持っていた。
もちろん、個々の馬を見るときには季節や体調、出走間隔などいろいろと考えることはあるが、一般的な傾向として「当日余程のことがなければ」前走馬体重は当日馬体重とほぼ同じ予想材料なのである。
当日馬体重を見なくていいよ、とまでは言わないけれども、概ね前走馬体重で事足りるのである。
(図表501-1)出走馬中最重量馬の年別成績(2009年生まれ以降、2011-2023年中央競馬平地競走、初出走を除く)
馬体重 | 前走馬体重 | |
2012年 | 0.080(247/3,077) | 0.084(271/3,209) |
2013年 | 0.093(291/3,128) | 0.099(321/3,238) |
2014年 | 0.091(287/3,143) | 0.092(297/3,226) |
2015年 | 0.090(282/3,147) | 0.093(302/3,237) |
2016年 | 0.102(320/3,143) | 0.104(337/3,235) |
2017年 | 0.100(314/3,135) | 0.099(320/3,239) |
2018年 | 0.099(312/3,141) | 0.092(297/3,242) |
2019年 | 0.095(295/3,118) | 0.099(314/3,182) |
2020年 | 0.096(302/3,149) | 0.096(308/3,198) |
2021年 | 0.095(298/3,122) | 0.095(308/3,234) |
2022年 | 0.105(330/3,139) | 0.096(307/3,212) |
2023年 | 0.101(313/3,090) | 0.102(329/3,224) |
合計 | 0.096(3,591/37,532) | 0.096(3,711/38,676) |
▼過去最小馬体重
ところが、最近になって、馬体重を研究している中で前走馬体重以上の「掘り出し物」(予想材料として)が出てきた。
各出走馬のデビューから前走までの過去最小馬体重を拾い出し、その中で最重量馬を選んだところ、当日馬体重よりも、前走馬体重よりも、ちょっぴり勝率が良いことが判明したのである。
図表501-1、501-2をそれぞれ見比べていただければ幸いである。
僅かな差異だが、年毎の集計を含めて、こちらのほうが精度は高いようなのだ。
過去最小体重の比較である。
なぜそうなるのか、理由は今のところ分からない。
そういう集計や考察を見つけたことがないので、わたしが変な勘違いや見落としをしているのかもしれない。
ただし、もしも、きちんとした理由が見つかれば、前走馬体重から乗り換えて武器にしようかと思っている。
ちなみに、過去最大馬体重、最大と最小の中間値も調べたが、新たな予想材料になるものではないようだ。
いずれにせよ、「当日馬体重の精度がいちばん高い」とは、どうも言えない、というのが今夜の結論である。
(SiriusA+B)
(図表501-2)出走馬中最重量馬の年別成績(2009年生まれ以降、2011-2023年中央競馬平地競走、初出走を除く)
過去最小 | 過去最大 | 中間値(最小+最大)/2 | 馬体重(再掲) | |
2012年 | 0.085(270/3,183) | 0.084(272/3,230) | 0.083(259/3,135) | 0.080(247/3,077) |
2013年 | 0.096(307/3,207) | 0.094(301/3,218) | 0.094(294/3,141) | 0.093(291/3,128) |
2014年 | 0.096(306/3,197) | 0.094(303/3,220) | 0.097(305/3,136) | 0.091(287/3,143) |
2015年 | 0.096(311/3,229) | 0.090(290/3,228) | 0.092(291/3,146) | 0.090(282/3,147) |
2016年 | 0.103(331/3,228) | 0.101(325/3,210) | 0.100(316/3,145) | 0.102(320/3,143) |
2017年 | 0.101(326/3,241) | 0.096(310/3,243) | 0.100(313/3,128) | 0.100(314/3,135) |
2018年 | 0.106(345/3,263) | 0.088(284/3,234) | 0.098(308/3,138) | 0.099(312/3,141) |
2019年 | 0.100(321/3,210) | 0.096(305/3,190) | 0.098(304/3,099) | 0.095(295/3,118) |
2020年 | 0.099(319/3,221) | 0.093(300/3,211) | 0.097(304/3,129) | 0.096(302/3,149) |
2021年 | 0.097(313/3,222) | 0.084(271/3,218) | 0.091(285/3,125) | 0.095(298/3,122) |
2022年 | 0.106(340/3,206) | 0.093(298/3,195) | 0.100(312/3,134) | 0.105(330/3,139) |
2023年 | 0.106(341/3,216) | 0.097(312/3,214) | 0.103(323/3,140) | 0.101(313/3,090) |
合計 | 0.099(3,830/38,623) | 0.092(3,571/38,611) | 0.096(3,614/37,596) | 0.096(3,591/37,532) |