▼2024年は482kg
オークス(優駿牝馬)は軽量馬を狙え、軽量馬から買え、という競馬の格言があるようだ。
何でも格言めいて語られるし、このことばが実際に普及しているかどうかも、わたしにはよく分からない。
耳にしたことがある、という程度というのが正直なところだ。
オークスは軽量馬を狙えというのは、1971(昭和46)年の優勝馬カネムヒロ号が384kgだったことや、その後もベガ、ダンスパートナーなど440kg以下で出走して勝った馬が多いことも影響していると想像する。
しかし、2024年はチェルヴィニア号が勝った。
馬体重は482kgで、3番目の重さだったから、格言通りにはいかなかった。
2着馬の馬体重は458kgだったといっても、これより軽い馬は少なくなかったので、弁明は苦しいだろうと思われる。
軽量馬をどこで線引きして定義するかは人によるが、図表500-1にあるように、相対的に軽い馬も馬券圏内には飛び込んでおり、信憑性がまったくないわけではない。
半面、最右列の(B)/(A)すなわち、上位3頭の平均馬体重と出走馬全体の馬体重を比較すると、必ずしも軽い馬が有利だという感じはしない。
果たしてほんとうのところはどうなのか。
そして、近年でも通用する格言なのか。
ふつうのファンであれば「いいじゃん、格言通りで」となるところ、このブログではもう少し深く追究しようとする(ふつうはやらない)。
なぜなら出走馬が全体的に軽量馬で、とても選べないのである。
実は、出走馬の平均馬体重は上下動しながらも少しずつ増加している。
図表500-1の(A)をグラフにすれば分かりやすいだろう。
2011年と2012年は、480kg台が1頭、470kg台が1頭で、そのほかは460kg以下だった。
近年は、最軽量馬の馬体重はそれほど変わっていないが、重い馬が増えてきた。
かつての430kgと近年の430kgでは、「軽さ」が違うのだ。
馬体重は、馬体重そのものも役に立つ資料だが、出走馬のなかでの順位(重い順など)で相対的に見たほうが格言のイメージに近いかもしれない、ということである。
(図表500-1)優駿牝馬出走馬の馬体重(1着から3着の括弧内は出走馬の重い順の順位)
競走年 | 出走頭数 | 最軽量 | 最重量 | 平均重量(A) | 1着 | 2着 | 3着 | 3頭平均(B) | (B)/(A) |
2011年 | 18 | 416 | 482 | 447 | 456(3) | 436(15) | 452(7) | 448 | 1.00 |
2012年 | 18 | 406 | 480 | 443 | 460(3) | 432(13) | 458(5) | 450 | 1.01 |
2013年 | 18 | 406 | 486 | 452 | 478(5) | 460(8) | 432(13) | 457 | 1.01 |
2014年 | 18 | 400 | 514 | 453 | 444(13) | 474(4) | 514(1) | 477 | 1.05 |
2015年 | 17 | 420 | 480 | 450 | 430(15) | 450(8) | 478(2) | 453 | 1.01 |
2016年 | 18 | 404 | 508 | 449 | 422(16) | 462(5) | 416(17) | 433 | 0.96 |
2017年 | 18 | 410 | 508 | 458 | 474(5) | 468(7) | 476(4) | 473 | 1.03 |
2018年 | 17 | 402 | 506 | 455 | 466(6) | 496(2) | 492(3) | 485 | 1.07 |
2019年 | 18 | 416 | 500 | 461 | 456(13) | 460(9) | 432(17) | 449 | 0.97 |
2020年 | 18 | 402 | 478 | 450 | 466(6) | 452(11) | 474(3) | 464 | 1.03 |
2021年 | 18 | 416 | 510 | 460 | 462(8) | 450(12) | 454(11) | 455 | 0.99 |
2022年 | 17 | 402 | 484 | 451 | 464(7) | 474(4) | 426(13) | 455 | 1.01 |
2023年 | 18 | 422 | 496 | 457 | 466(8) | 468(7) | 472(5) | 469 | 1.03 |
▼重量馬は避ける?
この格言の裏返すと「重量馬は買い、ではない」というふうにも聞こえるが、どちらかというと、こちらのほうが現実にあっているのかもしれない。
一般的な傾向として、馬体重の大きな馬ほど成績は良い。
これは、距離も、芝もダートもあまり関係がない。
芝2400m戦全体でも、やはり重い馬ほど勝率は良い。
牝馬限定戦でも同様の傾向である。
図表500-2はそのあたりをまとめたものだ。
ただ、サンプル数が極端に少ないとはいえ、オークスの500kg以上での出走馬の成績は冴えない。
出走占有率(出走馬の中に占める馬体重グループの割合)と上位占有率(3着馬までの中で馬体重グループの占める割合)を見比べると、オークス出走重量馬の不振が目に付くのだ。
果たしてこれはサンプル数が少ないから「たまたま」なのか、出走頭数が少ないからなのか、オークス特有の何かがあるのか。
わたしはこの解答を持ち合わせていない。
仮説として考えているのは、この時期の3歳大型牝馬は成長が早すぎてスタミナがついていっていないのではないか、というものである。
牝馬は1月頃馬体重がピークをつけてしばらく停滞し、4・5月頃から増加に転じる。
大型馬ほど仕上げに時間が掛かるということから考えると、この時期は調整が難しいのではないかと思っている。
あくまで仮説で、理論的にしっかりした根拠までは、いまのところ、ない。
▼500夜
見てほしいと宣伝するわけでもなく、読者が欲しいわけでもなく、収入目的でもなく、ただただ好き勝手書いてきたブログは、500夜(いい加減な数え方だが)となった。
これまで、本人すら読者ではない(笑)このブログを訪れてくれた皆さんには、心より感謝申し上げる。
失望された皆さんには時間を無駄にして申し訳ない。
先日、いくつか過去記事を見返したら、誤字脱字、話が尻切れトンボ、端折り過ぎ、事実誤認など問題が多発していた。
とりあえずそのままにしておく(笑)。
個人のことだから誤りはあるが、人をだますような情報操作は書いてこなかったし、今後もそれは変わらない。
なお、6年ほど前から、「ご覧いただく人やネタがなくなり次第終了」と考えている。
ただ、それがいつのことになるのかは、わたし自身分かっていない。
とりあえず、501夜と502夜の準備は進めている。
(SiriusA+B)
(図表500-2)優駿牝馬、芝2400m競走、牝馬限定競走の馬体重別成績(芝2400m、牝馬限定には優駿牝馬競走を含む。中央競馬2011-2023年)
優駿牝馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 頭数 | 出走占有率 | 上位占有率 | 勝率 | 複勝率 |
400kg以下 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
400kg以上440kg未満 | 2 | 2 | 4 | 66 | 0.29 | 0.21 | 0.03 | 0.12 |
440kg以上460kg未満 | 3 | 3 | 3 | 75 | 0.32 | 0.23 | 0.04 | 0.12 |
460kg以上480kg未満 | 8 | 7 | 4 | 58 | 0.25 | 0.49 | 0.14 | 0.33 |
480kg以上500kg未満 | 0 | 1 | 1 | 23 | 0.10 | 0.05 | 0 | 0.09 |
500kg以上540kg未満 | 0 | 0 | 1 | 9 | 0.04 | 0.03 | 0 | 0.11 |
540kg以上 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
芝2400m | 1着 | 2着 | 3着 | 頭数 | 出走占有率 | 上位占有率 | 勝率 | 複勝率 |
400kg以下 | 3 | 1 | 5 | 58 | 0.01 | 0 | 0.05 | 0.16 |
400kg以上440kg未満 | 58 | 63 | 69 | 960 | 0.09 | 0.08 | 0.06 | 0.20 |
440kg以上460kg未満 | 127 | 146 | 142 | 1,813 | 0.18 | 0.17 | 0.07 | 0.23 |
460kg以上480kg未満 | 218 | 218 | 204 | 2,708 | 0.26 | 0.26 | 0.08 | 0.24 |
480kg以上500kg未満 | 236 | 225 | 210 | 2,582 | 0.25 | 0.27 | 0.09 | 0.26 |
500kg以上540kg未満 | 183 | 161 | 187 | 1,984 | 0.19 | 0.21 | 0.09 | 0.27 |
540kg以上 | 5 | 13 | 13 | 133 | 0.01 | 0.01 | 0.04 | 0.23 |
牝馬限定競走 | 1着 | 2着 | 3着 | 頭数 | 出走占有率 | 上位占有率 | 勝率 | 複勝率 |
400kg以下 | 28 | 32 | 48 | 1,300 | 0.01 | 0.01 | 0.02 | 0.08 |
400kg以上440kg未満 | 1,214 | 1,367 | 1,445 | 24,087 | 0.26 | 0.21 | 0.05 | 0.17 |
440kg以上460kg未満 | 1,852 | 1,778 | 1,825 | 26,949 | 0.29 | 0.28 | 0.07 | 0.20 |
460kg以上480kg未満 | 1,863 | 1,753 | 1,751 | 23,537 | 0.25 | 0.28 | 0.08 | 0.23 |
480kg以上500kg未満 | 1,054 | 1,128 | 998 | 12,928 | 0.14 | 0.16 | 0.08 | 0.25 |
500kg以上540kg未満 | 467 | 423 | 408 | 5,168 | 0.05 | 0.07 | 0.09 | 0.25 |
540kg以上 | 20 | 15 | 13 | 175 | 0 | 0 | 0.11 | 0.27 |
(図表500-3)(参考)牝馬限定戦出走時期・馬体重別頭数
出走時期 | 出走頭数 | 平均馬体重 | 400kg未満 | 440kg未満 | 460kg未満 | 480kg未満 | 500kg未満 | 500kg以上 |
2歳6-9月出走 | 4,259 | 444 | 154 | 1,668 | 1,285 | 760 | 315 | 77 |
2歳10-12月出走 | 9,804 | 450 | 186 | 3,246 | 2,942 | 2,164 | 951 | 315 |
3歳1-3月出走 | 16,110 | 451 | 298 | 4,998 | 4,719 | 3,681 | 1,777 | 637 |
3歳4-6月出走 | 18,080 | 452 | 350 | 5,439 | 5,304 | 4,164 | 2,051 | 772 |
3歳7-9月出走 | 12,366 | 454 | 185 | 3,474 | 3,637 | 2,977 | 1,529 | 564 |
3歳10-12月出走 | 4,683 | 461 | 16 | 884 | 1,398 | 1,256 | 798 | 331 |
4歳1-3月出走 | 4,945 | 460 | 32 | 1,000 | 1,447 | 1,329 | 800 | 337 |
4歳4-6月出走 | 4,834 | 461 | 29 | 896 | 1,421 | 1,390 | 769 | 329 |
4歳7-9月出走 | 3,658 | 463 | 18 | 603 | 1,010 | 1,103 | 653 | 271 |
4歳10-12月出走 | 3,549 | 467 | 9 | 443 | 936 | 1,091 | 698 | 372 |
5歳1-3月出走 | 3,114 | 467 | 11 | 433 | 778 | 923 | 630 | 339 |
5歳4-6月出走 | 2,607 | 468 | 2 | 337 | 646 | 803 | 529 | 290 |
5歳7-9月出走 | 1,509 | 467 | 4 | 214 | 356 | 466 | 321 | 148 |
5歳10-12月出走 | 1,673 | 471 | 2 | 167 | 363 | 514 | 413 | 214 |
6歳1-3月出走 | 1,210 | 471 | 0 | 116 | 288 | 352 | 289 | 165 |
6歳4月以降出走 | 1,743 | 469 | 4 | 169 | 419 | 564 | 405 | 182 |