2016年7月16日土曜日

第100夜 3連単のシェアが低下し単勝のシェアが伸びている現在


▼投票行動の状況
JRA
の平成27年事業年度報告書を眺めた。
投票行動に変化がみられる。
3
連単の馬券全体に占める割合が低下しつつあるのだ。
32%
もあるのでトップシェアであることに変わりはないが、Win5、馬単とともに金額ベースのシェアは下がっている。
馬単に至っては、平成26年、27年と複勝を僅かながら下回った。
一方で、馬連や単勝の売り上げシェアが徐々に増えている。
あれこれ理由は推測できるが、払戻率の設定が影響していることは間違いなかろうと思う。

JRA
は平成2667日以降、券種ごとに払戻率を変更した。
単勝、複勝:80%
枠連、馬連、ワイド:77.5%
馬単、3連複:75%
3
連単:72.5%
Win5:70%
馬券を買う立場で考えれば、シェアの増減と券種の特徴から、Win5→単勝、複勝→ワイド、馬単→馬連、3連単→3連複というシフトがあったのではないかと思う。
複勝のシェアが低下したのは、ワイドの払戻率が高くなって「お得感」が出たのではないだろうか。

▼回転
この馬券シフトの動きと、馬券売上額の伸び(前年比+3.6%)、「お客様総数」(前年比+1.3%)を組み合わせると、券種のシフト→資金回転率の改善→売上額の増加という図式もあるのかなと邪推する。

そう考えたのは、次の思考回路である。
馬券売上額は、平成26年、平成27年と続けて対前年比+3.6%と高い伸びを示した。
この数値は参加者の伸び率よりも高く、一人あたりの投票金額が増えたということである。
券種のシフトで購入点数が減る一方、的中率は改善するので、次のレースへの投票が促進される。

3
連単が発売されるとき、競馬のマスコミでは売り上げ増につながるのかどうか、議論があったように思う。

すなわち、高額配当で射幸心を煽る方向と資金の回転が抑制される方向のどちらが強いか、という議論であった。
結果としては、資金回転の抑制が強く働き、売上の減少に歯止めがかからなかった。
そのため、控除率の微調整による高額配当の抑制で「ほどほどに的中する」馬券への資金シフトを促してみたところ、これが功を奏したのである。
以上は邪推である。

▼馬券の組み合わせ数
ただ、控除率の改定は、的中率に影響を及ぼすものではない。
的中率は組み合わせ数と密接な関係があるが、改めて出走頭数別の組み合わせ数について確認しておきたい。
(
計算式)頭数をAとする。
馬連=A*(A-1)/2
馬単=A*(A-1)
3
連複=A*(A-1)*(A-2)/6
3
連単=A*(A-1)*(A-2)

頭数
単勝
馬連
馬単
3連複
3連単
3連単/馬連
8
8
28
56
56
336
12
9
9
36
72
84
504
14
10
10
45
90
120
720
16
11
11
55
110
165
990
18
12
12
66
132
220
1320
20
13
13
78
156
286
1716
22
14
14
91
182
364
2184
24
15
15
105
210
455
2730
26
16
16
120
240
560
3360
28
17
17
136
272
680
4080
30
18
18
153
306
816
4896
32

組み合わせ数は、そのまま的中の難易度を表わしていると考えてよい。
表の最右欄に、3連単と馬連の組み合わせ数の比率を掲載した。
出走頭数が増えるほど、馬連より3連単が難しくなっていくことがお分かりいただけるだろう。
16
頭立てだと、3連単は馬連より28倍も難しいということであり、馬連を6点買いする(4頭ボックスに相当)ような投票行動をとる人であれば、3連単なら112点買いするくらいでなければ的中率を維持できないということなのである。
これでは100円馬券であっても最低限11200円を用意しなければならず、馬連6点なら1800円ずつ買えることに気づく。
控除率もあって、思いの外、馬連の配当も悪くない、となれば、馬連にシフトするのも無理はないと思われるのである。

控除率の変更によって、馬券の難易度に変化があるのではない。
馬券選択にシフトをもたらしているだけである。
「馬連が当たりやすくなった」というのは間違いで、「当たった場合の配当が良くなった」ということと混同しないようにしたい。
(SiriusA+B)

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