2025年4月13日日曜日

第512夜 ハイリスク・ハイリターンが敗因では?少額の軍資金で戦うことについて


▼敗ける日がふつうであること
勝った日より敗けた日のほうが多いから、敗因を考えてしまう。
なぜ儲からないのか。
自問自答する、日常からちゃんとした人もいると思うが、ネットに載っているアドバイスはあまり信じないほうがいいとわたしは思っている。

レースを絞らず、全レースに賭けようとするから?
どの買い目も、同じ金額で買うから?
本命馬券或いは穴馬馬券ばかり買うから?

敗けて心が弱った日には、こうした指摘が染み入るかもしれない。
今まで否定していた考えが、実は正しいのかもと思い始める。
そうなると重症である。
何を信じていいか分からなくなったときは、自分が冷静になるまで待とう。
このようなときに、自身のスタイルを変えるのは悪手であることも少なくないだろう。
それは競馬に限らない。

そもそも、競馬で儲かっている人は極めて稀である。
儲かっていないのは、ごくふつうの状態と言える。
集計期間を短くするほど、儲かっている人の割合は上がるが、数か月や1年といった長さ以上であれば、その率は低いのだ。
儲からなかった貴方が異常なのではない。
「今日は少数派の勝ち組にはならなかったわ」くらいで良い。

▼原因は軍資金?
ただ、長期的に収支が好転しないときは、根本的な問題を抱えている場合がある。
軍資金が少額というのも、そのひとつであると思われる。
軍資金の大きさが関係あるのか、と疑問に思う人もいるだろう。
1万円を持っていて千円単位で馬券を買うことと、10万円の手持ちで1万円単位で馬券を買うことに、何の差があるのかと。
そうした人は、想像してほしい。
貴方がふだん、どのくらいの軍資金で臨んでいるのかは知らないが、仮に、この日は百万円を持っているとしよう。
いつもは1万円手持ち、馬券は千円単位だとして、貴方は百万円で馬券を10万円単位で買うだろうか。
いや、そういう御仁もいるだろうが、もう少し単位を小さくして、買い目を増やす行動にでるだろう。
押さえ馬券である。
パラパラと押さえ馬券を買えるのだ。
それでは損益率は小さくなってしまう、だが、金額としては充分なのである。
1万円を10万円にするのは並大抵ではないが、百万円を110万円にするにはあまりリスクを取らなくていい。
これが軍資金の差である。
つまり、軍資金が小さいほどリスクを取る必要があり、ハイリスク・ハイリターンの馬券を買わざるを得ない。

▼少額ほど死に票を減らせ
馬券は、外せば回収率がゼロになるものだ。
1,000円しかないときの最善の手は、わたしなら軍資金が貯まるまで馬券購入しない、である。
しかし、事情があって買わざるを得ない(買いたくてどうしようもない、も含む)とき、長期的にプラス収支を維持しようとする人であれば、どう購入するだろうか。

1日単位でよく敗ける人の話を聞くとさまざまな原因があるが、少額の軍資金の割に、所謂「死に票」が多いケースがある。
多点買いがダメと言っているわけではない。
勝算のない、のべつ幕無しは論外だが、幅広く賭けることはむしろ推奨しても良いくらいだ。しかし、軍資金が小さければ、「死に票」を出す余裕などない。
極端な話、1,000円の軍資金で10点に分けて購入するとしよう。
1点買いで玉砕するよりはいいのだが、ひとつのレースの馬連を10点買いするのでは死に票が多い。
同着はともかく、当たって1点である。
リスクも大きい。
本命馬1頭への依存度が高いのだ。
スタートで躓きでもしたら、貴方の馬券はすべて紙屑になる。

では、分散するとしよう。
次の選択肢なら、貴方の考えはどれに近いだろう。
(1)券種はともかく1レースから順に10レースで1点買い
(2)単複セットで5レース分
(3)本命の単複、ヒモの複、馬連、ワイドで2レース分
上の3種類の買い方では、貴方の馬券スタイルに合うものを考えれば良いと思うが、この3種類に共通しているのは、「絵空事とはいえ、10点すべてを的中する可能性がある」ことと「全滅の可能性が、同様に低い」ことだ。
レースでの分散は(1)→(2)→(3)の順で効いているが、資金の回転や的中率を考えれば、どれが正解かは予想精度による。
1レースで10点買いでは本命馬1頭への依存度が高いが、(1)の場合本命馬10頭、(2)で5頭、(3)で2頭に分散できる。
そうすれば、壊滅的事態、つまり回収額0円という事態を避けられる。
たったひとつ、それもグリグリの1.5倍しか当たらなくても、マイナス1,000円ではなく、マイナス850円で150円が手元に残る。

この話、1万円あればもう少し分散できるのに、と思った人は多いと思う。
1,000円で上の(1)、(2)、(3)でも薄氷を踏む思いだというのは正常な感覚であろう。
まったくその通りで、それだけ厳しい戦いであり、軍資金が大きいほど有利なのである。
10万円あればさらに分散できるし、1レースあたりで60万円以上使えるならかなり有利だ。
分散によって損失を抑え、あわよくば利益を得る機会を増やす。

冒頭に百万円手持ちのお話をした。
「お金持ちの皆さんは複勝に百万円ドン」というのは想像力に欠けていることがご理解いただけたと思う(いや、やることもあるかもしれないけど)。
軍資金が大きければ、メリハリをつけた買い方や、細かな分散も可能なのだ。
彼らは「堅い」と言われる馬券が、如何に「堅くない」かよく知っている(わたしたちも知っているが、知らんぷりをしている)。
僅か1頭に身を委ねるような行為はしない。
目一杯、手を広げて、損失リスクに備えるだろう。
少額の軍資金では額が小さいが、回収率でみればかなりの大博打になっていないか、考えてほしいと思う。

博打は、わたしたち庶民の娯楽だが、庶民の味方ではない。
改めて申し上げるが、軍資金が小さいほど、分散させられない分、戦いは不利だ。
今日敗けても、次にはまた働いて1,000円を用意できるだろう。
もしそうであるなら、ここで残金が何百円か残せば、次回は1,000円に上乗せして勝負できることを忘れてはならない。
例え敗けても、少しずつ残額を増やしていく。
そのうち買い目を増やして逆転ホームランを打つことができる。
「そんなしみったれた戦術などできるか」という人は、真のギャンブラーである。
敬意は払うが、わたしたちとは別世界の住人だ。
わたしたちはギャンブルではなく、投資に近い感覚で馬券を買おうとする。
たとえ目減りしても、ゼロにしないで次の機会に備える。
翌週も1,000円から始めると、いつまでも増やすチャンスがない。
もちろん、できれば、雀の涙ほどの軍資金ではなく、分散できるだけの軍資金を当初から用意されたい。
(SiriusA+B)

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