2025年11月25日火曜日

第540夜 最強の好敵手と言えばコンピ指数

▼オッズの次に
最も精度が高い競馬予想はオッズなのだが、次は、と言えば、コンピ指数ではないだろうか。
日刊スポーツ新聞の独自数値で、おそらく最も利用されている能力指数と思われる。
厳密に言えば、能力評価の値であり、予想ではない。
わたしたちにとって最強のライバルのひとつと言える。
ブログ開始以来、まったく触れてこなかった。
いつか書かねばと、それこそブログ開始当初から頭にあったのだが、最強過ぎて、書く「とっかかり」が見つからず10年近く経ってしまった。
だって、自分で予想理論を作る必要がないんだもん、ブログが成り立たん。

集計期間による多少の差異はあるが、指数1位の勝率は30%、連対率50%、複勝率60%強とされる。
1番人気に準じる、極めて高い精度だ。
単複回収率がそれぞれ80%、84%前後のようなので、極めて優秀であるものの、これでは黒字にならないことから、コンピ指数を使った回収率重視型派生予想も数多い。
お手軽な上に、上限値90に近づくほど勝率が高く、同じ指数1位でも信頼度に差があることは利用者にも一目瞭然である。
うん、文句の付けようがない。
当然、算出方法を公開してくれるはずもなく、ヴェールに包まれたコンピ指数だが、僅かな手掛かりによれば、過去成績・血統・調教等取材情報などで成り立っているとされる。
他方、信憑性は極めて低いが、専門紙の予想の集約だという説もある。
コンピ指数がそれだけ人気(支持率)に近いからだが、著作権にうるさい昨今、他紙の印を拝借する後者方式とは思えない。
万単位と推測される会員も存在するから、おそらく人気への影響は大きく、人気もまたコンピ指数に影響されて相互に似てくる可能性もある。
ちなみに、わたしは過去成績等で計算されたものであろうが、他紙を含む人気の集約だろうが、作成方法には興味津々である。
仮に、わたしの仕入れた手掛かり通りなら、「過去成績、血統、調教等取材情報」ということになるが、ここから推測すると、調教等取材情報がコンピ指数にかなりの影響を与えているのではないだろうか。
過去成績ならば、巧拙はあっても、わたしたち馬券購入者たちと大きな差は生じないからだ。
血統はおそらく統計的なもので、「この種牡馬の仔は走るっ」といった呪文ではなく、極端な言い方だが「馬のグループ分け」であろう。
これもわたしたちと驚くほどの差異はないだろうと思う。
消去法で考えると、残る調教等取材情報になる。
この分野は、情報の質・量が、素人とはっきり違う。
記者は、追い切りの様子や馬体を間近で見て、コメントしてくれない馬の代わりに関係者の話を直接聞ける。
熱発したとか歩様がおかしい時期があって仕上げに時間を要したとか、中間の様子も紙面以上に詳しく知っている。
先入観を排せば、勝ち敗けになるかどうか、わたしたちより判断は正確だ。
この結果、指数1位馬の勝率、連対率、複勝率で最大5ポイント分くらいの影響があるとわたしは推測する。

▼コンピ指数
2025年11月2日(土)付日刊スポーツ朝刊を購入した。
日刊スポーツコンピ指数に接するのは、久しぶりであった。
論より証拠、グダグダ駄弁るより、直接見るほうが早い。
ちなみに、コンビニで売り切れを気にしながらいちいち買うのは面倒臭いという人は、新聞販売店から朝刊の宅配をしてもらうこともできる(はず。ただし、地域による)。
朝日新聞系だから朝日新聞を売る販売店なら受け付けてくれると思う。
月極3,700円(一部地域で異なる)、土日にコンビニで買えば1回160円(だったか)である。
確実に入手したいなら、月極が間違いない(平日も読める)。
宅配のありがたさが分かる。
ネットでも有料提供はあるが、紙ならいろいろ読めて興味がわく分野も出てくるかもしれない。
野菜も包めるし、トイレットペーパーにも交換できる(一部地域で)。
しばらく定期購読するのもおすすめである(宣伝料をもらっているわけではないので、念のため申し添える)。
「コンピ指数、無料」といった検索は多いようだが、ケチケチせず160円くらいは払って然るべきかと思う。

結果と照合すると一目瞭然だが、相変わらずである。
ここで「相変わらず」とは、悪い印象を意味しない。
前週日曜日10月26日の24レース(東京・京都。新潟は掲載されていなかった)の結果も掲載されているので先に見ておくと、指数1位馬は7勝だった。
相対的には京都が苦戦した。
東西計24戦7勝ということで、勝率は……むむむ、驚異の29%である。
これに2着を含む連対数は16、連対率は67%(3分の2)に達した。
むむむむ。凄い。
肝心の11月2日予想の結果だが、似たような成績だった。
やはり凄い。
東京は6勝2着0回、京都は2勝2着3回、計8勝2着3回。
勝率32%、連対率42%であった。
変則的だがこの2日間で合計すると48戦15勝2着12回、勝率31%、連対率56%である。
手作業で数えたので、数え間違いがあれば、ご容赦願いたい。
ちなみに直近1年でも連対率が50%とあった。
相変わらず、というのはこのことだ。
長年に亘り、的中率が高いのはもちろんのこと、
毎日・毎週の成績の振れ幅が小さい。
極めて安定的である。
わたしたちには高的中率、成績の安定性とも真似できない芸当で、これこそコンピ指数の真の強みなのである。

この2日間48戦という、とても少ない資料から断定はできないが、傾向や可能性といった推測を立ててみたい。
1点目は、東西の成績差である。
今回は東京競馬でよく的中した一方で、京都競馬は相対的に苦戦した。
何が原因で東西の成績差が生じたのか。
コンピ指数は東京競馬場が得意と考えていたので予想通りだったが、京都競馬場も得意と考えていたのでこちらは思惑が外れた。
京都は東京より出走頭数が少なかったにもかかわらず、1番人気馬が苦戦したので、ちょっと荒れていたのかもしれない。
馬場状態は、東西とも良から不良まであったから、「荒れる」というのは騎手や展開などの要因であろう。
東西でレースの性質が異なる、或いは、歴史的な経緯からコンピ指数が別々の予想ロジックを持つ、という可能性はまったくないわけではないが、新聞社にとって非効率だし、そのような風評はあまり聞かないので馬場状態その他の要因を考えるのが妥当と思われる。
2点目は、未勝利戦やメインレースはよく的中している印象だ。
3点目は、実際の人気との相関で、相互に影響されるし「よく似ている」が、よくよく見れば、それほどよくは似ていないことだ。
指数1位イコール1番人気、ではないレースのどれほど多いことか(100%近いと思い込んでいる人のイメージ比)。
わたしは専門紙予想がオッズの骨格を形成していると思っているのだが、コンピ指数が人気調査ならオッズともっと似てくると思われる。
うん、人気とコンピ指数は、実は姉妹、ではなく、他人の空似のようだ。
これらのことから、コンピ指数はやはり能力値を示しているのだろう、少なくとも人気指数ではない。
出走馬の能力差が比較的明確なのは、未勝利戦やオープン競走である。
それ以外は、ちょっとしたことで順位が入れ替わる。
どこまでコンピ指数が織り込むのか分からないが、調子などの情報も豊富で、わたしたちより判断が鋭敏だから、「見逃した」ということは少ないと思われる。
ならば、展開のアヤが最後に残るのかもしれない。
コンピ指数は、能力を表わす。
おそらく展開までは予想していない。
予想はここからなのだ、あとは自分で予想してね、ということなのである。
尤も、残念なことに、わたしたちは能力評価でさえ、コンピ指数の足下にも及ばないのが現状で、ただただ高い壁を見上げるばかりである。
(SiriusA+B)

2025年11月20日木曜日

第539夜 調教はざっくり

 

美浦坂路
「競走馬に関する調査研究発表会」というものが毎年開催されているそうで、専門家の発表は敷居が高くて素人の手に負えるものではないが、親切にも講演要旨を簡潔明瞭に纏めた資料が公開されており、関心のある人は誰でも閲覧できる。
2024
年の資料では、わたしは資料の最後にある「白色化しにくい芦毛の話」が、特に興味深かった(いや、「話」ではなく学術論文発表だが)

脇道に逸れた。
見たかったのは、美浦坂路改修による心肺機能の資料だった。
要旨だけだが、美浦坂路を活用すると心肺機能が上がる、という結論のようだった。
特に故障などのデメリットはなさそうである。
2023
10月から利用できるようになり、坂路での調教頭数は増加しているとも聞く。
ただ、「関東馬が巻き返しを始めた」というのは短絡的すぎる。
東西格差は、坂路ひとつで変わるほど軽度なものではない、とわたしはみている。
坂路で一本、二本追い切りしたくらいで、劇的に変化するとは思えない。
簡単に変化するなら、坂路スタート地点に長蛇の列ができ、その他の調教コースは閑古鳥が鳴くはずだ。
格差はもっと深い根のところ、預かる馬、調教のシステム、厩舎の運営システムなど、もっと総合的なものではないのか。
外厩を積極的に活用する時代だし、調教理論も進化している。
坂路の重要度は以前とは異なる。
それでも、次第に坂路調教が組み入れられ、成績が改善され、預かる馬の質が向上してくれば、効果は誰の目にも明らかになろう。
坂路の運動で負荷がかかっていることは間違いないのだ。
いずれ効果を実感するが、今すぐに表れると考えるのはどうか、ということである。

追い切りの読み方
このブログで何度か言及しているように、わたしは調教状況を、メディア提供された総合評価で判断している。
調教は、予想記者・トラックマンとわたしたちでは情報の質・量ともに大きな差があるためだ。
そもそも、調教の判断は難しいとされる。
とりわけ追い切りは、トレセンの馬場ひとつとっても、どのコースか、ハローがけや含水率、コース内での位置取り、どこから追ったか、などと注意すべき点は多い。
競走馬も、一杯、強め、馬なりなど調教の強さ、単走、並走といった形式、騎乗者と負担重量など、頭に入れなければならないことは多い。
盛りだくさんである。
また、調教とは追い切りだけではない。
ふだんはぶらぶらさせておいて、レース前に強めに追えば仕上がる、とでも考えているようなら思い違いだ。
それで、わたしは総合判断をプロに委ねるのである。
だが、自ら、調教欄で追い切りの情報を読んで判断することもある。
調教を中心に予想する「調教派」には笑われると思うが、至ってシンプルなやり方だ。
同じ調教コースで追い切りした馬を集め、好タイムだった馬をチェックする。
例えば、栗東坂路で追い切りした出走馬が4頭いたら、いちばん好タイムだった馬に印を付ける。
ほかのコースでも同様である。
これだけである。
「馬場状態はどうした」
「並走したかどうかは見たのか」
「過去の調教実績との比較は」
とツッコミはあるけれど、わたしは速いタイムを出していればそれでいい。
力をセーブして走らせる場合もあるだろう。
でも、最速だった馬はそれだけの速さで走られることを示したのだ。
他馬はもっと速く走るかもしれないが、それは推測に過ぎない。
どんな馬場であれ、騎手ではなく調教師自ら騎乗したものであれ、裏付けのある範囲で取捨選択する。
調教だけで予想するわけではないと決めているから気軽なものだ。
わたしは、さまざまな調教条件を加味することを否定しないが、精度を高めても調教は調教である。
馬なりも気合充分、とか馬に聞いたわけではないから。
時計は掛かったが上積み見込める、とか見込みだから。
わたしは自分で調教欄を読むときには、分かる範囲で、と推測は避ける。
ヒモを選ぶ気持ちで、気になった速い馬だけピックアップすると解釈してもらえればと思う。
その割に、案外、飛び込んでくる。
すべてが自動計測によるデータになれば公的に公開されて集計表をお載せできるのだが、現時点ではご容赦いただきたい。
調教派がいるのも納得である。
わたしも、調教は予想ファクターの中でも重みのあるほうだと思う。
ただし、情報が少ないので、精度を求めることはしないのだ。
精度を求めないというのは、「良好、まあ良好、ふつう、今ひとつ」程度で、他のファクターに決定権を持たせる「パンチの効いたスパイス」の位置づけとでも言おうか。
逆に言えば、精度を求めない限り、調教情報は好材料、予想に欠かせない、ということになる。

(SiriusA+B)

2025年11月15日土曜日

第538夜 いよいよ空気抵抗まで持ち出してきた(笑)

 

えー、移動する物体が空気の圧力や粘性により云々
このブログ、好き勝手書くだけあって、ネタは未だ冷蔵庫にたくさん仕舞ってある。
時間がないので解凍したり調理したりすることができないだけである(要するに、約束したわけではないけれど、しばらく新しい記事を掲載できなかった、申し訳ない、ということである。ついでに言えば、ネタ切れでもない)
で、空気抵抗である。
移動する物体が、空気の圧力や粘性により受ける、進行方向とは反対向きの力のことだ。
先に、わたしは文系ということをお断りしておく。
数字は使わないから。
で、速度が速まるほど空気の分子との衝突が増えるので、空気抵抗が強まる。
これを低減する方法は、速度を下げる、先端の形状を流線型にする、前傾姿勢をとる、誘導抵抗を減じる、などである。
高速列車の先頭車両の形状は、例としてよく挙げられる。
陸上競技でも、ピッタリ背後につけて、勝負どころで抜け出す選手を見たことがあるだろう。
「前を走る選手を風除けにしていますねえ」と実況解説するのを聞いたことはあるかもしれない。
では、競馬ではどうか、というと、やはりあるようだ。
古い資料だが、JRA競走馬総合研究所のサイトで見つけることができた。
数字はよく消化できなかったが、馬群にいると空気抵抗を減らせる、一方で、抜け出せるタイミングもあるから(馬券検討の際には)注意してね、とわたしは理解した(つもり)
引用された海外の研究では順位を34つ上げるかも、などと書かれていた。
詳細は原典を参照されたい。

馬は、元来、群れで行動する生き物である。
調教の併せ馬や、馬群に入れた、先頭を切ったらソラを使うといったコメントは、群れる特性に纏わる(まつわる)話なのだ。
勝負どころで上手く捌いてもらう必要はあるが、馬群に入れることで、空気抵抗だけではなく、ペースを維持できる、集団なので心理的安全性も確保できる。
馬に優しくしているのではない、最後の瞬発力に余力を残す省エネ作戦なのである。
逃げ馬が勝率20%程度だが、最後の直線でひょっこり出てきた馬が勝つシーンは珍しくない光景だ。
これは、省エネの効果であろう。
風除けを使い、周囲にペースメーカーがいて、ストレスも少なく勝負どころを迎えるのである、そりゃあ強いさ。

空気抵抗? 学習?
実際問題として、出走各馬が馬群に入るかどうかは分からないが、前走実績はデータとしてある。
データ上では、通過順位によって「並走頭数」を把握することができる。
例えば、馬Aの通過順位が[4-4-5-4]としよう。
B[6-6-5-5]、馬C[7-5-5-4]とすると、馬ABCの最大並走数は3角の5が共通しているので3頭となる。
このような集計により、最大並走数を記録するとしよう。
このような前走の集計結果を出走各馬に当てはめる。
出走馬Aが「3」、ほかの出走馬では最大値も「3」頭だとすれば、「当該馬3、出走馬最大3」である。
この勝率を示したのが図表である。
的中率すなわち勝率は約7%であった。
平均出走頭数から算出すると約7%が平均であるから、「当該馬3、出走馬最大3(以下これを「33」と呼ぶ)の勝率7.4%はほぼ平均値或いは平均値より若干高めである。
「えっと、ほぼ平均値、だよね」
と言われれば、その通りである。
わたしも永らくそう考えていた。
ああ、また使えないデータを作ったな、と。
ところが、回収率を考えると一変するのである。
引き続き図表538-1をご覧いただきたい。
44」「55」の単勝回収率(理論値)は、100%には達しないが、80%を大きく超えるのである。
数字が小さくなるので信用度は低いが「55」に至っては直近5(2020-2024)3度黒字収支であった。
前走の、ビデオを観てではなく定点観測での並走だから、たまたまなのかもしれないが、4頭或いは5頭の並走状態はあったのである。
馬群の中で何があったか、何を得たか、は分からない。
空気抵抗のお蔭で疲労が少なかったのか、揉まれたことで能力向上があったのか、並走によって安定した速いペースの走り方を学習したのか、馬群で充分に実力を発揮できなかった反動か。
いずれにせよ、巷間の評価(支持率)よりは高い収支を得られた。
少なくとも、オッズにはほとんど織り込まれていない情報ということは確かそうである。
(SiriusA+B)
(図表538-1)展開データによる
前走最大並走数と当該レース出走馬で最大並走数別成績(2011-2024年中央競馬平地競走)

当該馬の前走最大並走数 当該レース出走馬で前走最大並走数 1着頭数 2着頭数 3着頭数 出走頭数 勝率 単回収率
1 1 1 1 2 9 0.111 0.200
1 2 83 103 71 843 0.098 0.549
1 3 2,954 2,781 2,619 35,413 0.083 0.695
1 4 4,606 4,202 4,033 60,452 0.076 0.676
1 5 942 840 787 11,774 0.080 0.688
1 6 53 49 51 771 0.069 0.559
1 7 1 4 2 45 0.022 0.038
2 2 128 107 140 1,247 0.103 0.740
2 3 5,192 5,314 5,355 71,655 0.072 0.738
2 4 8,698 8,659 8,827 128,033 0.068 0.682
2 5 1,616 1,688 1,693 24,963 0.065 0.739
2 6 111 125 121 1,681 0.066 0.705
2 7 8 4 5 84 0.095 2.676
3 3 4,328 4,412 4,512 58,468 0.074 0.741
3 4 7,652 7,942 7,962 111,152 0.069 0.749
3 5 1,532 1,561 1,554 22,392 0.068 0.693
3 6 108 91 104 1,447 0.075 0.995
3 7 7 7 6 74 0.095 2.124
4 4 3,004 3,193 3,143 42,933 0.070 0.827
4 5 402 381 441 6,289 0.064 0.673
4 6 31 35 29 457 0.068 0.606
4 7 0 1 1 12 0.000 0.000
5 5 403 420 418 5,859 0.069 0.973
5 6 2 2 2 52 0.038 0.237
5 7 0 0 0 2 0.000 0.000
6 6 24 30 25 371 0.065 0.588
6 7 0 0 0 0 0.000 0.000
7 7 0 0 2 19 0.000 0.000


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